堀江純子のスタア☆劇場

「すべて本気です」多才な松下優也さんの素顔に迫る。『バイ・バイ・バーディー』ロックスター役で才能爆発!【堀江純子のスタア☆劇場】

“堀江純子のスタア☆劇場”
VOL.18:松下優也さん

NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』で話題となった栄輔さん役に惹かれ、ミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』では“まさかあの栄輔さんが!?”と目を疑うほどのミュージカル歌唱に仰天。いくつもの顔を持つ松下優也さんにいつかお話をうかがってみたいという願いが実現! 現在上演中のブロードウェイ・ミュージカル『バイ・バイ・バーディー』のタイトルにもなっているロック・スター、コンラッド・バーディーを演じている松下さんに、根ほり葉ほりうかがいました。

『バイ・バイ・バーディー』は長野博さん主演のハッピーな気持ちになれるコメディミュージカル。舞台は1960年代のアメリカ、エルヴィス・プレスリーの徴兵エピソードをヒントに作られ、ブロードウェイでロングラン、トニー賞も受賞した作品です。

まつしたゆうや●1990年5月24日生まれ、兵庫県西宮市出身。2008年ソロアーティストとしてデビューし、現在はYOUYAとして音楽活動中。俳優としてもその才能を開花させて、テレビドラマではNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』岩佐栄輔役や、『アシガール』羽木成之役で注目を集める。何よりステージエンターテインメントでの活躍は目覚ましく、『ミュージカル黒執事』シリーズ主演ほか、Broadway Musical 『IN THE HEIGHTS』(イン・ザ・ハイツ)、新感線☆RS『メタルマクベス』disc1、ミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』、ミュージカル『るろうに剣心 京都編』など多数の作品で評価を得る。2023年3月にはミュージカル『太平洋序曲』の出演を控え、山本耕史とWキャストでの狂言回し役に期待がかかる。

自分にあるノリで楽しくパフォーマンスを

── 寒さを感じ出した季節に、観ていて熱く高まるミュージカル、ホットな楽曲に溢れた構成はいいですね!

「コンラッドが歌う曲って、劇中のライブでの曲が多くて。ミュージカルと言えば、台詞を歌に乗せることが多いと思うんですけど、今回はコンラッド・バーディーというロックスターの持ち歌を歌い、ショーアップされているので、そこは自分にもともとあるノリで楽しくパフォーマンスできればいいなと。僕は音楽活動もしているので、ライブモードでやっています」

── お気に入りのナンバーは?

「コンラッドの曲の『正直になれ』ですね。自由度が高い曲で、楽しくなるし、テンションも上がります。英語を日本語にすることで、響きが変わったりすることがあるんですけど、高橋亜子さんの訳詞が母音等をしっかりと考えてくださっているので、とても歌いやすいんですよね」

STORY:若くして音楽会社を立ち上げたアルバート・ピーターソンは窮地に立たされていた。アメリカ中、いや世界中の女性の心を鷲掴みにして虜にしているスーパーロックスターでクライアントのコンラッド・バーディーが召集令状を受けたというのだ! スーパースターの徴兵とあっては、会社が立ち行かなくなると絶望の中、アルバートの恋人であり秘書でもあるローズ・アルバレスは破天荒なアイデアを思いつく。入隊前最後の曲<ワンラストキス>を作り、発売企画としてラッキーな女の子一人にバーディーの「ラストキス」をプレゼント! 果たして、<ワンラストキス>企画は成功するのか!?

── ご自身の音楽活動では、ミュージカルナンバーとは全く違う音楽をパフォーマンスされてますが、それぞれ、声の出し方などこだわったり?

「相当こだわってやっているほうだと思いますね。まずは感覚で歌って、感覚の時期を過ぎたら次は細かく作っていきます。ここはビブラートをかけるかけない、どういう声で歌うとか。今回のコンラッド・バーディーに関してはどちらかと言うと音楽寄りなので、普段のアーティストとしての活動が活かされる楽曲かなって思っています」

── コンラッドを演じるにあたって、エルヴィス・プレスリーを研究されたんですか?

