40歳の再始動を応援したくなる一冊『婚活マエストロ』

子どもの頃から読書が大好きで、忙しい日々の中でもなんとか本を読む時間を確保することに必死なイマチカです。
今月もとても面白い本との出会いがあったのでご紹介したいと思います！

人生の再スタートを応援したくなる一冊

貯金も、恋人も、スキルもない、さえないフリーwebライターの猪名川健人が40歳の誕生日を迎えたところから始まる、宮島美奈さんの新作『婚活マエストロ』。
物語は、彼が取材を通じて出会った婚活プランナーの鏡原奈緒子との交流を軸に、少しずつ、でも着実に“人生の再始動”に向けて進んでいくお話です。

著者の宮島美奈さんといえば、2024年の本屋大賞など数々の大賞を受賞した『成瀬』シリーズが有名ですよね。
どの本屋さんに行っても、平積みでコーナーが作られていたほど！見たことがある方も多いのではないかと思います。

私、成瀬シリーズの大ファンなんです♡
本の内容が面白いことは勿論、宮島さんの文章は軽快で情景が鮮やかで。

しかも、私が学生時代に過ごした滋賀県の琵琶湖が題材となっていて、そこもまた懐かしい思い出と重なってお気に入りの作品になりました。

高校生が主人公の成瀬シリーズは、思わず主人公を全力で応援せずにはいられない！、ちょっと破天荒な主人公が繰り広げる目が離せない展開の内容の本だったのですが
婚活マエストロもまた、読みやすい軽快な物語の中に「人生に躓いた大人」に寄り添うような、リアルだけどあたたかな視点に溢れていました。

何者でもない男が人生のマエストロに出会う

タイトルからして婚活女性向けなのかと思いきや、婚活を題材とした“人と人が本気で向き合うことの面白さ”や、“人生を見つめなおす勇気”がテーマになっているように感じます。

未来がぼんやりしていて冴えない日々を過ごす40歳を迎えた一人の男が、仕事に情熱を注ぎ、驚異のカップル成立率を誇る伝説と呼ばれる婚活プランナーに出会い、自分の無気力さを改めて自覚していきます。

何をするにも遅すぎることはない、誰かの一歩踏み出す勇気になるかもしれない。
人生に無気力だった主人公の男が、劣等感や焦り、喜びや情熱を見出すそのプロセスは、読み進めるうちに自然と応援したくなり、読んでいる私の心も熱くしてくれました。

いつの間にか私が応援されている一冊

40歳で人生を再始動させた主人公に自分を重ねて「私も気になっていたことを始めてみようかな」と思わせてくれるような一冊でした。
仕事や恋愛（二人の恋の行方も気になる…♡）、人生に生き詰まりを感じているようなアラサー・アラフォーの背中をそっと押してくれるような物語でした。