確信
私にとって運命の日は
1月5日でした。
忘れもしない
その日は夜も余震などあり
はる香さんたちが心配なのもあり
細切れでしか眠れていませんでしたが
明け方４時ころに
夫が「ちょっと起きて」と。
もうその時から胸騒ぎがしてましたが
安否不明者リストに
はる香さん、優香ちゃん、泰ちゃん、湊ちゃんの
４人の名前が載っているのを見つけたことを
私に教えてくれました。
名字の後の４人の名前が
ひらがなでしか表記されていなかったことに
言いようのない切迫感を覚えました。
その場で泣き崩れました。
震えが止まりませんでした。
私の口から出た第一声は
「あの子に、なんて言えばいいの、、、」
でした。
私にとっては
彼女たちの死を確信した瞬間が
このときでした。
安否不明者リストは
安否不明なだけであって
生きているかもしれない
そう思うことも出来ましたが
私には無理でした。
それよりも圧倒的に
事実を受け入れなければ
気持ちを落ち着けなければ
これから来る心の大きな揺さぶりに
なんとか耐えなければ
このリストを見てからは
そんな気持ちしか
湧き上がりませんでした
小さな２人の息子が眠る横で
朝になるまでずっと
四角い天井を見つめながら
考えていました。
でも涙が止まらなくて
拭っても拭っても天井が滲んで
このまま会えないのかな
もう二度と、
彼女たちには会えないんだろうか
会いたいな
娘になんて話そうかな
そう思いながら朝を迎えました。
話せないよ
こんなこと
私だってはる香さんのママ友だよ
私にとっては1番のママ友だった
なんでいま「だった」て思った？
なんで過去形にしなきゃなんだ？
胸が張り裂けそうに苦しい
泣き叫びたいくらい悲しい
そう思いました、勿論。
でも、朝が来れば
おそらく
このリストはテレビでも報じられ
沢山の人の目に触れるだろう
それに気づいたお友だちから
不意に死の可能性を告げられるよりは
私が、自分の口から
現状1番正しいであろう解釈を
きちんとあの子に伝えなくては
冷静になれ。と
そんな思いが、
心の中でグラグラしている自分を
なんとか踏ん張って支えていました。
何も知らなかった自分
朝が来て
娘に話すまでの間に
彼女の実家が、
仁江町という場所にあり
一家11人生き埋めになった
まさにその家だったということが
ようやく線でつながりました。
何度も空撮のヘリが上空から撮影し
ニュースで報じられていた家でしたが
まさかそこが彼女の実家だったなんて
夢にも思っていませんでした。
はる香さんの旧姓も知らなかったし
そんな孤立集落に実家があることも
何にも知らなかった
少なくとも私にとっては
1番のママ友だって思っていたのに
私、はる香さんのこと
何にも知らなかった
誰のせいでもないとわかっていても
そんな自分が情けなく思い
余計に悲しくなった
そんな記憶も残っています。
地獄のような朝が来た
翌朝
何も食べられなくなることを懸念し
朝食を食べてから
娘に伝えました。
落ち着いて聞いてほしい
そう言って話し始めたと思います
ニュースで盛んに報じられている
土砂崩れに巻き込まれたおうちは
優香ちゃんのママの実家だということ
安否不明者リストに
4人の名前が載っていること
生き埋めになった状況と
人間の生存限界を考えると
生きていると考えるのは
絶望的である事
これを
こんなことを
親の口から子に伝えなければならない
こんな地獄がありますか
神様。
娘は
状況が飲み込めていないような顔をしながらも
涙目になり、
「え、優香が？
優香死んじゃったってことなの？」
と私に聞き返してきました。
涙を流し
真剣な目で頷いた親の顔を見て
11歳の子はどう思っただろう。
親の私からこんな告知を
親友の 突然の死を伝えられるなんて
あの子はどういう気持ちだっただろう。
その後の娘のことは
あまりよく覚えていませんが
多分、現実を把握出来ていなかった
放心していたような感じだったと思います。
001 - ミミ
専門職 / 石川県 / LEE100人隊
41歳／夫・娘（13歳）・息子（5歳・2歳）／料理部・美容部／旅、インテリア、ガーデニングなどが好きです。おいしいものも大好き。3人の育児と仕事で目が回りそうな毎日ですが、LEE100人隊の活動は自分の中の「好き」を再発見できる大切な場所です。気づけば2年目！いろんなことにチャレンジしながら、日々を楽しく過ごしていきたいです。
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