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ノロウイルスのシーズン到来!予防は徹底した手洗いとマスク

  • 相馬由子

2017.12.15

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毎年冬になると流行るノロウイルス感染症。小さい子どもがかかると、急に下痢や嘔吐が始まり、家族全員にうつってしまったなんて話も聞きます。アルコールや石鹸でも殺菌できないと言われているノロウイルスですが、最近はノロウイルスに効果的とされる成分が入った消毒剤も発売されているんですよ。その中の1つが、卵由来の抗ウイルス成分「ノロクリアプロテイン」を使ったアルコール除菌スプレー「K Blanche(ケイブランシュ)」(キユーピー/200ml 1112円)。ノロクリアプロテインは、卵の卵白に含まれるリゾチームを加熱変性させた抗ウイルス成分で、キユーピーと東京海洋大学の共同研究で作られたそうです。

今回、「K Blanche(ケイブランシュ)」を発売するキユーピーが「冬場の衛生管理セミナー」を開催。ここで、ノロウイルスの予防や感染した時の対策について学んで来ました。

ノロウイルスはなぜ毎年大流行するの?

今回、ノロウイルスの感染や予防について教えてくれたのは、長年ウイルス感染について研究を続けている、北里大学教授の片山和彦先生。そもそも、ノロウイルスは、なぜ毎年大流行するのでしょうか?

「まず前提としてお伝えしておきたいのは、細菌とウイルスは違うということです。細菌には抗生物質が効きますが、ウイルスには効きません。ノロウイルスに感染した場合も、今のところは特効薬は無いので、症状が治まるのを待つしかありません」(片山先生)

例えば、子どもがよくかかる溶連菌感染症などは、検査して溶連菌に感染していることがわかると、抗生物質が処方されますが、ウイルスによって発症する病気は、一部を除いて症状を緩和する薬しか処方されませんね。つまり、今のところノロウイルスに効く薬はなく、ワクチンも開発途上で緩和や予防の手だてがないため、感染が広がりやすいということなのですね。

また、ノロウイルスの遺伝子は変異しやすく、体中で抗体ができても変異すると効果がなくなる事も繰り返し感染しやすい理由の1つですだそうです。

ウイルスの種類が多い上、消毒剤や酸にも強い

「ノロウイルスは種類が多いため、一度感染してもまた別のウイルスに感染するのです。そのため、毎年大流行を繰り返します。また、感染経路は『糞口感染』と言って、感染者の便や嘔吐物に含まれるウイルスが、鼻や口から体の中に入って感染しますが、耳かき1杯程度の便の中に、なんと1億個のウイルスが含まれていると言われています。ノロウイルスは、酸に強いので胃液で分解されにくい、また、アルコールや石鹸で消毒しにくいという特徴も、毎年大流行を引き起こす要因の1つです」(同)

ノロウイルスの3大感染経路

ノロウイルスの感染経路は「食品→人」「人→食品→人」「人→人」の大きく分けて3種類。人から人に感染する場合、感染者の便や嘔吐物に含まれているウイルスが、手についたり、空気中を舞ったりして、他の人の口や鼻に入っていくそう。一度乾いたウイルスがホコリと一緒に空気中を舞って、それを吸い込んで感染することもあるそうです。

また、ウイルスが手についている人が食品を触り、その食品を介して感染するルートも。そして、牡蠣などを生で食べて感染するのは、感染者の排泄物に含まれたウイルスが下水から海に流れ、海にいる貝がそれを体の中に溜め込んで、それを食べた人間がまた感染するというルートを辿るそう。改めて聞くと怖すぎますね。

ちなみに、日本人の中には約7%ほどの不顕性感染者(感染していても症状が出ない人)がいて、流行期以外もウイルスは不顕性感染者の中で生きているそう。そして、毎年秋以降、寒くなってくると、体の弱い子どもや高齢者が、不顕性感染者から感染し、胃腸炎を引き起こすのが、毎年の流行の始まりなんだとか。



ノロウイルスの予防には手洗いとマスク

アルコールや石鹸が効かないと言われているノロウイルスですが、予防において効果的なのはやはり手洗いなのだそうです。

「石鹸でウイルスは死なないと言っても、石鹸で手を洗うことに意味がないわけではありません。石鹸をつけて手を洗うことによって、水だけで洗った時よりもしっかりと流しますよね。それによって、ウイルスも一緒に洗い流すことができるのです。特に、手首や手のひらの根元の辺りまでよく洗うようにしてください。また、洗ったあとは、ハンカチよりもティッシュペーパーでふいてそのまま捨てる方がいいでしょう」

また、マスクをすることによって、空気中に舞っているウイルスを吸い込んでしまうのを避けることがでいます。

子どもが感染した時の注意点

子どもがノロウイルスにかかった時、もっとも気をつけなければいけないのが汚物の処理ですよね。使い捨ての手袋やマスク、エプロンなどをつけて処理を行う、熱湯か0.1%以上の塩素系漂白剤で殺菌するなどの説明を、幼稚園や保育園などで受けたことがある方も多いと思います。

処理マニュアルの詳細は、厚生労働省のホームページなどで確認していただくとして、ここでは片山先生から聞いたポイントをお伝えします。

  1. 子どもが嘔吐や下痢をした場合、体をシャワーで流すとウイルスが飛び散るため、まずできるだけ拭き取って、石鹸で洗った後に、溜めたお湯で何度も流すようにしましょう。
  2. 洋服やシーツなどはビニール袋に密閉し、使い古したものであればそのまま捨ててしまった方が確実です。
  3. 塩素系漂白剤を使いにくい、壁などに飛び散った嘔吐物も拭き取りが基本です。市販のアルコール消毒剤でいいので、かけて拭き取るを何度か繰り返しましょう。
  4. 絨毯などは、スチームアイロンで殺菌することができます。
  5. 使い捨てのマスクや手袋、エプロンなどがセットになった「処理セット」が市販されているので、そういったものを用意しておいてもいいでしょう。

家族の中で感染を広げないためには、汚物処理に必要なグッズを前もって用意しておいたほうが良さそうです。市販の消毒剤や処理セットなども上手に使って、ノロウイルスの季節を乗り切りましょう。

シンプルなボトルデザインの「K Blanche」

相馬由子 Yuko Soma

ライター

1976年、埼玉県生まれ。夫と7歳の娘との3人暮らし。編集プロダクション、広告系出版社を経て独立。ウェブ、雑誌、書籍などで編集、執筆を手がける。最近では、子育て、アウトドア、旅、食などのテーマを担当することが多い。合同会社ディライトフル代表。

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