(※撮影許可を頂いております。ありがとうございます…!)
【flood-control system】 Metropolitan Area Outer Underground Discharge Channel ; MAOUDC
地下に眠る壮大な地下神殿!首都圏を洪水から守る地下放水路
国土交通省 首都圏外郭放水路“彩龍の川”見学ツアーに参加しました!
或る土曜日、長男(中2)・次男(小5)・末っ娘(小2)・私…の4人で、埼玉県春日部市にある、首都圏外郭放水路の見学ツアーに参加して来ました。(夫は家でお留守番)「首都圏外郭放水路」とは、中川・綾瀬川流域の洪水を軽減するために地下50mにあるトンネルを通って、ゆとりのある江戸川へ流す放水路です。世界最大級の規模で、総延長は6.3km。1本500t(!)の大きな柱が59本も聳え立っている壮大な空間は調圧水槽で、外郭放水路のシンボル的存在であり、柱が林立した荘厳な雰囲気のビジュアルからメディアではたびたび「地下神殿」として紹介されることも。公式の愛称は「彩龍(さいりゅう)の川」。
こちらの建物は首都圏外郭放水路の管理支所。首都圏外郭放水路の全施設を直接管理する機関で、庄和排水機場に設置されています。


駐車場完備なのが嬉しいですね。

4 courses of “Great Tokyo Guardian” tour!!
要予約!
選べる4つの見学コース
見学コースは4つあります。(2024年7月現在)すべて公式HPでの事前予約制です。
見学ツアーの参加は、すべてのコースにおいて階段約100段の上り下りがあり、自力で歩行できる人のみの参加となります。未就学児は保護者同伴でも参加不可。中学生以下の参加者は保護者の同伴が必要(大人1名につき子ども5名まで)。
- 一番気軽&大人気!「地下神殿コース」;所要時間55分。参加料金1,000円。定員50名。地下神殿と呼ばれる調圧水槽を見学します。撮影タイムが十分に設けられています。
- 迫力満点!「立坑体験コース」;所要時間約110分。定員20名。参加料金3,000円。キャットウォーク(作業員用通路、高さ70mの高所)を歩き、立坑内の階段を途中まで降りることが出来るコース。深さ70メートルの迫力を存分に楽しめるようです。装備としてヘルメットと腰にハーネス(安全帯)を装着するとのこと。
- 深部を探る!「ポンプ堪能コース」;所要時間100分。定員20名。参加料金2,500円。首都圏外郭放水路の心臓部であるポンプに特化して構成されたコース。調圧水槽とポンプ室内を見学出来るそうです。特別公開の特殊ガスタービンの機械部や減速機まで案内してもらえます。このポンプ設備は日本国内唯一なのだとか!
- リクエスト第1位!見どころ満載の「インペラ探検コース」;所要時間110分。定員20名。参加料金4,000円。見学者用に一般開放された、調圧水槽最奥部にある直径約4mの巨大な排水ポンプのインペラ(羽根車)を特別装備で見学出来るコースです。ヒップウェーダー(長靴)とヘッドライト付きヘルメットを装着して、暗闇の中を深さ50cm程度の水に浸りながら進むため、洞窟探検気分になれるレア体験が出来るようです!身長130cm未満の子どもは参加不可、大人1名につき子ども1名まで。
私たち4人は「地下神殿コース」に参加しました。以下、見学ツアーの内容について時系列で紹介させてください。
【Part.1】
地底探検ミュージアム「龍Q館」パネル前
施設概要説明
まずは見学コンシェルジュのスタッフさんから、「首都圏外郭放水路のメカニズム」パネルを使っての施設概要説明があります。埼玉県の中川・綾瀬川流域は、利根川・江戸川・荒川などの大河川に囲まれた上にスープ皿のような低い地形になっており、また河川の勾配が非常に緩やかなために水が流れにくいという特徴を持っており、昔から浸水被害に見舞われて来た地域だそうです。
この洪水被害軽減を目的として誕生したのが、春日部市にある倉松川や大落古利根川など5つの中小河川の洪水を江戸川に排水する世界最大級の地下放水路「首都圏外郭放水路」です!1993年3月着工、2002年6月には部分通水を開始、2006年6月に全区間完成、全川の供用が開始。実に13年もの歳月をかけたビッグプロジェクトです。年間におよそ7回稼働、これまで147回稼働しているそうです。過去最大の出水は2015年9月の台風で茨城県の鬼怒川が決壊氾濫した関東東北豪雨の時で1,900万㎥を江戸川に放流し、これは東京ドーム15個分(!)の容積に相当するのだとか。2019年10月の台風第19号(東日本台風)においては、4年ぶりに全ての施設をフル稼働、歴代3位となる約1,218万㎥の洪水調節を実施したそうです。

