今だから振り返られる私の子育て

先輩ママインタビュー/YOUさん「子育て卒業はきっと死ぬまでやってこない」

LEE編集部

生まれたばかりの赤ちゃんを抱いて母になった日。
永遠に続くように感じた子育ての毎日。
そんな日々を歩いてきた先輩ママたちが振り返ります。

今だから言えること、今だから見えてきたこと。アンケートで募った、読者のお悩みにも答えていただきました。
子育て渦中のママにも、いつかこんな日がきっとくる!あなたの心に響いた部分を、ぜひ、子育ての参考にしてください。

撮影/宅間國博 ヘア&メイク/諏訪部留美 取材・原文/石川敦子
この記事は2017年5月7日発売LEE6月号の再掲載です。


Interview 01 タレント YOUさん

PROFILE
ゆう● 8 月29日、東京都生まれ。
音楽活動を経て、バラエティ、ドラマ、映画と幅広く活躍。
現在、ドラマ『リバース』(TBS系・毎週金曜22時~)に出演中。

ライフ&ワークヒストリー

  • 18歳 デビュー。モデル、歌手として活動
  • 24歳 「FAIRCHILD」を結成、バンドデビュー
  • 26歳 『ダウンタウンのごっつええ感じ』レギュラーに。バラエティ番組への出演が増える。この頃、1度目の結婚
  • 33歳 2度目の結婚。第1子の男の子を出産。その後、シングルマザーに
  • 現在 映画、バラエティなど多方面で活躍。女性が「ああなりたい」女性として支持を集めている
  • 息子19歳

 

 

普段は仲よしだけど数年に一度は本気で叱った

今、子育てを振り返っても「あの頃がつらかった」というときがまったくない、というYOUさん。

「ほんとに育てやすかったんですよ。赤ちゃんの頃も1回も夜泣きしなくて、たまに息してるかどうか確かめたくらい。学校から呼び出されたこともなくて。自分がひどい子供だったから『あの頃、親がつらそうだったな』『学校に始末書を書きに来たな』とかあるんです。だから息子もいつ学校で暴れて、いつピアスして、いつタトゥー入れて(笑)……と想定してたら、ちょっと物足りないくらい、何の苦労もありませんでした」

七転八倒しているお母さんが聞いたら、うらやましくて卒倒しそう。いったい、どう育てたらそうなるんでしょう?

「小学校3年生くらいになると、子供もその人の持ってるキャラクターを出し始めるじゃないですか。でもそれは、むやみに人を傷つけたりしない限り、どんな癖があってもいいと思うので、私はだいたい見逃すんです。

ただ『これだけはダメ』ということがあって、私の場合、人に対するだらしなさ。仕事してて、最低限のことができない、だらしないやつは嫌いなんで。時間に遅れる、挨拶ができない、借金返さない、そういうのはダメ。もう20円でも人に借りたら、すぐ返させる。お金にはうるさかったかな。

普段は怒らないんですけど、数年に一回、『それは許さない』という場面で激怒しました。『ちょっとそこ座って』から始まって、そのぶち切れ方がとんでもないんですよ。だから息子も、私を怒らせたらどうなるかわかってる。13歳頃には『これからたぶん反抗しようとかすると思うのね。だけど“くそばばあ”とか言ったら殺すから』と言っておきました(笑)。

そのせいかわからないけど、反抗期もなかったですね。でも私、くだらない悪さは早くしたほうがいいと思う、自分もそうだったし。だからそれをすすめてたら真逆をいっちゃって。『お酒飲む~?』とか聞いても、なんかかわいく『いや、いいよいいよ』って。私と真逆の性格ですね。息子は保守的でまじめ。私より社交性もあるし、いい感じですよ」

朝しか会えないからお弁当だけは作り続けた

息子さんは3歳から高校まで15年間一緒の一貫校に通いました。子供同士も親同士もずっと友達で、とても楽しかったそう。

「委員会もよくやったし、学校にはだいぶ行ってましたよ。仕事は調整して、学校の用事を優先してました。だって超楽しかったから。運動会なんて親のほうが気合い入っちゃって。親だけの騎馬戦とかあって、おとんとおかんがグワーッと入り乱れて、救急車騒ぎになったことも。『親御さんが大人げないので』って、途中からなくなりましたけどね(笑)。

