LEE今月号のP.190~『LEE100人隊 夏の“推し本”アワード』の小説部門で、私が「この本、読んでよかった!」と思えた
『 対岸の家事 』 (朱野帰子さん)
のコメントを掲載して頂きました。(ありがとうございます!)
手にとったきっかけ
『対岸の家事』は、4月に多部未華子さん主演でドラマ化されていたので、ご覧になっていた方もいらっしゃるかと思いますが、私もその1人です。
内容などは知らず多部さんが好きなので見てみようかな…と軽い気持ちで見始めたら第1話で心をグッとつかまれてしまいました。
子どもがまだ小さかった頃、子どもと2人きりの1日はとても長く感じました。
毎日赤ちゃんに話しかけるけど、それは私の独り言。
急に社会から離れて孤独を感じる日々で、誰か大人と話したいと思う、私の話を聞いて欲しい。
あの頃の自分は、全部主人公の詩穂と同じでした。
詩穂の気持ちにすごく共感していた私は、その時小説も読んでみたいと思ったんです。
あらすじ

主人公の詩穂は、娘と夫と穏やかに暮らす専業主婦。
しかし家事や育児に追われながら心に孤独や苦しみなどのモヤモヤを抱え、家族のために頑張っているのに満たされないその気持ち、、自分で専業主婦を選んだのにその選択は正しかったのか、、、などの葛藤を様々な人との出会いを通して少しずつ見つめなおしていきます。
専業主婦は絶滅危惧種
これはある日、詩穂が子育て支援センターで知り合った育休中の礼子の言葉なのですが、専業主婦の私にとってはパワーワードでした。
きっとドラマを見た方がいたら、そちらでもこのワードは衝撃的だった方もいるのではないでしょうか。
『主婦ってもうマジョリティではないんだ、なぜ主婦になったかその理由を説明しなければいけない時代になった』と著者の朱野さんがあとがきで語られていたのですが、まさにそうかもと思いました。
最近は病院に行った際も医師に「仕事は何してる?」と当たり前のように聞かれることが増えました。
そのたびに私は「仕事はしていません」と、仕事をしていないことにどこか後ろめたさを感じてしまう自分がいました。

私は長女妊娠中に体調を崩し、仕事を続ける自信がなくなりそのまま退職することに。
子どもが小さいうちは専業主婦でもいいかなと思い続けてきたのですが、子どもたちも成長して手が離れてきた今、共働きの家庭が増えてきた中で専業主婦の自分を周囲と比較し、モヤモヤしてしまう気持ちが以前より増えました。
どの立場にも言葉にならない苦しみがある
ワーキングマザー、育休中のエリート公務員、思うように子どもを持てない夫婦…詩穂が出会う登場人物たちもまた、どの立場にも抱える悩みや葛藤などがあり、きっと読む人が共感する部分も多く、専業主婦だけのお話ではなく、みんなそれぞれ頑張っているけれど報われないやるせなさなどが描かれています。

どんな立場の人も同じようにそれぞれ見えない苦しみと向き合い、日々を頑張って生きている、そんなリアルな姿が読んでいて胸に刺さりました。
本を読んで
専業主婦として家事と育児に専念する時間は好きです。
家でのインテリアを楽しんだり整理収納を考えるのが好きだったり、きっと専業主婦であったからというのも少なからずあるような気もします。
専業主婦だったからこそ出会えた人がいて、だからこそ過ごせたかけがえのない時間もありました。
でも育児や家事に追われ、時々自分の存在が薄れていくような感覚も同時に少し感じてしまい、そんな私の中のモヤモヤの気持ちを主人公の詩穂と一緒に考え、そしてそんな私に寄り添ってくれて、今の日常も大切にしたいと思えるそんな一冊でした。

これからの私は専業主婦として過ごした時間を否定するのではなく、その時間があったからこそ今の自分がいる、選んだ日々はちゃんと意味があったと前向きな気持ちで、先月号の特集にもあった『私、このままじゃ終わらない!』のように、この先新しい一歩を少しずつ外の世界へと踏み出してみたいと思っています。
056 ayu
056 - ayu
主婦 / 埼玉県 / LEE100人隊
42歳/夫・娘(16歳)・息子(11歳)/手づくり部・料理部・美容部/北欧のインテリアや雑貨が大好きです。インテリアコーディネーターと整理収納アドバイザー1級の資格を取得し、私らしく頑張りすぎない心地よい暮らしを日々考えています。読書、植物、器、建築、お散歩も好きです。3年目も日々の中で感じる好きを大切に、楽しく綴っていけたらと思います。よろしくお願いします。
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