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藤原千秋

掃除したのに臭うのはなぜ?「臭わないトイレ」をつくる3つの試み

  • 藤原千秋

2017.07.02

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お掃除しているのに臭うのは、どうして?

梅雨から夏にかけて、気温と湿度が連動してぐぐっと上がると、てきめんに「もわっ」と臭うようになるポイントが家の中にはいくつかあります。そのひとつが、寝室、とくに枕。もうひとつは、玄関、げた箱。そして、もう一箇所が、トイレ。いずれも、高まる気温や湿度に後押しされて「細菌」たちが活発に繁殖しやすいポイントだったりします。

ただ、トイレに関していうと、こと「便器」のお掃除や足元マットの交換などはちゃんとしているような家でも、変に臭うようなことが多いのです。いったい何故なのでしょう。

トイレは家の中でもとりわけ狭い、言い換えれば、かんたんに掃除ができる空間です。それでも臭ってしまうというのは、その狭さの中にも「盲点」となってしまうポイントがあるということ。もしかして我が家も? と思い当たるところがありましたら、ぜひ現状を変化させてみてください。

⒈ 便座の下を見直す

トイレ用洗剤や、ブラシのCM等の効果もあってか、便器の中の水たまり部分や便器の縁裏といった汚れのたまりやすいポイントを、毎回しっかり逃さずにお掃除するようになっている方は増えています。

それでも、温水洗浄機能などのある「便座」部分と、陶器で出来ている「便器」部分との間、隙間に溜まる汚れには、まだまだアクセスできていないようす。隙間に何かを差し込んで掃除する必要はなく、その「便座」は外れますよというと、とても驚かれることが多いのです。

住まいの、トイレの取扱説明書がある方は、ぜひ見てみてください。便座の電源を外し、抱え込んで斜めにずらすだけなので、そう難しいものではありません。ここは想像以上にホコリや尿で汚れていますが、便座を外しさえすれば手近な道具でかんたんに掃除できます。ついでに便座の脱臭機能をつかさどるフィルターのゴミも取り去っておくと良いでしょう。

 ⒉ 壁に注目する

トイレクイックル 消臭ストロング(画像提供:花王株式会社)

トイレクイックル 消臭ストロング(画像提供:花王株式会社)

便器および床の掃除というのはそれなりにアナウンスされ、掃除され尽くしている感があるものの、ことトイレの「壁」についてはあまり日常的に触っていないという人が多いようすです。しかし腰高より下、便器の後ろ側に広がる壁部分に飛散している尿の飛沫は想像以上に多く、この飛沫を菌床に繁殖する黄色ブドウ球菌などをしっかり拭き掃除、除菌しただけで、トイレ内にこもるモワッとした悪臭が消えることが多いのです。

トイレに限らず、「壁拭き」に慣れておらず、なんとなくの抵抗感がある場合には、市販のウエットシートを利用すると良いでしょう。もとから湿り気がコントロールされているため、余計な水分を残さずに掃除ができ、安心です。



⒊ 展示物をなくす

壁の掃除の勧めに併せてなのですが、トイレ内に何かの掲示物、展示物がある場合、それらが知らず知らず「臭いのもと」になっている可能性について考えてみましょう。

立位でも座位でも、私たちが用をたす際には尿の飛沫が便器内外に飛び散っていることは、さまざまな調査によっていま明らかになっています。例えば成人男性が立位で排尿した場合、1日2300滴もの尿の飛沫が便器内外、床や壁にいたるまで飛び散っていることが分かっているのですが(※)、とくにコントロールの利きにくい子どもが用を足しているトイレにおいては、大人だけで使用している場合の比ではない飛散数だと考えられます。

じつはそういった数値がまだ発表されておらず、意識づけられていなかった20年ほど前のインテリア雑誌には、しきりと「トイレをギャラリー的なスペースとして活用する」といった記事が取り上げられていました。そうしてフィギュアのコレクション、ぬいぐるみ、ポスター、絵画、写真などが飾られていたのですが、それらに飛んだ尿の飛沫は……。

 

もしも、ひとつでも「あっ」と思うところがあったなら、「さっ」と現状を変えてみてください。あっけないほど「ぱっ」とその悩ましい臭い、消えてしまうかもしれませんよ!

 

(※)http://look.lion.co.jp/lavatory/mamepika/chishiki/tonderu/

藤原千秋 Chiaki Fujiwara

住宅アドバイザー・コラムニスト

掃除、暮らしまわりの記事を執筆。企業のアドバイザー、広告などにも携わる。3女の母。著監修書に『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など多数。LEEweb「暮らしのヒント」でも育児や趣味のコラムを公開。

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