「そうですね。もともと聴いてはいましたが、プレスリーの曲をさらに多く聴きました。歌の遊び方とか、自分はしたことなかったところがあるんですよ。例えばちょっとふざけるように、めっちゃ低い声で歌ったりするじゃないですか。コンラッドにもそういうポイントがあったりしますね。演出、振付がTETSUHARUさんなので、踊りも楽しいですね」

すべて本気で、すべて高い水準を目指す

── 多ジャンル歌えて、踊りもできて。多才ですよね。

「いやいや…(笑)。まぁ、ソロシンガーをやって、映像作品やミュージカルもやっていますが…僕自身はそれぞれ全く別物としてやっている感覚で。なので、何らかの作品で僕を知っていただいて、調べてみたら、あれもやってるこれもやってるので、“この人、一体何の人なんだろう!?”って思う方も多いでしょうね。確かに僕って、捉えにくいと思います(笑)……言うなれば、それら全部やっている人です(笑)。すべて本気で、片手間ではなく、それなりにすべて高めの水準でありたいと、そう意識してやっているつもりですね」

── おっしゃるままを難なく受け止められます。NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』の岩佐栄輔という役で切なく心に残る演技で魅了し、栄輔の出演終了後には“栄輔ロス”が発生。ミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』の『灰色の都市』の歌唱は実にドラマティック。アーティスト活動はネイティブに劣らない発音とビートで英語詞のオリジナルソングを。本当に、すべてが高水準だと思います。

「そう言っていただいてめちゃくちゃ嬉しいんですけど、そういう存在がもっと多く日本にいてもいいのになって思うんですよね。隣の韓国を見るだけでも、ミュージカル、映像、音楽でもどれも評価が高い方が比較的多い印象があって。日本もそういう能力がある方がたくさんいらっしゃるはず。ひとつの道を極めるのもいいことだとは思うんですよ。けれど、僕は、“○○の人”って思われたいっていうのがないんですよね。僕はアーティストだ、ミュージカル俳優だ、って自分を括ってないというか」

自分で自分のことを”何者だ”と言う気はない

── 確かに、日本って肩書きを付けがちなところありますよね。我々マスコミ陣も、“○○の人”って、カテゴリーに嵌めて、キャッチコピー付けたがります(笑)。

「それはぜんぜんいいんですよ。肩書きを勝手に決めてくれて、それが独り歩きする分には、かまわない。むしろ、ありがとうございます。ミュージカル俳優…ミュージカルでの僕を評価してくださったんですねって気持ちです。自分で自分のことを“何者だ”って言う気がないだけで。俺は俺だ…ですね(笑)」

── 歌も芝居も、松下優也さんという存在を構成するものなんでしょうか。

「僕、なんだかんだ真面目なんだと思います(笑)。どれも好きで、本気で興味を持ってやっているものなので、しっかり学んで、研究して、マスターしたい。その結果、成長し、進化し続けられれば、と。決して、表現のためのツールとして努力するわけじゃなくて、好きだから上手くなりたいんですよね」

── 仕事に役立てるために勉強するのではなく、例えば好きな曲、音楽があって邁進した結果、仕事になっている…と。

「完全にそうです。10代の頃は売れたい、スターになりたいって思っていましたけどね(笑)。今はそういうのは、まったくないかな」

音楽、歌、芝居…すべて影響を受け合って、それがいい効果に

── 松下さんの信念は十二分に理解できたんですが、エンタメの世界…ひとつの道を極めるだけでも難しいのに、どれも高水準ってなかなかできることではないと思うんです。例えば、ミュージカル曲は抜群に上手くても、ロックになると能力が発揮できないとか。

「僕の場合は、どれも真剣にやっているからこそ、音楽、歌、芝居…すべて影響を受け合って、それがいい効果になっている気がしますね。ミュージカルで得た知識、感情を、自分の音楽をやるときに活かすと、音楽だけやっていたら持ち得ないグルーヴ、エモーショナルな感情を音楽に乗せられるわけです。逆も然りで、演じるときに、これは歌うように芝居をすればいいんだ、って閃く瞬間もありますね。いい影響を受け合うためにも“自分はこういう人だ”って決めつけないほうがよくて……一緒にするのはおこがましいと思いますが、大谷翔平選手も、もしかしたらそういうところがあるんじゃないかなって」

