2018年9月15日に他界された女優の樹木希林さんの生前綴られた言葉を拾い集めた、
樹木希林『一切なりゆき』文藝春秋(2018年12月発行)。
追記:私はいつものことながら図書館で借りました!
樹木希林さんと言えば映画「東京タワー」でのお母さんの演技が印象に残っています。この本の表紙になっているのも「東京タワー」での1シーンで、樹木さんご自身でオカンの「顔施」と呼ぶほどお気に入りなのだとか。タイトルは、生前に樹木さんが色紙で「私の役者魂は~…」の後に続く言葉が「一切なりゆき」だったところから編集者の方が選ばれたそうです。
本の帯には、樹木希林さんの喪主代理であり実娘さんである也哉子さんの挨拶の言葉が…。樹木希林さんの生き方のエッセンスは、也哉子さんに送られたこの一言に凝縮されているように思います。
他人と比べない、というのは他人と比べて自分を卑下しない等の単純なことではなく…読み進めて行くと、人それぞれに背負っているものがあり、外から見ただけではその人の事情は解り得ない、だから比べるだけ無駄だというふうにも解釈出来ます。他人の価値観に左右されず、とるに足らないものにも自分の目で小さな幸せや希望を見出して行く(=どんな状況も面白がる!)ことで人は自立出来るようになる…樹木希林さんの生き方の極意はここにあるのかも知れません。
夫でロックンローラーの内田裕也さんの破天荒ぶりを見ると、離婚しないのが不思議なくらいで、内田裕也さんが勝手に離婚届を提出して樹木希林さんが離婚無効訴訟を起こしたり…そんな中でも、とにかく樹木希林さんは内田裕也さんと別居しながらも絶対に離婚しなかった。何故別れないのかと何度人から聞かれても「説明のしようがない」と希林さん…。婚姻関係を持続するミステリー。でも夫婦のことなんて結局夫婦当事者達にしか解らなくて、他人には、そして実の娘でさえも知る由もないことなんですね…。也哉子さんによる喪主代理の挨拶が195ページ以降に掲載されているのですが、内田裕也さんから樹木希林さんへ昔書かれた手紙のこと、それを人目に触れない書庫の中に樹木希林さんが大事にしまっていたこと…そしてそれを読んで絶句した也哉子さん…ここのくだりは思わず涙してしまいました…!
物事を俯瞰で見ること、変化を楽しむ、癌という病との向き合い方、生活習慣と心のクセのこと、死生観、東洋思想、陰陽の概念、「祈り」、それぞれ個々人が固有に持っている神と八百万の神のこと、自分の命を使い切る…。ちょっとこの本は、真髄を理解するには私には年齢が早かったかなぁという気もしましたが(私の祖母とか、母などが読むと良さそうな…)、内田裕也さんと凄まじい闘いを繰り広げて来られ、全身癌と共生されて来た樹木希林さんの、淡々とした中にもズシリと重い、生き切る覚悟や、夫・内田裕也さんへの深い愛情を感じます。
書中の言葉の抜粋元である著書(の一部)、『「こんなはずじゃなかった。」それでこそ人生です』(2016年9月発行)や、『全身がん 自分を使い切って死にたい』(2014年5月発行)をちゃんと読んでみたいと思いました…!
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TB - はな
主婦 / 神奈川県 / LEE100人隊トップブロガー
41歳/夫・息子(13歳・10歳)・娘(8歳)/手づくり部・料理部・美容部/大雑把な山羊座のO型。好きなものは器、アメリカンヴィンテージ、宝塚歌劇、マンガ、ミナペルホネン、オールドマンズテーラー、GU、ユニクロなど。インテリア・ファッションなどLEEで勉強中。両実家とも遠方で3人の子育てに日々奮闘。ドタバタと過ぎて行く日々の中でも「今」を大切に、小さな幸せを拾い集めながら成長して行きたいです。
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