本屋大賞は、全国の書店員さんが「一番おすすめしたい本」を選ぶ賞。だからこそ、本当に外れがなく、おもしろい作品が多いんです。今年も早速読みました!
あらすじ
主人公は、弟を亡くした姉。弟は遺書を残しており、そこには「恋人に遺産を渡してほしい」と書かれていました。姉がその恋人に会って遺産の話を伝えると、彼女は受け取りを拒否します。そこからふたりの関わりが始まり、姉は彼女の仕事であるボランティア活動を手伝うようになります。
そのボランティア活動というのが「家事代行」。チケット制で困っている知り合いにチケットを配り、それを使って家事支援を行うというもの。いろいろな家庭を訪問し、様々な家族の課題と向き合いながら、家事をこなし、弟の恋人との交流を深めていきます。そして、今まで知らなかった弟の姿や、彼の死に関する真実に少しずつ触れていく――という物語です。
「食べること」「清潔に暮らすこと」の力
主人公自身も大きな悩みを抱え、心が荒れていた状態でしたが、弟の恋人が作ってくれた食事を食べるうちに、少しずつ変わっていきます。
ボランティア活動の中でも、食事を通して笑顔になる家族や、掃除をして感動してくれる人たちの姿に触れ、「食べること」「清潔に暮らすこと」という基本的な家事こそが、人の心と身体を元気にする源なのだと実感しました。
特に印象的だったのは、母子家庭の家に行ったとき、弟の恋人が子どもに言った「おにぎりを作れたら戦闘能力あがるよ」という一言。料理ができるようになると、自分のことを自分で幸せにできるようになる。自炊は自分自身のケアにもつながり、まさに“生きる力”だなと感じました。
それぞれのキャラクターも魅力的
登場人物たちは一見、順風満帆に見えて、実はみんなそれぞれ葛藤を抱えています。「悩みのない人なんていない」――そんな当たり前のことを改めて感じさせてくれる描写が多く、心に響きました。
どのキャラも本当に素敵で、それぞれの背景や気持ちに思いを寄せると、胸がぎゅっと締めつけられるような感覚になります。
言葉の感性が素敵
カフネというこのタイトルの意味。愛する人の髪にそっと指を通す仕草、ポルトガル語の和訳だそうです。このような言葉の和訳のセンスがすごく好きです。
何気ない家事が、誰かのエネルギーになる
料理、洗濯、掃除――毎日続く何気ない家事。でもそれが、誰かの心を支えたり、生活を明るくしたりする。そんな日々の家事の素晴らしさを、この本は教えてくれます。
そして読み終えたあと、自然と「誰かの役に立ちたい」という気持ちが湧いてくる。そんな一冊です。
心がじんわり温まる、優しくて力強い物語。ぜひ読んでほしい、おすすめの一冊です!
TB - あお
会社員 / 埼玉県 / LEE100人隊トップブロガー
39歳/夫・息子(14歳・8歳)/フルタイムの会社員、ワーママ歴は13年目に突入。39歳でリモートワーク中心の会社に転職しました。平日はとにかく質素に疲れないように過ごし、土日は子ども達の試合を見に行ったり、カフェに行ったりアクティブに過ごしてます。趣味は読書、料理、インテリア。特技は家計管理。日々、自分の心と身体を整えるために、ジャーナリング、読書、ヨガ、ウォーキングや筋トレに勤しんでいます。骨格ストレート、イエベ秋。身長153cm。
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TB あお