サッカー部も毎週、試合についていったし、合宿に親も一緒に行くんです。今でもコーチと親だけで集まって飲んだりしてるくらい、仲よしなんですよ」

中学を卒業すると、親の出番はかなり減りました。さらに大学に行き始めたら、毎日のお弁当作りがなくなりました。

「3歳から高3まで、地方に行かない限りは毎日作ったから、9割はやったかな。朝しか会えないんですもん。夜は仕事で遅いと会えないから、朝だけは必ずやってました。もう癖みたいになってるから、酔っぱらって何作ったんだか覚えてなくても、何か作ってる。うちは一応、息子にとっての“実家”だから、実家ってほら、冷蔵庫開ければ何でも入ってるじゃないですか、トマトとかブロッコリーとか、冷凍した肉とか(笑)。そういうの入れて。

最初は『一生、唐揚げと玉子焼きとのり弁でいい』って言うからもう唐揚げ、唐揚げ、唐揚げ。勝手に工夫して味つけにカレー粉入れてみたりすると『余計なことしなくていい』って。日清のから揚げ粉も大好きだったんで、あの人は。4種類ぐらいの唐揚げをローテーションしてましたね。途中から『唐揚げは飯が進まねぇ』とか言いだしたけど(笑)。 今も『おにぎりだけ欲しい』と言うので作ったりしてますけど、もうだいぶ楽ですね」

シングルマザーは上手に甘えっ子になって

シングルマザーとして子供を育ててきたYOUさん。今まさに渦中にいるシングルのお母さんに、何が必要だと思いますか?

「お金の確保と、助けてくれる人の確保だよね。肉親がベストだけど、近くに頼れる人がいたら、遠慮せず頼ったほうがいいですよ。一緒に育ててくれる人は周りにきっといるし、それがうれしい人はいるし。私もちっちゃい子好きだから、今はときどき、ほかのうちの子もかわいがって喜んでますよ。

息抜きも必要でしょ。例えば3時間預かってほしいって頼んで、2時間で用事が終わったら、急いで帰るんじゃなくて、1時間お茶すればいいと私は思う。いい意味で適当にできないとつらくなる。シングルは甘えっ子になって、人に頼っていくことが品よくできないと無理だから」

それはどんなお母さんにも大切なことかもしれません。品よく人に甘えるには、どうすればいい?

「愛嬌ですね。母親の愛嬌ってすごく大事。いつもにこにこしてればいいってことじゃなくて、謝るべきことはちゃんと謝る、お礼がちゃんとできる。何回かに一回はちょっと気持ちでいいからお菓子に感謝の言葉を添えるとかさ。

いろんな人とかかわって、相当ヘンな人じゃない限りどんどん預かってもらって、よっぽどのことがない限り全部、『ありがとう』の気持ちでね。いろんな大人を見るのは、子供にとってもいいことだと思うんです。だって、いつか社会に出たらいろんな人と付き合っていかなくちゃいけないんだから。

そして子供のためばっかりに働くんじゃなくて、ちゃんと自分のやりがいも見つけてほしい。そのための30分、1時間、罪悪感を持たずに人に頼れるといいですよね。風邪ひきそう、今日はもう甘えちゃおう。った、ちょっと頑張る。無理すべきところは無理して、甘えるところは甘えて。そういうことが上手にできるといいねって思います」

子供を自立させるのが親の一番の役割

「息子はかわいいです。愛してます。でも息子に執着する、みたいなのはないです。息子にこうなってほしいとかないんですよ、私。親が自分の勝手な都合で、子供を自分の理想にどうこうしようというのは、なんか違う方向にいってると思います。だって無理だもん。無駄な夢を描いても意味がない。

もちろん、人に迷惑かけなきゃいいなとか、事故に巻き込まれなきゃいいなとか、そういう心配はいっぱいありますよ。でも、いい方向のハードルを上げようとしたことは一回もないです。

子供の進路に躍起になるお母さんもいると聞くけど、私なんて自分も流れでやってるだけで、いまだに進路なんか決まってない(笑)。来年のこともわからないじゃないですか。なのに中学校、高校、大学、毎回進路を決めさせられる子供たちも大変だなと思いますよ。だから息子も、資格取ってもいいし、資格取ったけど急に絵を描きたくなったら描けばいいし、と思ってます。

親が一番やるべきことは、彼らがひとりで生きていけるようにすること。だから挨拶とか、社会での最低限のサバイバルの要素はきっちり教える。あとはもう『どうぞどうぞ、ご自由に』って」

息子さんは来年、いよいよ成人。どんな感慨がありますか?

