物語は、まるで奈落の底に突き落とされたかのような場面から始まります。主人公はカメラマンとして働く女性。結婚を意識していた彼からプロポーズされた翌日、その彼が「盗撮」で逮捕される──あまりにも皮肉な展開です。

信じたい、まだ好きという気持ちが残っている。「どうして?」「なぜ?」と何度も問いながら、彼の気持ちに寄り添おうとしてみたり、逆に試すようなことをしてしまったり。自分に魅力がなかったのではないかと、自分を責めたり。
日を追うごとに、さまざまな感情があふれてきて、頭の中はぐちゃぐちゃ。そんな葛藤や揺れる気持ちが痛いほど伝わってきて、ページをめくるたびに胸が締めつけられるような気持ちになります。
――もし、自分の大切な人が、犯罪を犯してしまったら?
誰にでも過ちはある。けれど、その過ちは決して消えるものではない。でも、これまで一緒に過ごした思い出も、彼の良いところも、確かに存在していて、そのどちらを信じるか、そのどちらと共に生きていくか・・・。
離れたくない。でも、一緒にいることが苦しい。
そのとき、自分にとって、相手にとって、本当の「幸せ」ってなんだろう?「愛」ってなんだろう?ということを考えさせられる小説でした。
そしてこの小説は、「過ち」や「性」というテーマに対して、一方向ではなく、被害者、加害者、性を利用する人などさまざまな視点や価値観で描いているところも面白かったです。読む人の経験や立場によって、共感する箇所や見え方もきっと変わってくると思います。
やっぱり本屋大賞のノミネートの作品は面白い!
TB - あお
会社員 / 埼玉県 / LEE100人隊トップブロガー
39歳/夫・息子(14歳・8歳)/フルタイムの会社員、ワーママ歴は13年目に突入。39歳でリモートワーク中心の会社に転職しました。平日はとにかく質素に疲れないように過ごし、土日は子ども達の試合を見に行ったり、カフェに行ったりアクティブに過ごしてます。趣味は読書、料理、インテリア。特技は家計管理。日々、自分の心と身体を整えるために、ジャーナリング、読書、ヨガ、ウォーキングや筋トレに勤しんでいます。骨格ストレート、イエベ秋。身長153cm。
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