堀江純子のスタア☆劇場

劇団☆新感線、初出演でこの春、役者・松井玲奈さん開花宣言!【堀江純子のスタア☆劇場】

“堀江純子のスタア☆劇場”
VOL.19:松井玲奈さん

数々の舞台、映画、ドラマで、本格派の役者としてアクトしまくっている松井玲奈さん。現在放送中のNHK大河ドラマ『どうする家康』では、家康の側室、お万役での出演が決まっています。

そして、彼女が「ずっと憧れでした」と語る、劇団☆新感線出演も果たし、演じる道を真っ直ぐに力強く進み続ける春。『ミナト町純情オセロ〜月がとっても慕情篇〜』で演じているのは、主演・三宅健さん演じるオセロの美しい妻、モナ。

『オセロー』を翻案した青木豪書き下ろし作。シェイクスピアの四大悲劇をいのうえひでのりが和製に仕上げ、戦後のアメリカ文化が流れ込んだ港町を舞台に、人情悲喜劇が繰り広げられます。

まついれな●1991年7月27日生まれ。O型。2015年にSKE48卒業後、役者業へ。2018年より執筆活動にも意欲的に取り組み、短編集『カモフラージュ』(集英社)を刊行。近年は舞台『オリエント急行殺人事件』『ジュリアス・シーザー』『歌妖曲〜中川大志之丞変化〜』、映画『幕が下りたら会いましょう』『とある家のこと』『よだかの片想い』、ドラマ『プロミス・シンデレラ』『どうする家康』など、多岐に渡る活躍ぶりである。

本番に備えて体幹トレーニング!

──製作発表の場で、主演の三宅健さんが、松井さんのお肌の美しさに驚かれていましたが、秘訣をお伺いしても? “何もしてません”ってお答えではないですよね(笑)?

「丁寧に、丁寧にスキンケアしております(笑)。乾燥肌なので毎日パックしてますね。水分が足りないか、皮脂が足りないか…私は前者の乾燥肌なので、水分補給はたっぷりと。パック後にも化粧水ひたひたに…とにかく保湿です。乾燥して、毛穴が開いてきたかなと感じれば、こまめにオイルミストをスプレーしたりもしますね」

──マメと継続…ですね。美容って“これでおしまい”がないですよね。

「そう思います。代謝を上げること、デトックスも意識していて。温めた梅干しは燃焼効果が高まると聞いて、朝は白湯に梅干しを入れ、潰して飲んでます。体にいいものを取りいれている…ということで安心感も得られるので、心から元気になっていると、そういう思い込みも大事かなと」

──舞台のお仕事のとき、特に劇団☆新感線の作品は動きも激しいイメージがありますが、そういった際の体調管理は?

「本番に備えて、体幹トレーニングをしっかりするようにしています。これをやっておくと、2時間、3時間の本番も体力が持ちますし、体の軸が緩まないような気がするんですよね。自己流ではあるんですけど、自分でこれまで得た経験値から、今回は動く役だから下半身の筋力を鍛えておこう、歌があるから喉のアップを念入りに深くやっておこうとか。自分の身体に合わせた調整をするようにしています」

説得力ある汚れなき可愛らしさを

──今回、初の劇団☆新感線出演にあたって、何か準備はされましたか?

「憧れの劇団☆新感線で、可愛らしい役をいただけました。今回、私が演じるモナという役は、純真で真っ直ぐ、汚れのない女の子だと思っています。そんな彼女のいいところをより引き出せるように、もっときれいになりたい!と自分でも思っていますし、お客様に、可愛らしいオーラの説得力を持たせないといけないなと」

──『ミナト町純情オセロ~月がとっても慕情篇~』は、シェイクスピアの『オセロー』がベースになっていますが、シェイクスピア作品のヒロインは汚れなき乙女が多いですよね。

「そうですよね。三宅さんが演じるオセロとモナの出会いが前半で、そこが短いシーンで結ばれるので、モナがオセロに愛される所以の説得力が必要なんですよね。外見も内面も磨いて、ステージに立ちたいと思いました。あと、ヒールを履いて動き回るので、稽古からヒールを履いて慣れておきたいというのもありましたね」

STORY:復興と共に新たな混沌が生まれつつあった1950年代の日本。シノギの世界でも血で血を洗う争いの末、新たな勢力がのし上がりつつあった。関西の港町・神部をシマに戦後の混乱の中で勢力を拡大した沙鷗組――ブラジルの血を引く若頭筆頭、亜牟蘭オセロ(三宅健)。図抜けた腕っぷしと度胸を武器に、若頭補佐の汐見丈(寺西拓人)とシマを広げてきたオセロ。しかし、四国の新興ヤクザ観音組に組長を射殺された現場で、オセロはその場に居合わせた町医者の娘、村板モナ(松井玲奈)に惚れ、組を抜けてカタギになることを決意する。

棚からぼた餅よりも、努力して得たい

──ヒールをきれいに履いて歩くための筋肉、必要ですよね。しばらくローヒールやスニーカーで過ごしていると、ヒール筋がなくなるような……。

「わかります! それ本当に思います。ヒールを履くと背筋がスッと伸びて、スイッチが入るような感覚があります。それだけでも体幹トレーニングになってると思います。おしりも上がりますし。前回の公演『歌妖曲〜中川大志之丞変化〜』のとき、地方公演の合間の何日間か、ヒールを履かない生活をしていたら、あきらかにおしりが下がったんです。そのとき改めてわかりましたね。ヒールを履くと、こことここの筋肉を使っていたんだなって。それからは、自分に合うヒール靴を探したり、必要に応じて履き続けるように心がけています」

