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ののはな通信

  • yuki*

2018.07.26

  • 2

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最近読んで良かった本、2冊目はこちら。
三浦しをんさんの小説最新作、「ののはな通信」です。

いわゆる書簡体小説というもので、全編にわたって、「のの」と「はな」、ふたりの少女が30年近くにわたってやりとりした手紙(メール含む)のみで構成されています。

少女たちはミッションスクールのお嬢様女子校に通う高校生で、終盤には40代半ばとなっているので、もはや少女たちとは言えないだろうと思うのですが・・あえて「少女たち」と形容したくなります!

「のの」の方は、頭脳明晰で一見クールな感じの子。お金持ちのお嬢さんばかりの学校で一人だけ、庶民的な家庭に育った生徒なのです。
いちいち言うことがキツく、ちょっと独りよがりに感じるほど潔癖な印象。勉強はできるけれど、少し理屈っぽいところもあります。こうと信じたことには頑ななまでに情熱的な面も。
感受性豊かで、物事を深く掘り下げようとし、言うことがいちいちいっちょまえだけど、内面には成長の余地がありそうな感じです。頭でっかちとは言わないけれど、少女特有のアンバランスさを感じます。

対照的に、「はな」の方は明るく柔軟なタイプの子。外交官の家に育った帰国子女ですが、ずば抜けて頭がいいわけではありません。年相応に俗っぽい感じもする、同性にも異性にも嫌われなさそうな、無邪気でおっとりした感じの子です。
でも、実はあまり人に流されないし、マイペース。読みたい漫画があれば、授業を抜け出して屋上で一人で読んだりもします。自分がひとりで決めたことをサラリと実行に移す、芯の強さを内に秘めています。

この2人は親友同士ですが、お互いに崇拝に近い気持ちを持っています。先にののが、それがただの友情ではないということに気づいて・・・運命の恋となっていくのです!

月日の流れは彼女たちに様々な変化をもたらしますが、根っこの部分は頑固に変わらなかったりもします。
寄り添ったり壊れたり、意地を張り合ったり、離れたり心通わせたり。30年近い月日を経て、ふたりはどんな結末を迎えるのでしょうか。それは読んでのお楽しみです。

 

 

この本を読み終わったのは確か5月の終わりくらいだったと思うのですが、しばらくは強烈な余韻が残っていました。

主人公のどちらも自分とは境遇が似ていないし、そもそもふたりはかなり違うタイプの人間なのに、どの章のどの書簡にも、自分がいる。もしかしたら、これを読んだかつて少女だった人たちは皆、そう感じるのかもしれない。
ああ、でもそうバラしてしまったら、恥ずかしいから周りの人に読まれたくない!(笑)そう思ったので、なかなか感想を人に言えずにいました。小説を読んでこんなふうに思ったのは初めてです。

それから、この主人公二人と自分には大きな共通点があり、それは「宗教や神に自分の思考を委ねることがどうしてもできない」ということです。
時には消極的に、またある時は積極的に、自分の信念や良心のみに基づいて行動する。でも、思わず何かに祈らずにはいられないような時、神と同等の特別な存在が心の中にあるという、あの感じ。。共感しかない…わかりすぎる!

書簡体小説ということで、ののとはな二人の主観のみで物語が展開していくのですが、それがこの物語がもつ少女性を強いものにしています。「ふたりだけ」の、閉鎖されたひそやかな世界がそこにあります。お互いの家族も、クラスメイトも、二人以外の登場人物には全て主観というバイアスがかかっています。

書簡内で描写される、別の人物の視点で書かれた物語も読んでみたいとちょっと思いました。淫行教師、はなの妹、ののが同居していた女性・・あまり言うとネタバレになってしまうのですが、どの人物にもそれなりの動機や主張がありそうな感じだったので。

でも、それを読んでしまうと、この完璧なののとはなの物語がどこか損なわれてしまいそうな気もします。続きがあってくれたらいいな、と思いますが・・・それを作者に明確にされるよりも、読み手一人一人の心の中に好きなように広げていられる方が、幸せなのかも。

三浦しをん作品といえば、舟を編むのようなエンタメ性の高いお仕事掘り下げ系や、まほろシリーズのような男ふたりのバディものの印象が強いと思うんですが。今回の作品はそういうのとはまた違って・・とてもよかったです。
かなり昔に読んだ、初期の短編集に近い感じでした。「秘密の花園」とか「きみはポラリス」のような。
このあとすぐ「ビロウな話で恐縮です日記」の文庫版も買ったのですが、エッセイはエッセイで独特のテンションの高さがあるというか・・・今度は腹を抱えるくらい笑えるわけです。この全部を内包する三浦しをんという人は、正直かなり恐ろしい。。そしてどのタイプの新作でも絶対にハズレがなく良いので、新刊の案内が出るのを、毎回楽しみにしています。

かなり洗練された、純度の高い恋愛小説だと思いました。男の人にはこの感じ、わからないかもなあ!

・・・・・・・・・・

おまけ

この本を読んでいる時のおやつは、こちらでした。

切ってのせるだけ(笑)の簡単おやつですが、超美味しいです!

yuki*

39歳/夫・息子(11歳)/手づくり部、料理部/横浜在住、大阪出身。港が見えそうで見えない丘の上の古い一軒家で、息子と年上の旦那さんと猫のリサと一緒に、楽しく暮らしています。本とラジオと美しい布が好き。がま口のお店をやっています。一度しかない美しい日々を、あたたかく綴りたいと思います。Instagram:@yukiiphone

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