食物アレルギーの子どもと暮らす

食物アレルギーの子どもと暮らす【その1】〜減感作療法への道〜

「毒物は確認されない殺人」

それは今から10年くらい前に観た、ある映画のワンシーンでした。

お菓子の缶の底に溜まった、砂糖混じりのボロボロのかけらを、意図してターゲットの飲みさしのコーヒーカップに注ぐ犯人

気づかずコーヒーを飲み干してしまったターゲットは、間もなく苦しみ絶命してしまいます。しかし警察の捜査で“毒物”は確認されず無罪放免になるのです。

スクリーンを観ながら、私の身体には嫌な汗がどっと吹き出ました。なぜかと言えば、映画内で殺されたターゲットと同じ食べ物の「食物アレルギー」を、そのとき3歳に満たなかった私の娘も持っていたからです。

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アレルギーっ子のママ、15年目

わが家には今年(2016年)14歳、10歳、6歳になる三姉妹がいます。そのうち長女と三女に「食物アレルギー」があり、長女と次女に「喘息」があります。ちなみに長女には「花粉症」もあり(三冠)、アレルギーとの付き合いはかれこれ15年目になります。

今でこそ「うちの子アレルギーで」と苦もなく言えますが、正直なところ、だいぶん子どもにアレルギーがあるということを認められずにいました。「これ、風邪なんじゃない?」「お腹、壊しただけじゃない?」だなんて……。

じっさい、消化器に症状が出るタイプの食物アレルギーの場合、一見「お腹の風邪」のような出かたをします。腹痛や下痢嘔吐などが起こることが多いのです。

よく大人でも花粉症?だろうに、「違う! 私は絶対、ただの風邪だから!」ってグシュグシュしながら認めない人がいますけれど、ああいう感じで、とっさに見分けがつきません。

そもそも私にとっては、自分の子どもが生まれて初めて見た「食物アレルギー」の人でしたので、それがどういう症状を呈するものかなども全然知らなかったのです。

余談ですが「喘息」の特徴的な喘鳴(ぜんめい)も聞いたことがないため分からずに、子どもの最初の気管支喘息の発作の際には、悪化して救急車を呼ぶことになってしまいました。

子どもの命を脅かす「食べ物」

いろいろと「知らない」というのは怖いものですね。件の映画の、「あれ」と同じことをされたら、あんなふうにショック症状を起こして死にかねない。それなのに私の娘の命を脅かすのは「毒」なんかではなく、皆が普通に食べている当たり前の食べもので、農薬のあるなしも、オーガニックも有機も関係ありません。

重篤な「食物アレルギー」を持っているということは、「そういうこと」なのだ、と映画で改めて思い知らされ、「いったいどうしたらいいんだろう」「どうやってこの子を守っていけばいいんだろう」、寝つけない夜が続きました。

その頃、かかりつけ医の指導で行っていたのは、アレルゲン(アレルギー症状を引き起こす原因となるもの)となる食べ物いっさいを食べない、食べさせないといういわゆる「除去」だけでした。

これは簡単な対処法のようでいて、厳密に行うことを考えるとものすごく難しい営みでした。およそ、「ふつう」の食生活は送れません。そしてその必要性は、現在ほど当時の「ふつう」の人には知れ渡っていませんでした。

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Writer Profile

藤原千秋

住宅アドバイザー・コラムニスト

Chiaki Fujiwara

1974年、栃木県生まれ。住宅ライター・アドバイザー&コラムニスト。家族は夫と小・中・高校生の娘3人。趣味は宝塚歌劇の観劇です。

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