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私ってママ失格なの?

【第3回】目からウロコの「育児スキルトレーニング」実践編

  • スーザン史子

2017.02.07

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前回は、社会福祉法人「子どもの虐待防止センター」で「育児スキルトレーニング」を受けるにあたって、面接を受けたところまでお話しました。

今回は、面接後に受講した、トレーニングの具体的な内容について紹介していきます。

 「ちゃんとしなさい!」や「いい子にしててね!」は子供に伝わってない!

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まず、このトレーニングの概要を少し説明しましょう。

この講座は、20世紀初頭にアメリカで開発された「ボーイズタウン・コモンセンスペアレンティング」という育児メソッドに沿っていて、子どもの良い行動を励まし、悪い行動を減らし、代替行動を教えるための教育内容になっています。詳しくは書籍などがたくさん出ているので、興味のある方は調べてみてください。

 

トレーニングは、2時間の講座が、2週間ごと全7回に渡って行われるというもので、一昨年の秋に受講した際は、参加者が4人に対し、トレーナーが2人の合計6人のグループで行われました。

 

参加してみると、集まったお母さん方は、みなさんしっかりとした明るい方ばかりで、少しホッとしたのを覚えています。一見普通に見えるお母さんたちも私と同じように悩んでいるんだ、と思えたからです。すごく救われた気分になれました。

 

では、具体的にトレーニングの内容を紹介していきましょう。

1回の講座で、1つのスキルを学べるカリキュラムになっています。

まずは、そのスキルの概要説明から始まり、次に教材ビデオを見て、親子のやりとりについての良い例、悪い例について学び、その後、実際に参加者同士で親の役、子どもの役を割り当て、親子のやりとりをロールプレイングするという流れになっています。そして次回までに家庭で、子どもを相手に、そのスキルを実践してみる、という流れです。

 

全7回に及ぶ講座でしたが、第1回目の「わかりやすいコミュニケーション」から、“目からウロコ”の連続でした。

 

みなさんは、よく「ちゃんとしなさい!」とか「いい子にしててね!」という言葉、使っていませんか? でも、これ、子どもにはちゃんと伝わっていないんですって。

では、どうするかというと、「ここに座って静かに待っていてね」といったように、行動を具体的に表現して伝えることが必要なんです。

「こんな初歩的なこと」と思われるかもしれませんが、私にはまったくできていなかったんですね。

 

特に、劇的に親子間の関係が良くなったと感じられたのは、「誉める」ことによってでした。

いつも怒ってばかりいる私に対し、いつしかにらみつけてくるようになってしまっていた息子でしたが、「誉める」ことによって、彼本来が持つ、本当に無邪気ないい笑顔を見せてくれるようになりました。

「誉める」なんて簡単なこと誰でもやってるんじゃない? そう思う方も多いかもしれません。でも私はそんな簡単なことも思いつかなったんです。

 

「誉める」といっても、トレーニングで学んだのは、“効果的な誉め方”というもの。なにか良い行動をしたときには、その行動をすぐに誉め、誉め言葉でサンドイッチして伝えるというのがポイントです。

玄関の靴脱ぎっぱなしも、スーパーでの「あれ買って!」の駄々も解消!

私が実践して効果のあった例を紹介しましょう。

保育園から帰ってきたときに、私からの指示を受けることなく、息子が玄関で上手に靴を揃えられたときのことです。

「わぁ、えらいね! 自分でちゃんと靴を揃えておうちに入れたね。そうすると、玄関もキレイだし、明日の朝、靴を履くときに、履きやすいよね」

そう言うと、息子はすすんで靴を揃えるということをするようになりました。といっても、それから毎日できるようになったわけではなく、いまだに、できる日とできない日とがありますけどね(笑)。

 

「予防的教育法」も、かなり効果を感じられた方法です。やって欲しくない問題行動を前もって子どもに言い聞かせておくことで、怒ることを防ぐことができるものです。

 

当時、息子はスーパーに買い物へ行くと必ずあれこれ買いたがり、「買わない」と言うとグズってお店のなかで騒ぐ、床を這いずり回る、といったことがよくあり、私は毎度困り果てていました。

そこで、この教育法を試してみることにしました。

Mother and son are choosing vegetables in the supermarket

まず、家で落ち着いているときに、「これからお買い物をするけれど、お菓子はおうちにあるから、今日は買わないよ。だからお店で騒いだりしないでね」

そんなふうに、前もって言っておきます。すると息子は、「わかった! 今日は買わない」といいます。そしてもう一度、スーパーの前で、約束を守れるか、練習をします。

「さっきお約束したこと、覚えてるかな? 今日はお菓子は買わないんだよね?」というと、「お菓子はおうちにあるから、今日は買わない」と言って我慢できるようになりました。

