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CULTURE NAVI「今月の人」

舞台『帰れない男~慰留と斡旋の攻防~』に出演

【林 遣都さんインタビュー】日常を忘れるくらい、どっぷり不気味な世界につかりたい

2024.03.15

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カルチャーナビ : 今月の人・今月の情報

日常を忘れるくらい、どっぷり不気味な世界につかりたい

林 遣都さん

林 遣都さん
ジャケット¥63800・シャツ¥39600・パンツ¥37400/エンケル(YOKE) その他/スタイリスト私物

今年、ドラマ『おっさんずラブ』の続編が放送され、時代劇コメディ映画『身代わり忠臣蔵』も公開中、さらに主演舞台が控えるなど、文字どおり“映画にドラマに舞台に”大活躍の林遣都さん。4月にスタートする舞台『帰れない男~慰留と斡旋の攻防~』に向かう、今の心境を語ってもらいました。

「僕が20代半ばで初めて舞台に立たせていただいたのが、今回の作・演出の倉持裕さんによる『家族の基礎』でした。当時は、僕の力のなさから、厳しく演出していただいたこともありましたが、普段はとても愛情深い方。かけてくださる言葉や交わす会話に、すごく温かみがあるんです」

それから8年。今やコンスタントに、主演として舞台に立つ林さんですが、当時の“厳しい演出”が、今につながっているそうです。

「最初の稽古のとき、名指しで“映像と同じ表現では何も伝わらない、通用しない”と言われたんです。悔しさも感じつつ、そんなふうに厳しい言葉をかけていただいたことで、“自分を変化させられる、成長させる時間になる”とワクワクもして。それがずっと僕の中に刻まれていて、今も舞台をやるたびに実感しています。舞台をやりたい、やらなければと思えたのは倉持さんのおかげです」

さて、今回は“ある屋敷に誘い込まれる男”を演じます。しかも、なぜか屋敷から出ることができないとは、なんともミステリアス!

「現段階のプロットから僕が読み取ったのは、きっと器の小さい男じゃないかな、と。自分では謙虚でいるつもりだし、人として“こうありたい”と思っているのに、言動が真逆になってしまうこと、ちょっと間違えてしまう瞬間って、人間誰しもあると思うんです。喜びや幸せを求めて必死で生きているけれど、欲望や弱い部分や情けない部分がふと出てしまう。そんな瞬間を滑稽に見せるのが倉持さんの作品の魅力でもあって。だから僕も、そういう部分を惜しみなく演じたいと思います」

「まだまだ修行中の身」とどこまでも謙虚な林さん。“舞台ならではの魅力”を聞くと、今すぐ劇場に駆けつけたくなるような、こんな答えが返ってきました。

「役者と観客――演じる側と観る側が一緒に、見えないものをとことん想像して楽しめる。その空間を共有できる、すごく特別な場所ですね。本多劇場には何度も観に行っていますが、その舞台に立つのは初めてなので、どんな光景が見えるか、楽しみです。ほぼ同年代で“ある種の怪物”だと思う(柄本)時生君との共演も、怖いけどとても楽しみ。最近、穏やかな日常生活を過ごしていたので、このあたりでどっぷり“不気味な世界”につかって、日常を忘れてしまうくらいの感覚になりたいです」

さまざまな仕事がひっきりなしの林さんですが、自分の時間はどんなふうに過ごしているのでしょう? おうち時間のこだわりを聞きました。

「実は僕、まったくと言っていいほど、こだわりがないんですよ。洋服も少ないし、食べ物の好みもあまりないし、趣味もとりたててない。物欲もないから、自然にモノが減っていくくらい。唯一のこだわりは、睡眠時間が8時間欲しいこと。でも寝る場所もどこでもよくて、家の中のどこかで寝ることさえできれば、みたいな(笑)。こだわりがないからどんな場所でも順応できると思います」

PROFILE

1990年12月6日、滋賀県生まれ。2007年に映画『バッテリー』に主演しデビュー。近年の出演作に映画『犬部!』(’21年)『恋する寄生虫』(’21年)、『隣人Ⅹ-疑惑の彼女-』(’23年)、ドラマ『VIVANT』(’23年)、『おっさんずラブ-リターンズ-』(’24年)、音楽劇『浅草キッド』(’23年)など。映画『身代わり忠臣蔵』(’24年)が公開中。
公式サイト:https://official.stardust.co.jp/kento/

帰れない男~慰留と斡旋の攻防~

『帰れない男~慰留と斡旋の攻防~』

不思議な屋敷に誘い込まれた主人公が、その屋敷の主人や若妻に翻弄され、もてなしを受けるうちに正気を失っていく様を描く心理サスペンス。迎えにきた友人に、男は「帰ろうにも出口にたどり着けない」と訴える。作・演出に倉持裕。共演に藤間爽子、柄本時生、新名基浩、佐藤直子、山崎一。4月13日~5月6日に東京・本多劇場の後、名古屋、島根、富山、大阪、仙台で公演予定。お問い合わせは、M&O plays☎︎03・6427・9486まで。

Staff Credit

撮影/花村克彦 ヘア&メイク/竹井 温(&’s management) スタイリスト/菊池陽之介 取材・文/折田千鶴子
こちらは2024年LEE4月号(3/7発売)「カルチャーナビ」に掲載の記事です。

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