首都圏外郭放水路は、河川から水を地下に取り込む「立坑」と、地下で水を送り込む「トンネル」、水勢を弱め穏やかにスムーズに排水を促す「調圧水槽」、水を江戸川に排水する「ポンプ設備」などから構成されています。

ここで見学コンシェルジュさんから、地下神殿にて洪水の様子をAR(拡張現実)や動画で疑似体験できるアプリ“首都圏外郭放水路ARアプリ”の案内が。このアプリでは今回のコースには含まれていない地下トンネルや立坑へ洪水が流入する映像解説も付いているとのことだったので、その場ですぐダウンロードし、いざ地下神殿へ…!!
【Part.2】
地下の巨大プール 調圧水槽
地下神殿へ!
龍Q館を出発し、見学コンシェルジュのスタッフさんの後をついて行きます。外には広大な多目的広場が。サッカーグラウンドが1面あり、広さにして1万3,689㎡。地下神殿の地上部です。

龍Q館がどんどん遠のいて行きます…。

広い広場の中にポツンと地下神殿への入口が!ここから116段(=ビル5~6階相当)の階段を降りて行きます。(安全のため階段では撮影は一切禁止です)

116段の階段を降りて、到着した地下の巨大空間は、まさに異空間!!

「地下神殿」と呼ばれるに相応しい圧倒的スケールと荘厳な雰囲気に満ち満ちていました…!!そして、30℃越えの地上と違って、調圧水槽に到着すると、ひんやり。この日の温度は16℃。だいたい常に温度15℃前後、湿度は85%前後なのだそうです。調圧水槽は地下22mの位置にあり、長さ177m、幅78m、高さ18mあるのだとか。

調圧水槽の天井を支える柱の大きさは、1本につき奥行き7m、幅2m、高さ18m、重さにして500tあり、全部で59本の柱が林立しています。これほど巨大な柱をたくさん立てる理由は、地下水位の高い位置に作られた調圧水槽は水槽のまわりにある地下水からかかる揚力により浮き上がる恐れがあるため天井部分は重りの役割を果たしており、重りである天井を柱で支えることで地下からの浮力を抑え調圧水槽が浮き上がるのを防いでいるから…と説明がありました。

見えにくいですが「ここからは侵入禁止」なロープが張られています。ロープ付近まで行くと足元には深さ5cmほどの水たまりが…。レインスニーカーかレインブーツで来たほうが良かったかな…と思いました。それでも土砂が少なくてキレイですよね!!立ち並ぶ柱が水たまりに美しく映し出されて幻想的な光景。なんと、見学エリアは毎日人の手で泥を掻き出してお掃除しているそうですよ…!これだけの広さの泥を掻き出すなんて…、想像を絶する途方もない作業に、見学者一同で思わず「えーーっ」と声が出てしまいましたよね…( ̄∇ ̄) スタッフの方々本当にお疲れさまです…。

たぶん、人と一緒に写したほうが空間の大きさ・サイズ感が解りやすいですよね。

私も一緒に撮ってみました!地下神殿(調圧水槽)で一度にためられる水量は67万㎥。池袋の「サンシャイン60」ビルとおよそ同じ容積なのだそうですよ。

次に、地下神殿から見える「第1立坑」についてです!
【Part.3】
地下神殿
第1立坑
こちらが「第1立坑」の一部です。内径31.6m、深さ71m。全部で5つある立坑のうち唯一流入施設を持っていない立坑で、河川からトンネルを通って送られて来た水を調圧水槽に送り込みます。第1立坑および庄和排水機場には排水に関する設備が設置されています。後述しますが巨大施設をコントロールする心臓部・庄和排水機場には、国内最大級の排水量を誇る1秒間に50㎥排水できる巨大ポンプが4台あるとのこと。4台フル稼働すると1秒間に200㎡(25mプール1杯分)の水を排水することが可能に!

第1立坑と一緒にパシャッと。

柱の下方はうっすら黒ずんでいて、土砂混じりの水を貯めた痕跡がリアルです。

第2~第5立坑から流入した水を4台のポンプを使って「ポンプ停止水位」になるまで江戸川に排水運転を行い、ポンプ停止水位以下の残水は、1次残水ポンプで倉松川に3日間かけて排水、第2~第4立坑の2次残水ポンプは1次残水ポンプで排水できない残水を第1立坑に送り込み、第1立坑の2次残水ポンプで濁水処理施設を通して江戸川に排水しているそうです。また、第2~第5立坑にはそれぞれ流入ゲートがあり、流入水のゴミを除去する防塵設備が設置されています。

あらゆる角度で撮りたくなる、映え空間。

次に、アプリを使ったAR体験です!
【Part.4】
アプリで遊ぶ
洪水時の様子をAR体験
龍Q館のパネル説明時に事前ダウンロードしていおいた「首都圏外郭放水路ARアプリ」をここで起動!みるみる水が貯まって行く様子が画面に映し出されます。

子ども達も大はしゃぎ!