「ないない、何にもない。節目とかひと区切りとか、ないですよ。最近特に、子育てに卒業はないな、と思うんです。だって、社会に出てから挫折してひきこもってしまう人もいる。交通事故で加害者になってしまうこともある。それはもう大人になってるから本人の責任だけど、親に関係なくはないですよ、やっぱり。

子供が40歳でも、もしも事件を起こしたら、心が痛みますよ。産んじゃった責任ですよね。責任はある。

だから、まだどんなことがあるかわからない。まだ、ここからじゃないですか? 死ぬまで、親としての卒業はないと思っています」

本音で読者のお悩みQ&A

Under 12
自我がぐんぐん育ち始める小学校高学年。きょうだい関係にも手こずる時期

 「子供が失敗すると、母としての自分の失敗のように感じてしまいます。これから受験の年齢を迎えるので、自分のメンタルの保ち方が知りたい」(まっかーとにーさん・43歳・東京都・アルバイト)

 高校までは完全に親の責任になりますかねぇ。未成年なんだから。子供が勝手に自立して、勝手にひとりで失敗して、人に迷惑かけたりしても、最後ケツ持つのは全部親です。 一緒に反省して、一緒に成長しましょうね。

 

Under 18
やきもきの思春期を経て、自立に向けて子育てのラストスパート!

 「進路の選択について、親が率先して考え決めてよいのか、子供の考えを最大限に尊重するべきか、皆さんの考えを教えてほしいです」(はまなすさん・40歳・東京都・主婦)
 「子供に将来の目的を持ってもらいたいのですが、進学のアドバイスや、なぜ大学に行くのかなどを説明できません」(えつこさん・48歳・山口県・アルバイト)

 進路は本人が決めました。面接があるので「どうなってるの?」くらいは聞きましたが、息子から「どうしよう」という相談はなかったです。何を選ぶかは好きにすればいいんだけど、勉強はある程度やっといたほうが、後で楽だと思います。成績悪くても大学に行かなくても、ちゃんと社会で生きていける道が見えてるならいいけど、そうじゃなかったら、中1の勉強は中1 でやらなきゃダメだし、高1でサボったらその後もう無理でしょう。だから、子供がひとりでできないなら、一緒に勉強するのがいいのか、お友達が行ってる塾に行かせるのがいいのか。学校の先生ともちゃんと話をして。親子ふたりで話すと、お互いにいろいろ思いがあるから誤解が生じることもあるでしょう。先生やほかのお母さんが入ってくれて、3人、4人になると偏りがなくなって、見えてくるものがあると思います。

 

 「成長するにつれて娘の恋愛関係が難しい」(ちゃまさん・46歳・石川県・主婦)
 「子供の交友関係や恋愛関係など、どのくらい親がかかわっていいのでしょうか」(kuro1818さん・40歳・東京都・主婦)

 私は「もう早く子供とかつくっちゃえばいいのに」と言ってますけど、全然そういう気配はないです(笑)。でも息子の恋愛の話なんかしないですよ。「こんな彼女が理想」とか、そんな夢ないし(笑)。でも娘さんは心配かもしれませんね。交友関係は、うちは3歳から高校までずっと一緒の学校だったので、クラスで知らない子がいないんですよ。親同士もみんな知り合いだから子供の話をするし、先生ともすごく話すし、そういう意味では透明というか、あからさまでしたね。いろんなことが親の耳に入ってくるので、隠れていじめるとか悪いことができない学校だった、それはよかったと思います。

 「慣れない子育てに疲れて早く成長してほしいと思っていましたが、気づけば長女と一緒に暮らせる期間もあと4年。高校を卒業したら家を出るだろうと思うと、今から寂しくてたまりません。子供の成長を喜ぶより、寂しく感じる感情ってありましたか?」(よしよしさん・45歳・京都府・主婦)

 まだ旅立ってないのでないんですけど、家を出ていくときはあるかもしれない。あるのかな。

本誌未公開Q&A
 親戚は、子どもは兄弟がいたほうが絶対にいいからねと言います。私はそれは違うと思うのですが、YOUさんが実際にひとりっ子として育てていく中で、兄弟の有無について考えたことがあれば教えていただきたいです。(ぴっぴさん・38歳・三重県・公務員)

 そうだよね。言われるよね。私もきょうだい、いないのよ。だけど私は、妹欲しいとか弟欲しいとか思ったこと、一切ないですよ。息子も成り行きでひとりっ子になったけど、「ひとりっ子だからこう育てよう」と意識したこともありません。
『ひとりっ子の本』みたいなのが一時期流行ったことがあったでしょう。「ひとりっ子はこういう性格だ」とか。あれを息子と2人で読んでげらげら笑いました。「これも当たってる、あ、これもだ。やっべー、病気だよな、ひとりっ子」とか「これ、なくね?」とか(笑)。ひとりっ子について何か考えたのはそれくらいかな。

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