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福島綾香

【耳活・子どもの性教育】EテレアニメのポッドキャストがSpotifyに!『おとなのためのアイラブみー』で自分を大切にしたくなりました

  • 福島綾香

2022.10.21

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「耳活」を通して、子どもの性教育や自己肯定感を考える

最近流行の「耳活」。LEE読者の皆さまも、忙しい仕事・家事・育児の合間に、取り入れている方が多いですよね。

そしてもうひとつ、昨今取り沙汰されるテーマ「子どもの性教育」。私も4歳男児の母として、長らく頭の隅にあります。

LEEでも過去に特集されたこの2テーマ、そして私自身気になりつつも行動できていなかった(正確には、人気の性教育本は購入したものの、未だ積ん読…)2テーマに、幸いにも同時に取り組めるチャンスが。

『おとなのためのアイラブみー』キービジュアル

Spotify『おとなのためのアイラブみー』毎週火曜日・18時配信

なんと、NHKエデュケーショナルとNHKエンタープライズが新たにポッドキャスト5番組を制作し、Spotifyで独占配信を開始。
その中で、子どもの性教育をテーマにした番組『おとなのためのアイラブみー』が2022年9月20日より配信開始となり、このたび取材の機会をいただきました。

耳活を通し、子どもの性教育、ひいては “自分を大切にすること” を考える、新たなポッドキャスト番組に注目です。

『おとなのためのアイラブみー』ってどんな番組?

ポッドキャスト番組『おとなのためのアイラブみー』の大元となっているのは、NHK・Eテレのアニメーション番組『アイラブみー』

5歳の主人公「みー」が、心や体、命についてのふとした疑問をきっかけに「自分を大切にするってどういこと?」と考え実践していく、子どものための包括的性教育番組です。

『アイラブみー』キービジュアル

ⓒNHK  俳優・満島ひかりさんが全キャラクターの声を演じていることでも話題に

ポッドキャストバージョンは、このテレビ番組『アイラブみー』を担当する子育て真っ最中の女性プロデューサー2名のトークにより、アニメ制作を通じて湧いてきた疑問や性教育に対するモヤモヤへの答えを、専門家と一緒に探っていく本音トークプログラム

例えば「なんでパンツをはいてるんだろう?」の回では、いわゆるプライベートパーツの大切さを、「げじげじが好きってヘン?」の回では、みんな好きなモノが違って良いんだよというメッセージを。

性に限らず人権、多様性など多岐にわたるテーマについて、やさしくユーモラスに伝えてくれます。

『アイラブみー』場面写真1

体のパーツ全てが大切なら、全部にパンツが必要なのでは?と考える「みー」

私も初めての耳活として、実際に聴いてみたところ…「私たち大人の自己肯定感の低さはどうしたらいい?」とか、「赤ちゃんが出てくる穴のこと、いつから知っておくべき?」など、テーマは本当にさまざま。

『アイラブみー』場面写真2

「赤ちゃんが出てくる穴」については、アニメでも「女の人には3つの穴があるのよ」と妊婦さんが教えてくれるシーンが

「子どもに性教育を!」というガチガチの内容ではなく、なかなか友人とリアルに話す話題ではないれけど気になる、育児中に限らずどんな大人も学びになる、そんな内容が詰まっていました。

今回、番組の話し手でもあるNHKエデュケーショナル チーフプロデューサー・藤江千紘さん、プロデューサー・岡崎文さん、そしてSpotify 音声コンテンツ事業統括・西ちえこさんにインタビュー。

テレビ番組・性教育番組の音声化について、リスナーからの反響、今後の展望など、詳しくお話を伺いました。

NHK藤江さん・岡崎さん「ポッドキャストだからこそ語れる大人のモヤモヤを、リスナーと一緒に考えたい」

NHKエデュケーショナル 藤江さん 岡崎さん

(写真左から)NHKエデュケーショナル 藤江千紘さん、岡崎文さん

―『アイラブみー』をSpotifyで音声配信するに至った理由はなんですか?

