最近、前から読みたかった原田マハさんの小説を読みました。

『たゆたえども沈まず』、『リボルバー』、そして、最後は前から自分で持っていた本ですが杉全美帆子さんの『イラストで読む印象派の画家たち』という印象派画家についてのユーモア溢れる本。

どれも新刊というわけではないので、読んだことのある方も多いかもと思いますが、アート小説は読み応えもあり、好きな分野でもあるので面白かったなぁと余韻に浸り中です。

2冊ともゴッホがメインの小説ですが、印象派画家やゴッホ、ゴーギャンのようなポスト印象派画家の生涯をイラストを交えて軽やかに解説している『イラストで読む印象派の画家たち』を読み返しながら読むと、さらにおもしろさ倍増でした！

『たゆたえども沈まず』

言わずと知れたフィンセント・ファン・ゴッホとその弟である画商のテオ、そして、パリで浮世絵などの日本美術を売りさばく日本人画商の林、加納という4人の人物たちを中心に、ゴッホの人生を辿ってゆくアート小説です。

加納重吉という人物は架空の人物なのであくまでフィクションですが、まるでゴッホやその周りの人たちのノンフィクションな日常が描かれているようで、どんどんストーリーに引き込まれました。

耳切り事件とか、精神を病んで療養とか、なんとなくだいたいの出来事は知っていたつもりですが、そこにゴッホの心情や周りの人間との些細な出来事、機微な気持ちの揺れ動きや当時の社会の状況などが加わることでぐっとゴッホを身近な存在に感じたお話でした。涙がちょちょぎれそうな切ないシーンもあります。

『リボルバー』

一丁の錆びついたリボルバーがパリのオークション会社に持ち込まれたことを発端に、ゴッホの最期についての知られざる真実が解き明かされてゆく…！という小説。

こちらもゴッホの話ですが、アルルで一緒に生活していたこともあるポール・ゴーギャンもダブル主演ぐらいの感じで出てきます。

フィクションとわかっていながらも、後半は特に、「え！」「そうなの？！」「えぇ！」とドキドキしながら引き込まれます。

どちらの本も、アート好きな人ならはずさないと思うので読書の秋に手に取る一冊としておすすめです。

『イラストで読む印象派の画家たち』

そして最後はこれ、『イラストで読む印象派の画家たち』。

これはいつか何かの展覧会に行ったときに展覧会ショップで見つけておもしろそうだったので買って帰ったような記憶ですが、印象派の画家たちをイラストと実際のエピソードをもとにおもしろく解説してある本です。

どの画家もすごい巨匠たちなのですが、この本の中では、友達と職場のクセの強い上司や親戚のおもしろいおじさんのことを面白おかしくしゃべっている時のような感じで、かなり人間らしいエピソードと共に紹介されています。

ゴーギャンは濃いめのハンサムで意外に小柄とか、ゴッホは読書家で頭脳明晰とか、へぇーと思う小ネタ満載で、また、彼らの若干デフォルメされたおもしろイラストだけでなく実際の絵画作品の図版も載っているので、この素晴らしい作品の作者がこの人なのか…というギャップもありおもしろいです。

読書の秋は続く

秋というかなんというか、まだまだ真夏のような気温が継続中のここ数日ですが、暦の上ではもう9月で秋、冬へとまっしぐら。

今回文庫本を借りたつもりが単行本を予約してしまい、持ち歩くのが重いので家で一気に読む感じになりましたが、久しぶりにゆっくり読書時間がとれてなんだかうれしいひと時でした。

まだまだ読みたい本はたくさんあるので、引き続き読書習慣を続けていきたいです。

066 cana