FOOD

藤原千秋

お母さんだけが、おいしいもの食べても、いいかなぁ?

  • 藤原千秋

2017.11.26

この記事をクリップする

「お母さんはいいから、あなたたち食べなさい」

それは、たとえばショートケーキの上の、イチゴ。

私は子どもの頃からお楽しみは最後まで取っておく派だったから、今でも最後まで残しておくのだけど、私の子どもたちのうちの誰かが「ちょうだい」と言ったら、楽しみではあっても、まあ、あげてしまう。

たとえばご飯のお代わり、お釜に残り半膳。

いそいそとよそう前に子どもたちのうちの誰かが「食べたい」と言ったら、やっぱり、ちょっともの足りなくはあるけど、まあ、譲ってしまう。

まあ……「お母さんはいいから、あなたたち食べなさい」って、言ってしまう。それは犠牲の精神とか、母の愛とかそういう仰々しいことではなく、なんとなく。なんとなくなんとなく、そうしてしまう感じで15年、来てしまいました。

気分転換って、どうやってすればいいの

さて、多子というには口幅ったいけれど、小中学校に通う三姉妹を育てている私の「二学期」は、追い立てられるような行事とのせめぎ合いでした。毎年のことながら破綻と隣り合わせの詰まり具合!

運動会、体育祭、遠足、保護者会、文化祭、PTA、社会科見学、三者面談、学校見学、説明会、防犯パトロール……。あと習い事の発表会と、七五三の撮影と、ご祈祷もあったなあ。

呆然と「疲れた……」って、そうなるとご飯を作るのも、食べるのも、楽しみというよりもう「作業」の一環でしかなくなるのですよね。最短の手間での、やっつけ仕事のように。時短の合理性の意義は大きいものですけど、こういうのは、ちょっと削られる……。気分転換しようにも、何をしたらいいかもわからない、有様。

見かねたライターの友人が、クリスマスディナーの試食会に誘ってくれたのは、ちょうどそんな、さつばつとしかけた頃合いのことでした。

光る食べもの

浦和ロイヤルパインズホテル http://www.royalpines.co.jp/ レストラン RPR(アールピーアール) http://www.royalpines.co.jp/restaurant_bar/rpr クリスマスディナーコース(ノエル)

試食会の催される、「レストラン RPR(アールピーアール) 」のある「浦和ロイヤルパインズホテル」は、私の住む街をキラキラ輝きながら見下ろす素敵な建物で、実は19年も住んでいて、この19階までのぼったのは生まれて初めてでした。

浦和の街を見下ろす夜景

浦和の街を見下ろす夜景。

あの建物の上階に、こんな贅沢な空間が控えていたとは。灯台下暗しとはまさにこのこと?(灯台の上?)

他愛のないおしゃべりをしながら、ゆっくりひと皿ひと皿を友人といただく3時間近い時間が、こんなにも豊かに気持ちを弛緩させてくれるものとは……。

以下メニューのうち、印象深かったお皿をご紹介いたします。

ユリネのフランに乗せた帆立貝のポワレ。

ユリネのフランに乗せた帆立貝のポワレ。百合根の甘さがふんわりと溶け、帆立貝は弾力ある味わいをみせる。絶妙な組み合わせにどきどきしました。

 

秩父鹿のロースト グランヴヌールソース。

秩父鹿のロースト グランヴヌールソース。牛肉に見まごう柔らかさなのに、みっしりした質感は確かに鹿。埼玉県内の秩父産とのことで、印象深かったです。添えられたポテトが甘くて驚いていたところ、シェフいわくさつまいもとのこと。甘味は足されていません!

 

苺のヴァシュラン RPRスタイル。

苺のヴァシュラン RPRスタイル。クリスマス気分を高めるピンクとショコラ色のデザート。夢ゆめしいとはまさにこのこと。

正直、いただきながら、「お母さんだけが、こんなにおいしいもの食べても、いいのかなぁ?」っていう気持ちが拭えなかったのですが、こちらのレストラン RPR(アールピーアール) 、実は「お子様、大歓迎」とのこと。実際この晩もプレス、一般のお客様でもお子様と一緒にみえられている方が数組いらっしゃいました。次の機会には、私も、家族で来よう……。

せわしない気持ちのときほど、ゆっくり何かにとりくんでみる。昔の人は急がば回れといいました。こと「食べる事」の面で、その「ゆっくり」を楽しくも強制させてくれるのが、こういったディナーのお席なんだなあ……と。これもまた旧き知恵なのかしら。しみじみ合点した晩だったのでした。


RPR のクリスマスディナー「ノエル」について
51 年の歴史を持つ、フランス料理の若いシェフが料理の腕を競い合う「ル・テタンジェ国際料理コンテスト」において、 本年、国内で準優勝を飾った竹下料理長が作るクリスマスディナー
販売開始 12 月 1 日(金)より 12 月 25 日(月)まで、事前予約制
料金:1 人 13,000 円(税・サ別)

アミューズ:ずわい蟹と魚貝のミルフィーユ/ゆり根のフランにのせた帆立貝のポワレ/ムースリーヌをまとった平目のブレゼ うにソース 和牛フィレとフォアグラのロッシーニ/苺のヴァシュラン RPR スタイル

浦和ロイヤルパインズホテル
http://www.royalpines.co.jp/

レストラン RPR(アールピーアール)
http://www.royalpines.co.jp/restaurant_bar/rpr

 

藤原千秋 Chiaki Fujiwara

住宅アドバイザー・コラムニスト

掃除、暮らしまわりの記事を執筆。企業のアドバイザー、広告などにも携わる。3女の母。著監修書に『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など多数。LEEweb「暮らしのヒント」でも育児や趣味のコラムを公開。

LEE公式SNSをフォローする

閉じる

閉じる