震災当日以降の話
大変な元旦を過ごし
それでも隣県の夫の実家付近は
スーパーはガラスが飛散していましたが
なんとか買い物に行けたり
ガス、電気、水道などの
ライフラインが確保出来ているだけ
安心感がありました。
それでも
いつまで経っても既読にならないLINE。
最初は
珠洲は電波障害が続いているのかな
避難先で携帯が充電出来ないのかな
と、避難していること前提で
思考を巡らせていました。
実際、発災当時は16時台。
すぐ日没を迎えたので
テレビからは
輪島が燃えていることくらいしか情報がなく
ましてや珠洲の状態など、
知る由もありませんでした。
翌日以降、奥能登にメディアが入り、
惨状がようやく伝えられ始めました。
避難所の映像が映し出されるたびに
件の家族の姿を探していました。
だんだん
これはただごとではない、
大きな大きな災害が起こったんだと
認識するようになり
既読にならないLINEが
嫌な予感を裏打ちしている気分になりました。
何もわからないっていう間は
良い方に考えよう。
きっと暗くて寒くて
不自由しているだろう
小さいこどもを連れての避難は
さぞかし辛いだろう
金沢に帰ってきたら、
おかえりって よく頑張ったねって
全力でサポートしよう。
そう心に決め
あまり考えないようにしていました。
この時感じていた気持ち
どこかで
「自分は」大丈夫だと思っていた。
それは、もちろん
自分だけ、ではなく
「自分とその周りの人々」という意味で、
自分は大丈夫だと思っていた。
だって私は無事だったんだもの。
そんな無慈悲なことが
起こるわけ無いでしょう
それはテレビの向こうの出来事だよ
見たこともない顔で
聞いたこともない名前の人に起こる
特別な出来事だよ
私じゃないよ
私の周りの人じゃないよ
私には関係ないんだよ
珠洲からは遠い地で
何度もそう言い聞かせていた
でも ほんとうは
呪文のようにそう唱え続けることで
悪い予感が確信になる過程の この気持ちを
少しでも落ち着けなきゃって
心の奥底では思っていたのかもしれない。
それくらい、当時の私にとって
現実を受け止めることは
あまりに重く、辛く、苦しく
残酷なことだったんだと思います。
既読にならないメッセージ
一向に既読がつかぬままでも
普段のやり取りなら
そんなこと忘れてしまうけれど
その時ばかりは
トーク画面を１日に何度も開き
やはり既読にならないと落胆し
また数時間後に開き、ため息。
そんなことを繰り返していました。
もはや３日をすぎる頃には
気になって仕方がなく
ネットやテレビのニュースで
彼女たちに関する情報が無いか
検索したりもしました。
信じたい自分と、分析する自分
正直怖かった。
珠洲の避難所開設の中継や
自衛隊が到着したとか
これだけテレビも入るようになるなら
とっくに携帯も既読になるはず
という思いと、
いやいや、携帯なんか
持っていける余裕なんて
きっと無かったんだ
身一つで避難しているんだ
という思いとが交錯していました。
信じる自分、信じたい自分がいて
その一方で
頭の中で現状を冷静に分析する自分がいる。
思考の90%は無論前者だし、そうありたい
けれども
子どもが信じていると思うと
2極化して考えるしかなかった。
万一の事は、考えたくない。
けど
子どものことを思うと
考えるな考えるなと
自分に言い聞かせることは
出来ませんでした。
何でって
そうしないと
万が一、嫌な予感が現実だったときに
自分を保てなくなってしまう。
自分も感情的になってしまう。
取り乱してしまうだろうから。
それくらいの事が起こったのかも
だとしたら
私が落ち着かずにどうする
ちゃんと、万一の可能性も、
頭の片隅には入れておくんだ
そう思ってその日までは粛々と
過ごしていました。
001 - ミミ
専門職 / 石川県 / LEE100人隊
41歳／夫・娘（13歳）・息子（5歳・2歳）／料理部・美容部／旅、インテリア、ガーデニングなどが好きです。おいしいものも大好き。3人の育児と仕事で目が回りそうな毎日ですが、LEE100人隊の活動は自分の中の「好き」を再発見できる大切な場所です。気づけば2年目！いろんなことにチャレンジしながら、日々を楽しく過ごしていきたいです。
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