──お話を聞いていると、モナって女性が女性であることにすごく意識を向けなければならない役ですね。

「さらに、少女の心を取り戻す必要がありますね。少女のような純粋さ、小動物のような可愛らしさをどうにか引っ張りだし、モナを演じたいと思います」

──演技を追求するだけじゃなく、体ごと役になるために勉強して、鍛錬することがお好きなんですね。ご苦労も楽しそうにお話されているので。

「好きです。その役、作品に向き合ってるときだけなんですけどね(笑)。終わると全部捨てちゃう、やめちゃうんです。ただ、経験としてどこか自分の中に残っていて、次また役に立つお仕事のときに、“あの時できたから、またできるはず!”と自信になってくれたりします。棚からぼた餅よりも、自分で努力して得るほうが私には向いてますね。いいことが急に降ってくると、アップアップしちゃいます(笑)」

──憧れの劇団☆新感線、劇団を象徴する役者でもある高田聖子さんとの共演はまた、松井さんにとっての新たなる財産、引き出しとなりそうですね。

「本当に…それと同時に、劇団☆新感線の舞台に立つからには、私がその水準の人間でなければならないという想いも強くあります。このお仕事が決まってから、日々その想いと闘ってきましたね。ですから、本読み初日は緊張しすぎて大変でした(笑)。稽古が始まってからも、演出のいのうえ(ひでのり)さんがエネルギッシュで、どの役の段取りもいのうえさんが付けてくださるので、まずそれを覚えて、そこに自分の感情を乗せていかなきゃならない。上手に移動する段取りがあれば、なぜそこへ行くのかを自分の感情とリンクさせないとダメなんですよね。稽古をすればするほど、課題が積み重なっていきました。稽古が進めば変更もありますので、あたふたしながら付いていくのに必死でしたが、私が大好きで観ていた劇団☆新感線はこうやってできていくのだと、そういった喜びもあって。エネルギッシュで面白くて、キャラクターの感情が真っ直ぐ伝わってくる新感線作品…大変ですけど、作る段階からやはり面白くて、ものすごく勉強になりました。自分のお芝居に対する理解がより深まるいいきっかけをいただきましたね」

クリアすべきハードルを好み、求む

──新感線の、闘う女戦士のようなキャラクターも似合いそうですね。

「憧れますね。けど、モナは大人しい女の子かと思ってたら、動く動く(笑)。その躍動感に目が回りそうです(笑)」

──努力や苦労を積み重ねながらも、新しい作品、役と出会うことをすごく楽しんでらっしゃるようにお見受けします。

「楽しいです! これをクリアしなければならないってハードルを与えてもらうのが好きなタイプなんだと思います。特に舞台でのお芝居だと、ゴールがいい意味でぼんやりしてるっていうのかな? 2人は仲直りする…ってゴールがあったとして。どう仲直りするかは台本には言葉でしか書いてなくて。それを共演者の皆さんと芝居をしながら試行錯誤しながら動きを作っていく。そうすることでゴールに辿り着く……」

──それが、いのうえさんの演出だと、先に動きが?

「そうなんです。こうしてこう動くと最後はこうなるから!って、先に見せてもらえるんですね。となると、そのゴールに辿り着くためには私は何をすべきか。どんなハードルを越えたらいいか。大変ですけど、ゴールもやるべきことも明確で、今の私は、いのうえさんのスタイルを“楽しい!”って思いながらやらせていただいてますね」

仕事とプライベートを分けて、メリハリのある生活を

──クリエイトすることを楽しみ、演じることにワクワクし、今、役者としてこれだけキラキラしている姿を拝見すると、プライベートは二の次に?

「そう見えますか(笑)。そんなことないです。すべて楽しみたいって思ってますよ。家に帰ったら、ほぼ仕事に関することはしませんし。外でやるべきことはすべて頑張って、家ではよほどのことがない限り、台本を開かないです(笑)。仕事する場所とリラックスする場所は分けています。メリハリは大事だなと」

──リラックスの場所、ご自宅ではどんな過ごし方を?

「料理をしたり、猫とひたすらダラダラと(笑)」

──猫が恋人ですか?

「飛び越えて、子供みたい(笑)。可愛くて仕方ないです」

──お料理は、最近なにを作られましたか?

「みぞれ煮…でした。煮物はよく作ります。切って、煮て…って作業で、自分がリセットされるのがいいんですよね。グツグツ煮込んでいる時間に、余計な考えや感情は落としている…そんな感じです(笑)」

野菜を切る、煮る…その作業でリセットする。私も同じ気分転換をしているので、「わかる、わかる~!」とお話を伺いました。執筆業という始終考え事をしがちな生業だからでしょうか。まるで違うことに集中するとリセットできるんですよね。松井さんも、感覚、テンションで演じずに、物事をしっかりと考え、松井玲奈の引き出しに経験を詰め、必要に応じて、ピックアップする。とても思慮深く、努力を厭わない人であると感じました。
透明感と品のあるお顔立ちに目を奪われますが、それは内面の真面目さ、豊かさからきているものだと、お話を伺ってわかりました。


2023年劇団☆新感線43周年興行・春公演
Shinkansen faces Shakespeare 『ミナト町純情オセロ~月がとっても慕情篇~』 好評公演中

【原作】ウィリアム・シェイクスピア
(松岡和子翻訳版「オセロー」ちくま文庫より)
【作】青木 豪
【演出】いのうえひでのり
【出演】三宅 健/松井玲奈 粟根まこと 寺西拓人/高田聖子 他
【企画】ヴィレッヂ/劇団☆新感線
【製作】ヴィレッヂ/東京グローブ座

【東京公演】2023年3月10日(金)~3月28日(火)東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)

【大阪公演】2023年4月13日(木)~5月1日(月)COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール

『ミナト町純情オセロ~月がとっても慕情篇~』公式サイト

撮影/富田一也

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