日常を描いた作品

子どもの頃から、好きな漫画はちびまるこちゃん、サザエさん、みたいに日常で起こる出来事をテーマにした物語。

特段大きな事件が起こらないお話は、ともすれば「で、オチは？」とか見方によっては「退屈」と言われてしまうこともあるかもしれません。

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皆さん、ちょっとイメージしてみて欲しいのですが、映画で怪獣が街を破壊するようなシーンってどんな気持ちでご覧になりますか？

きっと多くの方が作中の登場人物と似たような感情（恐怖や驚き）を抱くのでは？と思うんです。

一方で日常で起こる小さなことへの反応って人の数だけある気がしていて。

あぁこの人はこういう場面ではこんな風に感じるんだなあ、こんな行動をとるんだなぁということを自分の気持ちと照らし合わせて感じやすい分楽しめる。

日常を切り取った物語には劇的な要素（大恋愛や、人の生死のような）がない故に、登場人物の心が動いていく様をよりじっくり近くで感じられる気がして好きなのです。

こちらの映画は、東京の公共トイレの清掃員として働くおじさん（役所広司さん演じる平山）の毎日を追う物語。

え、そんな地味な設定をどうやって映画に？と思わず言ってしまいそうになるのですが…。

安心してください。

愛すべきキャラクターたち

平山さん（主人公）は一見孤独を愛しているかのようにも見える人なんですが、あれ？この人って絶対ひとりが好きってわけじゃないのね？みたいな行動が垣間見えたりすると、なんだか嬉しくて。（ご飯を食べに行くのは基本一人なんですが、多くの人が行き交う場所にあるお店を選んでいたりとか。）

人は好き、だけど近すぎるのは苦手、だけど近付きたい、みたいな。

「あーわかるなーーー！！」っていう気持ちになりました。

登場人物には皆色々な側面があって、それぞれの背景があって、そんな中で関わり合う人たちの心情がとっても丁寧に描かれており、一緒に嬉しくなったり、うっかり涙したりと心が動き続ける感覚を味わいました。

同僚のタカシ演じる柄本時生さんがこれまた素晴らしい役どころで。

ちょっとだらしなかったり強引だったりするんですけど、決して嫌いにはなれない感じ。むしろ好きかもしれないとなぜか思ってしまう…

映画館を出るなり「ね、俳優陣！！すごすぎたね～～！！」と夫と大盛り上がりしてしまいました。

（※役所広司さんのイケおじぶりも相当です。）

日々がんばっている私たちへ

毎日きっちりと狂いなく同じルーティンをこなす平山さん。

例え前日にどんなつらいことがあっても、毎朝玄関のドアを開けて外に出るとき空を見上げて「よしっ」ていう晴れやかな表情をされるんです。

そのシーンが私の心をギュッとさせました。

あぁ、人間てこうして生きていくんだよねって思って。

例え主人公のように「よしっ」て気持ちになることができなかったとしても、もう生きていくってこと自体、毎日「よしっ」て自分に言っているのと同じことですよね？

皆がんばってるよね！わかるよ～！と言ってもらったような、そんな気持ちになりました。

私はまだ４０年しか生きていないですが、人生って一筋縄ではいかないものなんだなあと感じることが多くなってきました。

すべてが完璧で安心な状態って存在し得ないんですよね。いつも何かを心配したり時に不安になったり。

きっと平山さんも同じ気持ちで生きていると思うのですが、自然を愛し、木漏れ日に目を細め、音楽を楽しみながら日々を大切に過ごしている姿を見て「そっか、こうやって、生きていけばいいんだよね」と教えてもらった気がしました。

「変わらないわけないじゃないですか」

作中で「影に影を重ねたら色は濃くなるのか？」という会話のシーンがあって。

映画を見た帰り道に実際夫と影を重ねてみて、色が変わるか試してみたのですがそれが本当に微妙で笑

よくわからない程度の違い（があるのかどうか…というレベル）

で、そんな場面で平山さんが言うんですよね。「変わらなかったらおかしいですよ！」って。

それはつまり、変わらないように見える毎日だとしても私たちが日々を重ねている限り、変化しないことはあり得ないという意味なのかなぁと。

日々ありきたりだな、繰り返しだなって感じることもあるけれど、確実に時間は流れていて、確実に少しずつ変わっていく。

変わっていくことは時に痛みや寂しさを伴うけど、そこにはもちろん好ましい変化も含まれていて。

年を重ねただけで、私ってば何にも成長してないじゃん…なんてふと思うことがあるんですが、本当はそうじゃないのかもしれないと、この作品からそんなエールを受け取りました。

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どのようにしてこの映画が生まれたのかや監督の素晴らしさなどは、ぜひ「PERFECT DAYS」で検索してみてくださいね！

１２月から公開していたため、上映期間があとどれくらいあるのかわからず心配なのですが、本当におすすめです！

ぜひ映画館へお運びください♡

むぎちゃん