「私も4歳の息子がおり、家事や育児の合間にポッドキャストをよく聞いていて、音声コンテンツには可能性を感じていました。また、テレビ番組『アイラブみー』の取材を通して、性教育とは突き詰めていくと “自分を大切にすること” なのだと学びました。

Spotifyのリスナーは、仕事や育児に忙しい方も多いのではないかと思います。そんな日々の中で、リスナーのみなさんと一緒に “自分を大切にすること” について考えていきたいと思い、今回『おとなのためのアイラブみー』を制作することになりました。

また、アニメで30以上の登場人物をひとりで演じている、俳優・満島ひかりさんの声の演技がすばらしいんです。テレビ番組の制作過程で『映像がなくても、音声だけで想像力が広がる “聴くアニメ” になるのでは』と感じたことも、音声化にチャレンジしようと決めた理由のひとつです」(藤江さん)

―テレビとは違うポッドキャスト番組だからこそ伝えたい、伝えられる内容は?

「アニメは、未就学児に必要な情報を専門家と絞り込み、子ども向けのエンタメに仕立てていますが、『おとなのためのアイラブみー』は文字通り大人に聞いてほしい内容。

アニメ制作は30~40代の育児中のスタッフが中心ですが『子どもの教育には一生懸命だけど、自分を大切にすることはあまり考えてこなかった』『そもそも自分たちが性教育をきちんと学んできていない』という意見もよく出るんです。アニメでは扱いきれない、こうした大人のモヤモヤを、ポッドキャストでは専門家と一緒にじっくり探っていきたいと思っています。

また、リスナーとの距離が近いことも魅力と感じています。耳活にふさわしい内容をお届けしていきたいですね」(藤江さん)

―現時点での反響、感想があれば教えてください。

「周りでは30~40代女性からの反響が大きいです。『自分は自己肯定感がない』と私たち2人が言い切るところから始まる回に共感できたとか(笑)。自分と重ねて聴けた、自分のことも話したくなる、という声も多くて。

『自己肯定感』や『性教育』についてオープンに語れる場がまだまだ少ないので、ポッドキャストの特性を活かして、好きな時にひとりで聴けるというのも効果的なのかな」(藤江さん)

「テレビは見るけどポッドキャストは初めて、という男性からポジティブな感想をもらったことも。性別・年齢問わず、気づきのきっかけになれたのなら嬉しいです」(岡崎さん)

―今後予定されているテーマ・内容は?

「性教育が専門の先生方はもちろん、心理学や保育学、ジェンダー論の先生なども登場予定です。似たテーマでも、先生が違うと角度が変わって、ストンと腑に落ちたり、考えの幅が広がったりすることも。ぜひ楽しみにしていてください」(岡崎さん)

―最後に、育児中の方も多いLEEweb読者にメッセージをお願いします。

「ポッドキャストは、さまざまな分野の専門家の方と一緒に、大人の疑問や心のモヤモヤの正体を探っていく旅というイメージで制作しています。ぜひ家事育児の合間に、私たちと一緒に旅をしてもらえたら」(藤江さん)

「子どもの性教育がメインではありますが、全ての人付き合いに通じる内容だと思います。ぜひ私たち2人を『会わない友達』と思って聴いてみてください」(岡崎さん)



Spotify 西さん「Eテレの人気アニメを、より多面的に楽しんでもらえたら」

Spotify 西ちえこさん

Spotify 音声コンテンツ事業統括 西ちえこさん

―『おとなのためのアイラブみー』の独占配信に至った背景を教えてください

「教育コンテンツの最高峰であるEテレの人気アニメを、より多面的に楽しんでほしいというのが大きな狙いです。テレビでは語りきれないことや、もっと深い大人の疑問、作り手の生の声は、ポッドキャストだからこそ扱えるのではと思います。

あとは純粋に『アイラブみー』のアニメを家で見たら、4歳の子どもがかぶりついて見ていたんですね。私も、何でパンツを履くのか改めて考えて、子どもとのコミュニケーションにもなって。すごくいい番組だなと感じたのも理由のひとつでした」

―Spotifyとして『おとなのためのアイラブみー』に期待することは?