── あ~! アメリカ大リーグで通用する二刀流ですもんね。

「ベーブ・ルース以来の、普通ではあり得なかったことですよね。ピッチャー、バッター、2つの才能があっても、プロになるときにはどちらかに絞ることが通常でしたし。けれど、もしかしたら大谷選手もどちらもやっているからよりいい何かがあるんじゃないかなーって、想像したりはしますね」

── 好きなもので溢れていて、それがどれもいい影響を及ぼしあっている…となると完全なるオフタイムとか、ありますか? 仕事関係なく楽しさを追求する趣味、時間とか。

「めっちゃありますよ(笑)。『バイ・バイ・バーディー』が始まる前はジムに通っていたり…って、結局、仕事に繋がってはいるかな(笑)。けれど仕事のために…ばかりじゃないですよ。……トレーディングカードにハマった時期もありましたし(笑)。プライベートはごく普通の生活を楽しんでいます。ただ、表現で思う存分アウトプットするためのインプットは日頃から大事かなぁ。そこはちょっと意識はしていますね」

── 最近インプットしたものはなんですか?

「音楽、映画、ドラマ…は日常的に僕の生活の中にありますね。中でも比較的最近観て、インプットしたなと感じるのは、ちょっと前の作品になりますけど、韓国ドラマの『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』。IUがとにかく素晴らしくて、めちゃくちゃハマりました。IUという歌手としても活躍している女性で…もちろんご存じの方も多いかと思いますけど、こんなポテンシャルの高い人っているんだ!って、ビックりしました。ソロシンガーとして大スターですが、彼女の芝居はアイドルがやっている、っていうレベルじゃないんですよね。普通の女優…いやそれ以上の上手さで。誰と比べてどうって言いたいわけではないんですけど(笑)、IUほどのポテンシャルを持つ人って、そうはいないですよ。日本ならこの人って重ねられる人も、思い当たらないなぁ。先ほど、僕もいろいろ高水準って褒めていただきましたけど、IUには敵わない(笑)」

── 『バイ・バイ・バーディー』の公演中ですが、共演者からもいい影響を?

「長野さん演じるアルバートは、やることが多くて大変だと思うんですけど、見ていてめちゃくちゃ楽しいですね。あと、アンサンブルのみんなが若くてフレッシュで! コンラッドも実はフレッシュなんですよね~。自分自身はフレッシュではないと思うので(笑)、作品やコンラッドからいい影響をもらえたらいいですね」

二刀流どころか、いくつもの刀を持つ松下さん。ご自身の信念を伝えようとする言葉の強さに圧倒されて、男らしい容姿以上に内面の“漢”を見せていただきました。質問を投げれば様々な角度から考え、答えてくれ、その迷いのなさは、確固たる信念の賜物であり、頭の回転も速い!! 多才な彼にはまだまだ世間に見せていない滾る何かが潜んでいるだろうと思いました。数々の才能と技術が影響を受け合いながら進化し、新しい作品、新しい音楽と出会えばさらなる科学反応を起こし、松下優也さんという人はいい意味で完成しないまま、さらなる進化を遂げるのでしょう。

ブロードウェイ・ミュージカル『バイ・バイ・バーディー』

神奈川:2022年10月18日(火)~30日(日) KAAT神奈川芸術劇場 <ホール>
大阪:2022年11月5日(土)~7日(月・祝) 森ノ宮ピロティホール
東京ファイナル公演:2022年11月10日(木) パルテノン多摩 大ホール

原作戯曲:マイケル・スチュワート
音楽:チャールズ・ストラウス
作詞:リー・アダムス
翻訳・訳詞:高橋亜子
演出・振付:TETSUHARU
音楽監督:岩崎廉

[出演]
長野博/霧矢大夢/松下優也/寺西拓人/日髙麻鈴、内海啓貴、敷村珠夕/田中利花、樹里咲穂/今井清隆 ほか

『バイ・バイ・バーディー』公式サイト

撮影/富田一也

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