映画ライター折田千鶴子のカルチャーナビアネックス

伝説のベジャール・バレエ作品『第九』。奇跡の再演を追う映画『ダンシング・ベートーヴェン』

神様のギフトを実感できるドキュメンタリー

私たち日本人にとって嬉しいのは、ベジャール・バレエ団に日本人がこんなにいるのか、ということに驚くと同時に、メインとしてキャスティングされていること! 第2幕でソリストを務める大貫真幹をはじめ、日本人ダンサーたちも力強く美しい跳躍で観る者を魅了してくれます。さらに第1楽章を踊るのは東京バレエ団。上野水香や柄本弾らのレッスン風景などを拝めるのも貴重です。

さて、ちょっと監督に聞いてみたかったこと。それは、何が起こるか分からないドキュメンタリーを成功させる秘訣があるのか、ということ。

――予期せぬことが起こるのがドキュメンタリー映画ですが、最初にどのような設計図を描いて現場に入るのですか?

「フィクションと違い、事前にシナリオを書くことはなく、私は撮影後にシナリオを書き始めます。ですから撮影中は、とにかく起こる物事に常に注意を配り、できるだけ色んな出来事を拾い上げていきます。その素材を使い、どのような物語を構築できるかを考えるのは、編集室に入ってから。ただドキュメンタリーを撮っていると、神様のギフトかと思えるようなドラマチックことが起こる、それが実人生だということを実感できますね」

 

ベジャールから学んだこと

――モーリス・ベジャールという人から、監督が学んだことはどのようなことですか?

「彼は間違いなく天才でした。常に新しいもの、新しいアイディア、新しい趣向を追及している人でした。カンパニーのダンサーたちへの要求の高さにも、驚かされました。と同時にただ厳しいのではなく、非常に優しい人でした。彼の集中した仕事の仕方には、常に驚かされました」

――そんな彼がこのバレエ作品「第九」に込めた思い、また作品の魅力はどんなことでしょう?

「まさしく「第九」は、ベジャールの勇気の象徴です。「第九交響曲」のような有名な楽曲に振付するなんて、それまで誰も想像しなかった。それを敢えてやったのです。その勇気ある行動のお陰で、私たちは壮大なバレエ作品を鑑賞できるわけですが、そこには教訓を読み取ることもできます。困難を乗り越え、希望を喪わずに常に前進していくこと。彼は、そんなメッセージを込めたのではないかと思います。これだけ絶望してしまう要素がたくさんある現代の世界で、何かを成し遂げるためには勇気を持つこと、それを強く感じます」

世界的指揮者ズービン・メータ率いるイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団の演奏に鳥肌を立て、身を削るような努力から生み出されるプロフェッショナルを極めたダンサーたちの舞いに嘆息し、対照的に、東京公演のために急きょ集められたダンサーたちのカジュアルな向き合い方には思わず笑ってしまったり。この年末、例年とは違う「第九」を、本作を通して理解を深めて味わってください!

公式サイトhttp://www.synca.jp/db/

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