エッセイスト平松洋子さんによる、食や台所をめぐるお話が17つ収録されているエッセイ集。
表題作の「夜中にジャムを煮る」は、タイトルからして胸の奥をキュッとときめかせるものがある…と思うのですが(どうでしょう?)
思い浮かぶのは、たとえばこんなワンシーン。時は真夜中。
誰もが寝静まっているなか、起きているのは自分だけ。
暗い部屋の奥、ぼんやり明るいキッチン。鍋からはくつくつと苺の香りが漂ってきて…。
目を閉じて、うっとりとその匂いをかぐ自分。
ああ、なんてひそやかで贅沢な時間!
果物が熟していく描写もまた。
追熟というものをこんなにもフレッシュに、そしてなまなましく、時にはほんのり官能をまとわせて描けるものなんだなあと、本当にもう、読むたびにため息が出ます…。
読んでいると、たっぷり果汁を滴らせた果物を目の前に差し出されているようで…。
思わずごくり。生唾ものです。
ほかにも
この本に収録されている「こんなものを食べてきた」というエッセイは、初めて読んだ20代半ばの頃、文字通り雷に打たれたような感覚を覚えました。
料理って、その人そのものを表しているのかもしれないと。
具体的なエピソードでいうと…。
平松さん、ご家族との暮らしのなかでふと、「ねえねえ、私の味ってどんなだと思う?」と聞いてみたことがあるそうなんですね。
そのときのご家族の答えというのが素晴らしくて!
長年かけて「自分の味」を確立してきた平松さんのお料理を、そして平松さんのお人柄そのものを、それはもう的確に、ビシッと言い表していらっしゃるような気がして。
私はこれを読んだ当時、その箇所にあまりに感銘を受けてしまい、繰り返し読むだけでは飽き足らず…。
どうにか自分に馴染ませることができないかと、ノートに書き写したほどです(今で言うマイノートのような。)
平松洋子さんの本

「心酔しています」と言っても過言ではないくらい、平松さんの長年のファンです。(それはもう、100人隊の応募の際にも書いたくらい!)
なので、ブログでも平松さんの本のことを紹介したいなあとずっと思っていたものの、意外や意外、「好きすぎて書けない」ということってあるんですねえ。
平松さんのエッセイについて、どう頑張って書いても自分の表現が陳腐に感じられてしまうというか、素晴らしさをかえって汚すような気がして…(涙)今回も挑戦してみて、やっぱり思うようには書けず大苦戦。
ただ、100人隊の活動も、もう3年目。
任期もあと半年ほどだ!と最近気づき…(出産も控えていますので、卒業のご挨拶がきちんとできるのかすら危ういかもしれないと…)。
悔いなく書き切らせていただきたい、と思っています。
この先、熱量高めというか、なんだか暑苦しいブログがアップされたときは、「ああそういうことね〜」と思っていただければ幸いです。
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パート / 東京都 / LEE100人隊トップブロガー
40歳/夫・娘(6歳)・息子(3歳)/手づくり部・料理部・美容部/平日は仕事、休日は子どもの習いごとと、毎日忙しく過ごしています。隙間時間に海外ドラマ鑑賞、読書をするのが趣味ですが、最近ピアノと編み物(かぎ針編み)を始めて夢中になっています。コーヒーやミルクティーを飲む時間を大事にしていますが、お酒も大好き。10年ちょっと、本(特に児童書)に関わるお仕事をしていました。本屋さんに入ると落ち着きます。絵本収集家です。
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