いまでは、「今日はお菓子は買わないんだよね」と自分から言い出したり、「今日はお菓子を買ってもいい?」と確認してくるようになりました。もちろん、そういうことを何度も繰り返しているうちに、年齢的にも4歳から5歳を迎え、ようやく落ち着いてきた、という面もありますけれど。

 

これらの教育法は、私にとっては本当にありがたい魔法のような効果をもたらしてくれました。

いままで感情にまかせて怒ってばかりだった私の子育てが、このトレーニングを受けていくたびに変わっていき、子どもの笑顔が増えていったんですね。

 

でも、トレーニングというだけあって、なかなかうまくいかないこともありました。

難しいなと感じたのは、実際に参加者同士で行う、ロールプレイングです。これ、普段言い慣れていないと、なかなか言葉が出てこないんですよ! 子ども側にとってのメリットを言葉にして伝えようとしても、なんと言ったらいいかわからないんです。

子育てとは、「コミュニケーションを1から学ぶこと」

たとえば、「問題行動を正す教育法」では、

「●●したいのはわかるよ。でも、ママはこうしてほしいんだ。こうすると、〇〇君もこんなふうにいいことがあるよね。じゃ、これから練習してみようか。わぁ、よくできたね!」といった一連のフレーズを伝えるんですが、淀みなく言葉を紡ぐことが私には難しく、いつも何度もつっかえながら、時間をかけてようやく言い終える、といった感じでした。日ごろ使い慣れていない部分の脳みそを使って、脳に汗をかく、みたいな感じでしょうか。

 

このトレーニングを受けることで気づかされたのは、「子育てとは、コミュニケーションを1から学ぶことなのだ」ということ。

普段、大人の世界の中だけで仕事をしていると、少ない言葉だけで通じてしまうことも多いですよね。でも、同じことを子供に対してやったところで、全然伝わっていないんですよ。

子供に伝えるためには、どうやったら相手が気持ちよく言う事を聞いてくれるか、ということを考えながら伝えなくてはいけないんですね。「そんなこと、40年も生きてきて、どうして気づかないんだ!?」って、自分でも不思議です(笑)。でも、悩んでいたときは、ただただ、「どうしてわかってくれないの!?」の一点張りでした。

 

それと、子育てにはある程度のスキルが必要だとも、改めて気づいたことです。逆に言えば、このスキルさえ身に着けておけば、子育ては随分ラクになる、ということがわかってきたんですよね。これによって、これまで途方に暮れていた子育てに対して、なんとか少しずつ手ごたえを得られるようになりました。

 

トレーナーの方がいつもおっしゃっていた言葉があります。

「このトレーニングは、子育てをもっとラクにするためのものなんです。だから、無理するのではなく、できる範囲で役立ててほしい」と。そういうスタンスで接してくださったのも、すごくありがたかったし、救われたと感じています。

今まさに、子育てに悩んでいるお母さんたち、私のように孤育てに陥ってしまっているお母さん、たくさんいると思います。悩んでいるときは、なかなか外に発信できないし、一人で抱え込んでしまって、どうしようもなくなってしまいますよね。

でも、助けてくれる人は必ずいます。まずは声をあげてみてください。「誰か助けて!」と声を上げていいんですよ。そうしたら必ず誰かが助けてくれるはずです。

子育てって本来はいろんな人の手を借りてやるものなんですよね。

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息子はこの春から小学生になります。共働き夫婦にとって、1年生の壁は高い!

で、私たちが選択したのは夫の実家での同居でした。すご~く悩みましたけどね(笑)。さてどうなることやら、アッハッハ!

幼児期は終わりましたが、これからも子育てはずっと続いていきます。これからも、何かの折にふれて、ママブログ続けていきます。一緒に悩んでいきましょう!

 

●社会福祉法人 子どもの虐待防止センター

電話相談)03-5300-2990

10:00~17:00(平日)、10:00~15:00(土曜) 日・祝休

http://www.ccap.or.jp/

 

 

 

 

 

 

 

スーザン史子 Fumiko Susan

カージャーナリスト

出版社にて雑誌編集に携わった後、自動車ジャーナリストに転身。女性誌や専門誌、web等で、主に車関係の記事を執筆。10年に息子を出産、ママ目線での車の使いやすさにも注目するかたわら、安全運転講習の講師を務めるなど、クルマ生活に役立つ情報を提供している。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

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