暮らし発見

《子宮頸がん闘病記》30代でがんになるという事。死をそばで感じた日々。2-告知-

  • TB うさこ

2025.06.12

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告知

数日の検査を経て、ようやく結果が出揃い再び診察室に呼ばれたのは年末ギリギリの病院の最終診察日だったと思う。

診察室に入るなり、何も言わずに先生が手渡してきたのが病気の進行を示した図表だった。

何のことかわからず「?」と思いながらその図表を順に見ていくと、初期から順に進行して最後に「子宮頸がん」と書いてあった。

え?ってなって

「先生、私子宮頸がんなんですか?」と尋ねると、「その可能性が高いと思う。子宮全摘出は免れないと思う」と。

まるで頭を殴られたような、一瞬で世界が変わるような衝撃。

私がんなの?え、でも一年前の検査は何も引っかからなかった。がんって毎年検査してたらすぐ見つかるんじゃないの?

あ、チビうさはどうしよう。あれ、私死ぬの??まだ30歳なのに??もう子ども産めないんだ。

一瞬で色んな事が浮かんで、先生の話が頭に入らない。

血の気が引いて身体の感覚が無くなる。

まさかこんな宣告を受けるとは思わず、その日は一人で来ていた。

がんの告知って先に家族に知らせたり、誰か付き添いをお願いされるんだと思ってた。たった一人で聞かされた診察室の中は、あまりにも非現実的過ぎて、不思議と涙も出なかった。

先生からの「別の病院で手術が必要になります」という言葉に「え、ここで手術出来ないんですか」と尋ねる。だって廊下にこの病院での「子宮頸がん手術」のポスターが貼ってあるじゃないか。

先生は困ったような顔をし「うさこさんの進行ではもっと大規模な病院での手術が必要です」と告げた。

ぼんやりとした頭でもなんとなく理解できたのは、この告知をされる前に「万が一子宮頸がんだとしたら、これほど症状が出ていたら恐らく初期ではない」という情報を知っていたから。

鼓動が早くなる。

どうしよう、どうしよう、どうしよう

私本当に死んじゃうのかもしれない。

診察室を出た後、まるでドラマで見たように周りの景色が全て色を失って白黒に見えた。

さっきまで近くにあった世界が今は全て遠くて、診察待つ隣の人も、そばを通る子ども達の笑い声も全部が遥か遠くに聞こえる。自分だけが全く違う世界にいるみたいだった。

自分が死ぬかもしれない。家族を置いて。小さな娘を置いて。

その圧倒的な現実を身体が拒否していた。

家族への告知

ふらふらと病院を出て車に戻り、結果を待っていた仕事中の夫にようやく電話をした。

「私、子宮頸がんだって」

「え!?!?!?」

「ここじゃ手術できないんだって」

「え…」

泣かないように精一杯堪えて事実だけを伝える。

夫は「いや、でも事前に色々調べたけど、がん検診から1年くらいしか経過していないし、子宮頸がんだとしてもそんなに進行していないと思うよ」と励ましてくれた。

追い詰められていた心が少し軽くなる。そうだ、まだステージが確定したわけじゃない。死ぬって決まったわけじゃない。娘の為にも夫の為にも家族の為にもここで死ぬわけにいかない。

この告知の日から闘病が終わるまで、夫も私の肉親も、誰も私の前では泣いたりネガティブな言葉は言わなかった。

それにどれだけ救われただろう。

もし家族に泣かれていたら、私もその感情につられて泣いて自分の死がそばにあるという現実に押しつぶされてしまったと思う。(もちろん人によっては傍で一緒に泣いて寄り添ってほしいという方もいると思うので、私の場合は)

いつも通りの調子で、明るく支えてくれた事が闘病中とても救いだった。

年末年始の日々

転院をすすめられたものの、年末年始だったことで具体的な話は正月明けまで持ち越しになった。

出血は処置のお陰もあり、ある程度落ち着いていたけれど、何かのきっかけでまた出血する可能性があるとの事。

年末から三が日は病院はお休み。

食欲も無く、家でふさぎ込む日々に「思い切ってうさこの実家に帰らない?」と夫が言ってくれた。本来だったら夫のお正月休みで私の実家に長めに遊びに行く予定だったものの、緊急事態で取りやめることにした帰省。

病気については母に電話で報告していたけれど、直接は話せていない。出血の不安もあったけど、思い切って三日間実家に帰ることに。

帰省した実家ではいつもように家族が出迎えてくれて、不安な気持ちが和らいだ。

その時は自分の事にいっぱいいっぱいだったから、家族の気持ちなんて考える余裕はなかったけど。

あの時家族それぞれが、父母にとっては突然若くしてがんになった幼い子どもを育てる娘を、妹にとっては姉であり、子どもがいなかった叔父叔母にとっては娘のような姪であり、祖母にとっては孫であった私を、いつも通り出迎えてくれた。

あの時の家族みんなの気持ちを考えると胸が苦しい。数年後祖母が亡くなった時に「あの時ばあちゃんすごく心配してたんだよ」って叔母に聞いた。

そんな配慮が有難かった。不安で押しつぶされそうだけど、家族と当たり前に楽しい時間を過ごし、1月3日に翌日の通院に備えて実家を後にした。

また絶対元気になって地元に戻ってくる。

そんな事を思いながら。

―――つづく

005*みんな、すごい顔してブログ読んでるよ?☜うさこ

TB - うさこ

パート事務員 / 北海道 / LEE100人隊トップブロガー

44歳/夫・娘(15歳)/料理部・美容部/ゴルフ大好き激務夫と、部活に燃えたアイドルオタクな娘と自然豊かな道央圏在住。子宮頸がん、抗がん剤経験者。数々の人生の修羅場をユーモアで潜り抜け、LEEを愛してここに辿り着く。自称明るい人見知り。カスタムした軽自動車で、推しのキンプリやJUMPを流しながら車中泊やドライブを楽しみ、カフェに行って読書や手帳を書くぼっち時間が幸せ。趣味はダイエット、特技はリバウンド。痩せた時だけ会える“幻の私”を日々追い求めている。週末おいしいビールを飲む為に働くマイペースな4年目隊員。160㎝に憧れるも、身長は何度測っても159㎝。

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