じっくりゆっくり地下神殿を見た後は、再び116段の階段を上って地上へ。

地上に出た後は調圧水槽入口扉前で見学ツアー解散、この後は自由見学となります。
【Part.5】
首都圏外郭放水路から洪水を排水する施設
庄和排水機場
排水機場でポンプによって吸い上げられた洪水は、5.4m×4.2mの排水樋管6門を通って江戸川にゆるやかに流されるそうです。排水樋管1門は、JR山手線の車両E235系(幅2.93m×高さ3.62m)がラクラク収まってしまう大きさとのこと。他の見学コース「ポンプ堪能コース」は、ポンプ室内も見学出来るそうです!庄和排水機場は管理支所と、関連博物館である地底探検ミュージアム「龍Q館」も併設しています。

次に、庄和排水機場に併設された博物館、龍Q館についてです!
【Part.6】
首都圏外郭放水路
地底探検ミュージアム「龍Q館」
見学施設の玄関口・集合場所でもあり、首都圏外郭放水路に関する資料や模型を展示している博物館、“地底探検ミュージアム「龍Q館」”にも入館しました。

首都圏外郭放水路の仕組みや関連資料が展示されています。


龍Q館の2階展示室から窓越しで見えるのは、首都圏外郭放水路の頭脳、中央操作室!約30個のモニターで施設全体の情報を集め水位や雨量を監視し、ゲート操作・ポンプ設備の起動などを行う場所です。

操作室ウォッチング前には、こんなフォトスポットも!

お土産に、カードとシールも頂けました!

日本が世界に誇る最先端の技術と機能美が満載の防災地下神殿「首都圏外郭放水路」。地下50mの底に眠るそれは普段はけっして目にすることのない場所ですが、縁の下の力持ち的存在として首都圏の人々の暮らしを守ってくれています。首都圏外郭放水路の公式HPでは見学ツアーに関する最新情報を発信されています。夏休み中のおでかけ先候補の一つとしていかがでしょうか。
また、国土交通省の公式HP内「キッズコーナー」ページでは国土交通省管轄の、全国の見学施設についての情報が掲載されています。気になる方はぜひチェックしてみてくださいね◎
あわせて読みたい
- GW雨の日はアンパンマンミュージアム
- いよいよ「はやぶさ2」が地球に帰還目前!&家族でプラネタリウム
- 【神奈川】子どもと行くプラネタリウム&JAXA(宇宙科学研究所)
- 岡本太郎美術館へ/神奈川県川崎市
- 【神奈川】50周年の「かわさき宙と緑の科学館」へ
- 【神奈川】遊べる科学館「はまぎん こども宇宙科学館」へ。
- 【VISON】ミナペルホネンミュージアム&ショップへ。/三重県
- 【VISON】くるみの木 暮らしの参考室 ミュージアム&イートイン。/三重県
- 相模原博物館のプラネタリウム&JAXA(宇宙科学研究所)2022/神奈川県
- 『買上展』藝大コレクション展2023へ!
- KIDS PARK/こどもの視点カフェ/星のキッチンへ。@ITOCHU SDGs STUDIO
- 最新テクノロジーを体験!TEPIA先端技術館へ/東京
- ニュースパーク(日本新聞博物館)へ!/神奈川
- 花王ミュージアムへ!親子で社会科見学/東京
- 【東京】町田市考古資料室&本町田遺跡へ!
- お~いお茶ミュージアム&お茶の文化創造博物館へ!親子で社会科見学!/東京・新橋

TB - はな
主婦 / 神奈川県 / LEE100人隊トップブロガー
41歳/夫・息子(13歳・11歳)・娘(8歳)/手づくり部・料理部・美容部/大雑把な山羊座のO型。好きなものは器、アメリカンヴィンテージ、宝塚歌劇、マンガ、ミナペルホネン、オールドマンズテーラー、GU、ユニクロ、無印良品など。ファッション・インテリア・お料理などLEEで勉強中。両実家とも遠方で3人の子育てに日々奮闘。コロナ禍を抜けてからは工場見学や社会科見学、博物館や科学館、美術館巡りにハマっています。ドタバタと過ぎて行く日々の中でも「今」を大切に、小さな幸せを拾い集めながら成長して行きたいです。
この記事へのコメント( 0 )
※ コメントにはメンバー登録が必要です。