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【わたしの課題図書】哲学とか俳句とか詩とか 新しい読書の扉をひらく秋

  • あき

2025.10.31 更新日:2025.11.02

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最近はぱたりと本を読んでいないのです。
あれほど、次から次へ、読みたい本があふれていて、ベッドの脇にはいつだって積読、というわたしだったのですが、最近はパラパラと寝る直前の10分、たまにお風呂で15分ほど読む程度になっていた。
(何故かといえば答えは明白で、遅まきながらの韓国ブームの風がわたしに吹いているからなのでした。いつだって0か100か、の精神なので、どハマりしたらどこまでも。)

そんな中で、少しの時間でも読んでいる本があります。
小説でもエッセイでもなく、哲学の本を読んでいます。

哲学って?

哲学とはなんだろう、と改めて調べてみると
生活のなかで疑問に感じたことや身の周りにある問題について自分なりの“問い”を立てながらこだわって考えをつきつめていく学問のこと』。
なんだかわかったようなわからないような説明でとっつきにくい印象があります。
わたしも、これまでほとんど興味も知識もなく、哲学といえば思い浮かぶのはアリストレテス、ソクラテス、くらい。
そんなわたしが50歳になってはじめて触れた哲学がこの本でした。

「さみしくてごめん」永井玲衣

書店で平積みにされている中で、目を引いたのは装丁のデザインが素敵だったから。
手にとってみると、哲学者、とある。
哲学?と条件反射で戻しそうになりましたが、せっかくなので中をパラパラ開いてみる。
立ち読みでささっと目を通した話があまりにおもしろくて、哲学ってこんな笑えるもの?と驚きながらも購入。
帰宅して読んでみると、おもしろくてゲラゲラ笑ってしまうお話がたくさんありました。
この本は、哲学者である永井玲衣さんのエッセイです。
エッセイだけれども、クスッと笑えるお話がたくさんなのだけれども、やっぱりどれもが哲学につながっているような感じで、それが新鮮で楽しい。
哲学の本です、という感じの本だったら、きっと手にはしなかったけれど、エッセイの入り口から入ったら哲学にゆるやかに細い糸が繋がっていた、という印象のこの本は、わたしの新しい読書の扉を開いてくれたのです。
どんな難しいことも、こんなふうにゆるやかに軽やかに導かれたら、世界はもっと広がるなあと思って、なんだかワクワクしました。
続けて読んだ、永井玲衣さんの「水の中の哲学者たち」。

こちらもエッセイですが、哲学対話、という永井さんが行っておられる活動の話を元にしたものでした。
この本も、哲学に紐づいているのだけれど、とてもやわらかく優しい印象の一冊で、おそらくそれは永井さんのユーモアが散りばめられている温かい文章のおかげなのだと思う。
哲学って、全然身近じゃない遠い話、だと思っている方(わたしもそうだった)にこそ読んでほしいと思える本でした。

「カキフライが無いなら来なかった」せきしろ✖️又吉直樹

この本は文筆家のせきしろさんと又吉直樹さんの自由俳句集。
自由律俳句とは、五七五の定型にも季語にもとらわれない自由な形式の俳句のことで、わたしもつい最近知りました。
数年前から急に、短歌や詩、俳句に興味を持ちはじめて、ちょこちょこ読んでいます。
短歌や俳句、というとおじいちゃんやおばあちゃんの趣味、とか平安時代的なイメージしかなかったわたしが最初に興味を持ったのは、おそらく最果タヒさんの作品を読んだときから。
装丁デザインのかっこよさや、これまでの詩人のイメージを大きく変えるような感性やセンス、
作品が映画化されたりアートとコラボレーションされたりと、毎回驚くような世界観を見せてくれる様子に引き込まれたのがきっかけです。
わたしは詩や短歌や俳句の世界には詳しくないけれど、そんなわたしでも繰り返し手に取りたくなる詩集や短歌集があります。
難しいことはわからないけれど、端的にシンプルに言葉の選び方や組み合わせ方、タイミングの良さに感動するのです。

2人の自由律俳句が交互にポンポン流れてくるようなこの本は、ページの右がせきしろさん、左が又吉さん、という感じで、余白たっぷりで文字フォントが大きいのもおもしろい。
合間にエッセイや写真が入るのも楽しくてあっという間に読み終えました。
どこかで自分も感じたような感覚、見てきたような景色、言葉選びに大笑いしたりきゅっとなったり。自由律俳句とはなんたるか、はわからなくても十分に楽しめる一冊だと思います。



知らない世界に出会う楽しみ

詩とか俳句とか短歌とか、好きだけれど実際はよくわかっておらず、今はまだ、上澄みだけをさらったような楽しみ方をしている。
それでも他では出会えない言葉の先鋭さやセンス、深さを感じることができるので、まだ知らない作品をのぞきたくなるのだと思います。

ちょっとした5文字程度の短い言葉が、強烈に胸に残ったりすることが何度もあって、すごく魅力的だなあと感じるこの世界、まだまだ知らない分野ってたくさんあるのだなあと思う。
そしてもっともっと掘り下げてみたい。

(最果タヒさんの詩集は装丁からかっこよくてお気に入り。永井玲衣さんの本と並べるとポップでかわいい。)

あき

会社員・料理教室主宰 / 福岡県 /

49歳/夫・息子(24歳)・猫/手づくり部・料理部/インテリアコーディネーター、ジュニアベジタブル&フルーツマイスター。料理と、そのまわりの空間づくりと、インテリアが好き。季節を感じながら、料理をして盛り付けてしつらえて。いただきますと食べることがなによりの幸せだと思っています。おしゃれすること、本を読むことも好きです。生まれも育ちも生粋の関西人ですが、福岡に住んでもう15年以上が過ぎました。日々の暮らしを丁寧に楽しく。よろしくお願いします。

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