映画ライター折田千鶴子のカルチャーナビアネックス

“ホロコースト否定”論者との対決映画『否定と肯定』  原作者デボラ・E・リップシュタットさんに聞く

ホロコーストを否定!?――そんな歴史家がいたとは!!

なんだかタイトルも堅いし(笑)、またもナチス関連の映画!?と、思わず尻込みしたくなった方も多いのでは!? 分かる!分かります、その気持ち。でもどうして、すっごく面白い映画なんです。法廷ドラマとしても、人間ドラマとしても。

『否定と肯定』
12月8日(金)、TOHOシネマズ シャンテ 他全国ロードショー
配給:ツイン  公式HP:hitei-koutei.com
© DENIAL FILM, LLC AND BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2016

 

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、2000年1月、ロンドンの法廷で「ナチスによる大量虐殺はあったのか、なかったのか」を巡る裁判がはじまり、欧米で一大センセーショナルを巻き起こしたそうです。

お恥ずかしながらその事件やその裁判、私はキャッチしていなかったのですが、だからこそ実話の映画化と聞き、「え? 今さらホロコーストを否定する人がいるの!?」と思わず驚き、俄然興味が沸きました

だって、目を背けたくなるような証拠の数々――本編の中にもアウシュビッツを訪れるシーンがありますが、当時の写真や資料や証言等々、がここまで揃っていて、それでも「なかった」と主張する人がいるだなんて、「な、なんで!?」とキョトンとしてしてしまいませんか? しかも主張したのは、著書を何冊も持つイギリスの歴史家というではないですか!!

その裁判の顛末を描いた映画『否定と肯定』の原作者であり、ホロコースト否定論者から名誉棄損で訴えられた張本人でもあるデボラ・E・リップシュタットさんが来日されました。仰天裁判を経験した彼女に、お話を伺って来ました!

 

とんでも歴史家とどう闘った!?

米エモリー大学で教鞭を執る教授のデボラさんは、卒業生たちから「最も影響を受けた教授」に選出されるなど、とっても信頼の厚い方。数々の著書は一流紙で高く評価され、アメリカ政府の代表としてアウシュビッツ解放式典などに出席したこともあるほどなんです。

ジョージア州エモリー大学にて現代ユダヤ史、ホロコースト学を教える教授、ユダヤ研究所所長。著書に「ホロコーストの真実 大量虐殺否定者たちの嘘ともくろみ」(恒友出版)他、多数。【「否定と肯定」(ハーパーブックス)より抜粋】

そんな彼女が、イギリスの歴史家デイヴィッド・アーヴィングが訴える大量虐殺はなかったとする“ホロコースト否定論”を看過できず、著書の中で反論を述べたことが事の発端でした。

映画の冒頭、デボラさんが講演を行っていた講堂に、そのアーヴィング氏が乗り込み、「彼女はデタラメだ、この金で俺の著書を読め!!」と札束をバラまくシーンは、かなり衝撃的です!! しかもそこも忠実な実話だそう。

著書における彼女の反論に立腹したアーヴィング氏が、デボラさんと出版社を名誉棄損で訴え、法廷闘争が始まります。

――まずは、映画を観た感想を教えてください。

「何度か撮影現場を訪れていたし、部分的には知っていたのだけれど、試写で観終えた瞬間、もう、言葉が出ませんでした。普段の私は言葉を失うなんて状況に陥るような人間からは程遠いのに(笑)、この映画スゴイ……と呆然としてしまって」

 

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Writer Profile

折田千鶴子

映画ライター/映画評論家

Chizuko Orita

1968年、栃木県生まれ。LEE本誌で映画&DVD紹介頁やインタビューを担当。その他、新聞・週刊誌・雑誌などで映画コラムや批評、取材記事を執筆。夫と8歳の双子男子と愛犬の、4人1匹暮らし。

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