《子宮頸がん闘病記》30代でがんになるという事。死をそばで感じた日々。6-別れとそれから-
-

TB うさこ
2025.06.27
- 16

AYA世代のがん患者
私が病気になった時の年齢は30歳。
この世代のがん患者さんはAYA(アヤ)世代〝Adolescent&Young Adult(思春期・若年成人)〟と呼ばれ、一般には15~39歳の世代のがん患者さんがこう定義されている。
『AYA世代は就学や就労、結婚や出産、育児といった、様々なライフイベントが起こる時期であり、がんに罹患すると、その治療の過程において、通学や仕事の継続に支障をきたすことが往々にしてあります。また治療の影響により不妊となることもあり、出産や育児への影響も小さくありません。さらには、仕事の継続が難しくなることもあり、金銭面の問題も看過できません。このような要因から、AYA世代のがん診療は、医学的な面だけでなく、AYA世代に特有のさまざまな問題点に配慮した精神的・社会的な面からのサポートが必要となります。』―国立がん研究センター希少がんセンターHPより
30歳はがんになる年齢としてはやはり若く、私が入院していても同世代のがん患者さんになかなか出会えなかった。
同世代の患者が感じる同じような悩みを共有したくて、SNSや患者会を通じて出会ったのがAYA世代や比較的若いがん患者さんたち。私たちは交流を通じて仲良くなり、互いを〝がん友〟と呼んだ。
がん友と支え合って生きる
がんになって家族も友人もたくさん支えてくれたけど、周りには言えない不安や弱音があって。そんな時は同じ病気をしたがん友に話した。
患者同士でしか話せないような生死に関わるブラックなジョークも話せる間柄。それにとても救われた。
今の100人隊デートのように北海道まで会いに来てくれたがん友もいたし、私が治療後道外まで娘を連れて会いに行ったがん友もいた。
治療が辛い時、不安に襲われた時、がん友達との繋がりに何度も助けられた。
別れ
子宮頸がんの再発するまでのスピードは他のがんに比べて比較的早かった。初回の治療が終わりしばらく経過したのち、同時期に治療をした何人かのがん友が再発した。
再発していない自分が何と声をかけていいかわからなかった。
がんという病気を知れば知るほど、「再発」というものがどれほど重い事実か、どれほど絶望するかを知っていたから。
しんどすぎる治療を乗り越えたその先にある再発は、また治療を行わなければいけないという絶望と命の危険を宣告されるようなもの。再び治療に入っていく仲間にうまく寄り添えたかはわからない。
お見舞いに行ったり、差し入れをしたり、メッセージを送ったり。
気休めにしかならない事もわかっていたけれど。
*
季節がいくつか過ぎた頃、何人かの仲間が亡くなった。
自分の治療ではほとんど泣くことがなかったのに、仲間の訃報を聞いた後、驚くほどメンタルを崩した。運転中に気付いたらわけもなく泣いていたり、号泣したり。
とてもじゃないけれど受け止めきれなかった。
命のバトン
がん友が再発して病状が進行した時、がん友の状況が厳しくなった時、がん友が亡くなった時、私は思った。
「どうしてあんなに頑張って治療した彼女が?」「同じように頑張ってきたのに、どうして?」
なぜ自分は助かったんだろう。どうして私じゃなくて彼女だったのか。
自分を責めるような感情が湧き上がる。みんな同じようにあんな辛い治療を頑張ったのに。
そんな時、見透かされたように再発して厳しい状況にいるがん友たちに言われた事がある。
「どうして自分が助かったのかって思わなくて良い。自分を責めないで欲しい」
「うさこが元気でいると伝え続ける事が誰かの希望になるから、だからうさこは〝元気でいるよ〟と発信し続けてほしい」
今、どこかにいるあなたに伝えたい
もしもこのブログを今読んでくれている人の中に、自分が病気をして不安な人や診断を待っている人、そんな家族がいる人がいたら。
同じように病気をしたけど、私は今元気でいるよって伝えたい。
どうなってしまうか不安で、同じ生活に戻れるのかな、どうなっちゃうのかなって思っていた私のような人がいたら。
今、病気をする前と同じように、日々のちょっとした事に笑ったり泣いたり怒ったりしてるよ。
誰かの希望になりたいなんておこがましいかもしれない。もっと大変な状況にいる人がいる事もわかってる。それでも伝えたい。
あの時がん友とした約束は随分遅くなってしまった。ごめんね。あの頃より多くの人の目に留まるこの場所で、あの約束が果たせたらいいなと思う。
絶望の中にいた過去の私に寄りそうように、どこかにいる不安を抱えるあなたに届きますように。
―――end.
005*みんなが生きたかった日々を生きていく。うさこ
TB - うさこ
パート事務員 / 北海道 / LEE100人隊トップブロガー
44歳/夫・娘(15歳)/料理部・美容部/ゴルフ大好き激務夫と、部活に燃えたアイドルオタクな娘と自然豊かな道央圏在住。子宮頸がん、抗がん剤経験者。数々の人生の修羅場をユーモアで潜り抜け、LEEを愛してここに辿り着く。自称明るい人見知り。カスタムした軽自動車で、推しのキンプリやJUMPを流しながら車中泊やドライブを楽しみ、カフェに行って読書や手帳を書くぼっち時間が幸せ。趣味はダイエット、特技はリバウンド。痩せた時だけ会える“幻の私”を日々追い求めている。週末おいしいビールを飲む為に働くマイペースな4年目隊員。160㎝に憧れるも、身長は何度測っても159㎝。
この記事へのコメント( 16 )
※ コメントにはメンバー登録が必要です。

















TB うさこ