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藤原千秋

家がウイルス・カビの温床に?! お部屋の「空気」に気をつけて

  • 藤原千秋

2017.12.28

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我が家=シェルターであるために

「寒いし、インフルエンザも流行っているし……」。冬は特別な用事のない限り、家の中にいる時間が長くなりがち。でも、そんな暮らしの最前線基地でありシェルターでもあるはずの我が家が、実は病気の原因になってしまっているとしたら……?

冬の室内環境、とくに空気のそれは、私たちの健康をダイレクトに左右します。なかでも今月はお部屋の「湿度」に着目して冬の住まいの空気環境についてお話したいと思います。

部屋を暖めるだけでは意味が無いインフルエンザ対策

蒸し暑い6月から8月の東京の平均気温は約25度。それが11月から2月にかけての冬季には、約7度にまで下がります。同時期の平均湿度もまた、約70%から45%にまで下がるのですが、この乾いた空気は屋内で暖房することによって、さらに乾燥されます(空気は温めるほど湿度が下がります)。

今期も流行が懸念されているインフルエンザウィルスは、一週間の平均気温が10度を下回ると増殖ペースを大幅にはやめだすといいます。また乾燥を好むため、気温10度、湿度20%の環境下では生存率60%を越えますが、同じ気温であっても湿度が50%ある場合には、生存率は40%程度まで下降します。

さらに気温22度、湿度50%の環境下では、生存率5%程度にまで落ち込みますが、ここで注意しなければならないのが、たとえ気温が22度と高くあっても、湿度が20%と低いままである場合には、ウィルス生存率は70%近くまで「アップしてしまう」という点です。つまり屋内がどんなに暖房されて暑いほどであっても、同時に、「室内の湿度を上げる」ことなくして、インフルエンザ対策としてはあまり意味がないのです。

加湿し過ぎが仇となるカビ、ダニ、アレルギー対策

かといってむやみに湿度を上げまくれば万事OKというほど話は単純ではありません。昨今のマンションなど断熱性、気密性の高い住まい(=昔の木造家屋のように、隙間風が吹かないということ)では、「気温を上げ、湿度を上げる」行為イコール「カビ・ダニを繁殖させる」ことに他ならないからです。

過剰な湿気は結露となり、窓辺をはじめ、冷えた隣室との間の壁などに水滴となって付着します。これらに気づかず放置してしまうと窓わくのゴムパッキンやカーテン、壁紙など容易に落とせない場所にカビが繁殖。この胞子が春先にいっきに飛ぶことにより、梅雨から夏にかけて爆発的なカビに襲われる布石に。

また、加湿をし過ぎることでベッドや布団といった場所でもカビ、ダニが増えてしまいます。

カビやダニなどが引き起こすアレルギーによる体調不良には、にわかに風邪と判別しがたい症状も多いという点もまた厄介です。つまり冬の「湿度管理」は、いささか注意深く行う必要があるということになります。



湿度の目安は50% 「上げ過ぎ」に注意

ぜひ、この機会に「温湿度計」を購入し、家族が長い時間を過ごす部屋ごとに常に気温・湿度をチェックできる体制を整えてみることをおすすめします。

インフルエンザウィルスの生存が難しくなるポイントは、「湿度50%」という数字にあります。実は、先に生存率5%程度を示した「気温22度・湿度50%」の条件を「湿度80%」までアップさせたところで、生存率は下がりません。

反面、「気温20度・湿度70%」前後から、浴室を中心とした屋内で多く見られるカビ類(クロカビ・クラドスポリウム)や、ダニ類(ヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニ)の活動は活発化します。湿度は上げても60%程度まで、できれば50%から55%を維持するようにしたいものです。

また同時に、結露を予防する意味でも、あまり室温を上げすぎないようにすることが大事です。夏のクールビズ同様、冬のウォームビズも私たちの暮らしに浸透しつつありますが環境省では、暖房時のオフィスの室温を20度にするよう呼びかけています。住まいにおいても、冬の室温の目安は、20度としておくと良いでしょう。

気温20度と、湿度50%。

この2つの数字をぜひ参考に、冬のお部屋の空気を整えてみてくださいね。

藤原千秋 Chiaki Fujiwara

住宅アドバイザー・コラムニスト

掃除、暮らしまわりの記事を執筆。企業のアドバイザー、広告などにも携わる。3女の母。著監修書に『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など多数。LEEweb「暮らしのヒント」でも育児や趣味のコラムを公開。

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