映画ライター折田千鶴子のカルチャーナビアネックス

今春必見のドキュメンタリー映画、世界の才能に驚嘆、感動、癒される5選!

<スローライフの母>である絵本作家がくれる“生き方のヒント”

『ターシャ・テューダー 静かな水の物語』
2017年4/15(土)より角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA他全国ロードショー
(c)Richard W Brown
【監督】松谷光絵   2017年/日本/105分/配給:KADOKAWA
http://tasha-movie.jp/

LEE読者の中には、絵本作家ターシャ・テューダーをご存知の方やファンも多いのではないでしょうか。1938年にデビューして以来、実際に飼っていたコーギー犬を主人公にした「コーギービル」シリーズを代表作にもつ、アメリカで最も愛される絵本作家のひとりです。絵本作家としてはもちろんですが、挿絵画家、人形作家であり、さらに園芸家として自然に寄り添った彼女の暮らしが世界中から注目され、人々を魅了してきました。

なんと子育てを終えた56歳のときに、バーモント州の山奥に18世紀風の農家を建て(しかも長男が!!)、そこで天国のような色とりどりの花が咲き乱れる庭を作り、自然に寄り添い、大好きな動物たちと自分らしく暮らしました。映画が映し出すその庭の、本当に美しいこと。美味しい空気がスクリーンのこちらまでふわりと届いてきそうです。

(c)2017 映画「ターシャ・テューダー」製作委員会

そんな彼女が語る一言一言は、まるで魔法のように私たちの心にふっと優しく入ってくるのです。なるほど、彼女の言葉を集めた書籍が、日本でも大ヒットを記録し、一大ブームを巻き起こしたというのも納得です。

クリスマスツリーに手作りのジンジャークッキーを飾ったり、子供たちの遊ぶ人形を手作りしたり、各々の花に最も適した土を探るため、種を大きな庭の何か所かに植えて様子を見たり。生活の隅々まで、すべてに愛情を注ぐ暮らしぶりが、なんとも心地いいのです。

監督はじめ制作チームは、なんと日本人! 映像を観ているだけでも十二分に心が洗われますが、彼女の言葉が、やさしく体中にこだまするような感覚を覚えます。「忙しすぎて、迷子になっていない?」と彼女が語るように、日々忙しい人へのとっておきの癒し時間になること、間違いなしの佳作です。

 

本年度アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞ノミネート作

 

『ぼくと魔法の言葉たち』
シネスイッチ銀座ほか絶賛公開中
© 2016 A&E Television Networks, LLC. All Rights Reserved.
【監督】ロジャー・ロス・ウィリアムズ   2016年 アメリカ / 91分/配給:トランスフォーマー
http://www.transformer.co.jp/m/bokutomahou/

この映画にも、もう、すっかり魅了されてしまいました!! 主人公は、2歳のときに自閉症によって言葉を失い、6歳まで自分だけの世界に閉じ込められていたオーウェン君。ただその間も、ディズニー・アニメーションが大好きで、ずっと夢中になって見入っていたそうです。映画のある場面で小さな反応を示すことに両親は希望を見出しますが、医者からは単なる“反射”で、言葉を取り戻すのは無理と宣告されてしまうのです。

ところが、そんな失意の中でも、両親は絶対に諦めませんでした。そしてある日、オーウェンが発したモゴモゴした言葉が、ディズニー・アニメーション「リトル・マーメイド」に登場するセリフだと気づくのです。お父さんがオーウェンの大好きなキャラクター、オウムの“イアーゴ”になり切って話しかけると……なんと、オーウェン君が言葉を返して来たのです!!

愛情に溢れた両親と兄の支えで、言葉を取り戻していく様子に、心の奥がムクムク熱くなります。ディズニー・アニメーションを通し、明るく前を向いて頑張るオーウェン君が可愛くて頼もしくて、心から大好きになってしまうのです。

こちらは、お兄さんの誕生日を家族で祝うシーン。お兄さんの合図で、兄弟でろうそくの炎を消す姿も微笑ましくて温かい!

映画撮影時23歳のオーウェン君の、いつも全く裏のない素直なリアクションが、とっても気持ちがいいのです。そんな彼だからこそ、もちろん誰かを好きになったら、真っ直ぐに相手に向かっていきます。でもだからこそ、恋を失うときは、真正面から傷つかずにいられない……。そんな彼に家族がどんな言葉をかけ、成人した彼を一人前の人間として応援し、独り立ちさせようとするのでしょうか!?

家族の深い深い愛。互いをリスペクトし、互いを誇り、親として兄として、家族として、愛と信念を全うしようとする家族みんなに、尊敬の念を抱かずにいられません。……なんて硬い言葉ではなく、とにかく大好き!! 真っ直ぐなオーウェン君とその家族を応援するどころか、逆にパワーをもらえる、ハートに溢れたドキュメンタリーなのです。

 

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Writer Profile

折田千鶴子

映画ライター/映画評論家

Chizuko Orita

栃木県出身。LEE本誌で映画&DVD紹介ページやインタビューを担当。その他、各種雑誌やWEBメディア、映画パンフレットなどで映画コラムや批評、取材記事を執筆。夫と10歳の双子男子の4人暮らし。愛犬を亡くし、家族でペットロス中。

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