「Spotifyには元々子育て世代のリスナーも多く、ウェルネス、性教育分野への関心が高いので、新たなコンテンツを届けられたらと。あとは普段Eテレを見ているけれど、音声にはあまりなじみのなかった層にも届いたら嬉しいですね。これまでの放送回のデータを見ると、男性リスナーも多いんですよ」

―耳活を実践している人も多いLEEweb読者に、メッセージをお願いします。

「ながら聞きができるポッドキャストは、忙しいLEE世代にぴったりのコンテンツですよね。朝の支度中、家事の合間、寝かしつけ中…ぜひライフステージに合わせて聴いてみてください」

子どもだけでなく、大人も知っておきたい “自分を大切にする” ということ

『アイラブみー』場面写真3
「子どもに性について教える」「子どもの自己肯定感を高める」ためのコンテンツは多々あれど、「大人も自分を大切にする」ことを教えてくれるコンテンツは案外少ないもの。いずれの気づきも得られる『おとなのためのアイラブみー』は、とても貴重な存在ですよね。

また、私を含め「性教育」に関心はありつつも、なかなか本を読んだり、真剣に考えたりする時間がない方にもうってつけ。まさにLEE世代と同じ「育児中の30~40代女性」である話し手お2人と、専門家のトークをゆるーく聴きながらも、しっかり学びや知識を得られるというのが嬉しいところです。

テレビ番組とリンクしているのも面白く、アニメは子どもと一緒に見て、ポッドキャストは大人がゆっくり聞いて…。相互に楽しみながら、親子で少しずつ「包括的性教育」への理解を深めていけたらいいなと感じました。

私のような耳活デビューの方も、すでにポッドキャストが生活の一部という方も。Spotifyで『おとなのためのアイラブみー』、よろしければぜひ一度聴いてみてください!

今後の放送予定・内容などはこちら!

「アイラブみー」キービジュアル

ⓒNHK

Spotify『おとなのためのアイラブみー』今後の放送予定
※毎週火曜日・18時配信

■10月25日(火)「男子か女子かで話し方、無意識に変えちゃってる?」(専門家:田中俊之さん)

■11月1日(火)「男性用小便器って、プライバシーなさすぎません?」(専門家:田中俊之さん)

■11月8日(火)【聴くアニメ・アイラブみー③】「くすぐられるのが、じつはキライ?」+いっしょに考えてみよう(専門家:北山ひと美さん)

■11月15日(火)「くすぐられるの、好きですか?って聞いたことありますか?」(専門家:北山ひと美さん)

■11月22日(火)「壁ドンって、ときめく?ドン引き?」(専門家:北山ひと美さん)

Spotify『おとなのためのアイラブみー』

NHK・Eテレ アニメ『アイラブみー』今後の放送予定

■10月25日(火)前8:35~8:45「なんでおねしょしちゃうんだろう?」
※10月27日(木)前7:20~7:30(再放送)

■11月15日(火)前8:35~8:45「はやいのがイチバン!…じゃないの?」
※11月17日(木)前7:20~7:30(再放送)

■11月22日(火)前8:35~8:45「みんなのかぞくはどんなかぞく?」
※11月24日(木)前7:20~7:30(再放送)

NHK・Eテレ『アイラブみー』番組サイト

福島綾香 Ayaka Fukushima

ライター

宮城県仙台市出身。夫、息子(2018年9月生まれ)と3人暮らし。これまでフリーペーパー、旅行情報誌などの編集を経験。趣味は食べること、旅行、読書、Jリーグ観戦。

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