2022年12月
私の父が大きな手術を受けました。
その前の月、退職後、もう何年も自分の健康診断さえ行くのを渋っていた父が異変を感じ、自ら近所のクリニックへ。
医師に「脅かすわけではないけれど、この紹介状を持って明日必ず市民病院を受診してください。」と告げられ 市民病院へ。そのまま入院、何日もかけての検査、そして手術となりました。
私たち家族は、そういったことに直面するのがこの時が初めて。
ちょうど、新型コロナの大阪モデルが「赤信号」で、父と一緒に住んでいる母も面会はできない時期。医師から手術の説明がある日に約３週間ぶりに母と父が会えたという状況でした。
父、母、私、妹、それぞれが違う場所で「不安」と、根拠のない「まぁ、大丈夫か。」という思いが、 いったりきたりの日々だったと思います。
主治医の先生から手術の説明があった日、母は近くに住む妹の家から、埼玉の私とテレビ電話をつなぎ、母の話を聞きました。
「まぁ、もう祈るしかないな。」と３人で泣き笑いの後、父の手術の日はひとりで病院に詰めることになった母に聞きました。
「そんなに長い時間、どうやって過ごすん？」
「そうやなぁ。久しぶりに雑誌買おうかなぁ。ほら、LEEがちょうどカレンダーの付録の月やし。」
私が「LEE」を知ったのは、高校生の時に母が読んでいて。私もたまにパラパラめくっていました。
もうすっかりターゲットの読者層ではなくなった母ですが、いつまでも母の中でのファッション誌は「LEE」なんやなぁとぼんやりとそんなことを思いながら、その日は電話を終えました。
2023年 秋
「お父さん、いつまで『病気療養中』って言ってんの！？」と母にどやされながら、お得意の「僕、しいたげられています。」という振りがうまい父。
私が帰省したときに、「去年はあの後（私は2022年の秋も帰省していました）、まさかの入院で大変やった。」「もしかして秋に帰省したので最後になるかと思ったわー。」と笑い話に。
母に「お父さんの手術中、どうしてたん？」と聞くと、
「久しぶりにLEE買って、この私が！珍しく隅から隅まで読んだわ！カレンダーついてたしラッキー！」 そう言っていました。
2023年12月7日
「ワタクシ、この度、あの「LEE」の100人隊というものになりまして、これからブログを書くことになりました。その記念に最新号をそちらへ発送します。カレンダーが付録ですー！」と家族のグループラインで報告すると、
妹 「こないだ話してたやつ、選ばれたんやねー！」
父 「LEEって、お母さんがよく買ってたあのLEEやんなぁ？」
母 「何ページに載ってるん？〇〇さん（母の職場の同僚）が、今も買ってると思うから、報告しよかな！」
母は、100人隊がなんたるかを知らなかったようで、「雑誌に載っているわけではなく、自分の書いた文章と写真をネットにあげるねん。〇〇さんには言わんでいいよ。」とテレビ電話までして、「すごーい！」とか「新しいことを始めてくれてうれしい！」とか、「そうやって誰かとやりとりできるの、いいやーん！」とか色々言われながらの電話を終えた後、私もおもむろにこの花のカレンダーをめくってみて はっ としました。
父の手術の日、6時間も7時間も待合室で母はずっと雑誌を読めるはずもなく、
その姿勢に疲れて立ってみたり、売店まで歩いてみたり、ストレッチしてみたり、時計をみやったり、ボーっとしたりしたでしょう。そして、花のカレンダーもめくったに違いない。この花達が、待合室での母をきっと少し癒してくれたに違いない。
だから私は、新しく花のカレンダーを手にする度にきっと思い出すでしょう。
家族全員がそれぞれの場所で、平静を装いながら過ごした冬のことを。
そしてその一年後、母が買っていた「LEE」の100人隊になって家族を驚かせ、みんなでワイワイ遣り取りした冬のことを。
017 みもざ
017 - みもざ
主婦 / 埼玉県 / LEE100人隊
42歳／夫・娘（6歳）／手づくり部・料理部・美容部／結婚、夫の転勤により、生まれ育った大阪から埼玉に引っ越してきました。それから早6年。子どもを通じて信頼できる方とも繋がれたし、ひとりで過ごすのが好きだし……だけど、やっぱり、「私」として誰かと繋がりたい！自分の「好き」を発信し、これを機に日々のお料理を少しずつステップアップできればと思っています。よろしくお願いいたします。身長155cm。
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