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「ある行旅死亡人の物語」武田惇志,伊藤亜衣【202402読書記録】

  • TB しょこみ

2024.02.28

  • 2

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こんにちは、057しょこみです。

発売時、ニュースサイト等でもよく目にし気になっていた本を読みました。

またもや文字ばかりですみません…

“行旅死亡人”とは?

なんだか不穏な響きの単語、“行旅死亡人”。

端的に言うと、身元不明で引取人不明の死者のこと。

情報収集のためデータベースが公開されており、日本で年間約600〜700人ほどが発表されているそうです。

この数、多いと思いますか?少ないと思いますか?

わたしは多いと思いました。

“行旅死亡人”を追う記者の執念と追われた女性の人生

今回読んだ本は、このデータベースから興味をひかれた一人の女性を記者が追ったノンフィクション。

「なにかネタないかなー」くらいのところから始まった一冊と分かり、正直なところ、取材の動機がもっと深いというか意味のあるものかと思っていたわたしは驚きました。

ただの興味(というと語弊があるかもしれませんが)で、全く見ず知らずの女性の人生を暴こうとしていく怖さも感じました。

死者である上に身元不明、引取人不明となると、いよいよ人権はないのだなと思わざるを得ませんでした。

ただ、こうして追いかけて追いかけて本にした人がいるからこそ、わたしは行旅死亡人が何たるかや、このような女性が生きていたということを知ったのもまた事実です。

結局のところ全てが明らかになるわけでもなく、何か劇的な展開が待っているわけでもないのですが、ただただ女性の歩みのかけらを、ほぼ消えてしまった足跡を、なんとか探し当ててその輪郭を探ろうとする執念が凄まじいのです。

ほんの少し知ること

新聞記事の片隅に、身元不明の遺体発見などと小さく載っている記事を目にしたことがある人は多いかもしれません。

その先がどうなっているのか、なぜその人はそのように人生を終えたのか。

ほんの少し知ること、思いを馳せること。

そうすることで世の中の問題や自分の偏見や価値観といったいろいろなものに、当たって跳ね返って、また自分の中に新しい気付きや考えをもたらしてくれるのだと思います。

ノンフィクションやルポルタージュの類は、なんだか遠くの出来事のように感じられるテーマもあります。ですが実際はそうではなく今日の自分と表裏一体、いつ自分がその身になってもおかしくないということを教えてくれます。

どこの誰か分からない女性の人生を、その人生を追った記者の人生を、そうしてまとめられた本を読んだわたしの人生を、ふと考える午後です。

【057しょこみ】

TB - しょこみ

主婦 / 神奈川県 / LEE100人隊トップブロガー

39歳/夫・息子(1歳)/手づくり部・料理部・美容部/国内外問わず旅が大好き。特に北欧をはじめヨーロッパ贔屓で、目下の夢は息子とフィンランドを訪ねること。その土地ならではの手仕事や食文化に惹かれます。“衣食住すべてお気に入りに囲まれて暮らすこと”をテーマに、日々試行錯誤の等身大クリップを書いています。子ども服づくりが新たな趣味。顔タイプソフトエレガント、骨格ウェーブ。TB1年目、どうぞよろしくお願いします。身長164cm。

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