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家飲みワインをもっと楽しく

大切な人への贈り物。1万円前後のとっておきワイン3選[家飲みワインをもっと楽しくvol.4]

  • 峰典子

2022.10.02

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大切な人の記念日や、特別なプレゼントに

『ワイン迷子のための家飲みガイド』著者である、ワイン&フード ジャーナリストの安齋喜美子さんに“家飲みワインのコツ”を教えていただく短期連載。vol.1ではワイン初心者におすすめの“基本の4本”をご紹介。vol.2では、平日の食卓にワインを合わせるペアリングのコツを。前回のvol.3では、プチ贅沢な週末に飲みたいワインを教えていただきました。最終回である今回のテーマは「とっておきのワインギフト」。キラリとセンスが光る逸品を安齋さんにご紹介いただきたいと思います。

思い出に残るワインギフト、選ぶコツは?

──特別な贈り物というと、例えば、両親の誕生日や長寿祝いなど節目のお祝い。お世話になった方の退職祝い。大切な友人への結婚祝い。そんな場面では、とっておきのワインを贈りたいところです。

安齋さん「わたしは仕事柄ということもあり、ワインを贈る機会がとても多いのですが、どうしてこの一本を選んだのか、ワインのエピソードを話して差し上げると、とても喜ばれます。今回は実際にギフトとして贈ったことのある3本を選びましたので、それぞれどんな場面でおすすめなのか、エピソードを合わせてご紹介したいと思います」

──ワインをさらっと贈ることができるようになりたいです。ではご紹介、よろしくお願いします。

ヴーヴ・クリコ イエローラベル ブリュット (750ml) /¥8,690

新たな門出を迎える方へ、愛を込めて贈りたい。
ヴーヴ・クリコ イエローラベル

──1本目に選んでいただいたのはシャンパン(シャンパーニュ)ですね。

安齋さん「新たなステージを迎えた人の門出や昇進を祝うときは、100%と言っていいほどシャンパーニュを選んでいます。仏シャンパーニュ地方で生まれるスパークリングワインのことを指すのは皆さんご存知だと思いますが、使用できる品種や熟成期間など、厳しい法律のもと、手間ひまかけて造られています。どれを選んでも失敗は少ないと思います。また、1万円以内で確実に美味しいものが手に入るのも嬉しいポイントです。大切な人に贈るのにはぴったりだと思います」

──ヴーヴ・クリコというと、とても有名なシャンパーニュですが、改めてどんな存在なのでしょうか。

安齋さん「ヴーヴ・クリコの二代目当主夫人マダム・クリコ(1777~1866年)は27歳の若さで未亡人となるのですが、夫への愛を胸にメゾンの指揮を執り、ナポレオンの大陸封鎖令の下、ロシア宮廷にシャンパーニュを売り込んで会社を大きく発展させた人なのです。そんなマダム・クリコの人生に敬意を表して、新しい門出を迎える方にプレゼントすることが多いです。太陽のようなイエローカラーのラベルも明るく前向きな印象でギフト向きですね」

ヴーヴ・クリコ イエローラベル 
生産国/フランス

「「力強さ」「豊かなアロマ」「フレッシュネス」「シルクのようななめらかさ」など4つの特徴をバランスよく兼ね備えた、まさにメゾンを代表するシャンパーニュです。ゴールドがかった黄色で、小さな泡がネックレスのように連なります。最初に黄色や白い果実を思わせる香り、続いてヴァニラ、ブリオッシュの心地よい香りが広がります。口に含むと、ヴーヴ・クリコ イエローラベル特有のさわやかさと力強さが、洋梨やレモンのような果実味が奏でるシンフォニーと共に広がります」(公式資料より抜粋)

フリーマン・ヴィンヤード&ワイナリー 涼風シャルドネ/¥8,140



ホワイトハウスにも選ばれた、日本人女性醸造家の一本。
涼風シャルドネ

──続いては、カリフォルニア「フリーマン・ヴィンヤード&ワイナリー」の白ワイン「涼風シャルドネ」です。

安齋さん「造り手はフリーマン・アキコさん。もともとはニューヨークで美術のお仕事をされていたそうですが、結婚後にカリフォルニアへ移住。2001年にワイナリーオーナーとなりました。注目を集めたのは2015年のこと。ある日突然ホワイトハウスから電話がかかってきて、オバマ大統領の晩餐会でワインが使われることに。日本人醸造家によるワインがホワイトハウスで使われたのは初めてのことで、全米でも注目を集めました」

──涼風シャルドネというネーミングがとても印象的です。

安齋さん「はい。涼風というネーミングの通り、涼やかで心地よい味わいです。晩餐会のあと、カリフォルニアはもちろんのこと、世界中から注目を浴びるようになり、各国の著名なレストランのワインリストに採用されて、スタイリッシュで著名なブランドに成長しました。彗星の如く現れた、日本人女性醸造家が造るニュースター的ワインなので、頑張っている女性への贈り物に最適ではないでしょうか」

涼風シャルドネ
生産国/アメリカ

「「涼風」は太平洋からロシアン・リヴァー・ヴァレーに向けて吹き込む冷たいそよ風に由来します。この風と砂質の土壌無しでは、高品質のシャルドネとピノ・ノワールは育ちません。この「涼風」が周囲の気温を下げ、成熟したブドウをタイムリーに収穫することを可能とします。有核果実やかんきつ類の 香りに加え、バニラやほんのりとした三温糖のような香り。味 わいにはシャキッとした酸があり、果実味よりもミネラル感の方が強く感 じられます」(輸入元サイトより)

 

シャトー・ラグランジュ /¥15,400

中世から続く格式高いワイナリーの味を両親へ
シャトー・ラグランジュ

──義両親やお世話になった上司などへ、品格のあるワインを贈りたい。選び方のコツは。

安齋さん「ワインをギフトに贈るとき、特に目上の方に贈る際には堅実に選ぶことをおすすめしています。例えば然るべき方に和菓子を贈りたい。そんな時に足を運ぶのって、「日本橋三越」や「とらや」のような老舗だったりしますよね。それと同じ感覚でいいと思います。それに匹敵するのがデパートの和洋種売り場。ワインに詳しいスタッフがいろいろ教えてくれますし、ラッピングも美しいです」

──今回はシャトー・ラグランジュを選ばれました。

安齋さん「シャトー・ラグランジュがいいと思ったのも、中世から続く堅実で格式高いワイナリーだからです。1855年にメドック格付け第三級に認定されているのですが、そのレベルでこの価格のワインは、そうそうないんです。現在ではサントリーが所有し改革により品質が安定・向上。目上の方にも安心して贈っていただける一本だと思います

シャトー・ラグランジュ
生産国/フランス
「「ラ・グランジュ」というのは「自立した小さな集落」の意味で、17世紀のワイン地図に、すでにその名が登場。1855年、パリ万博の時に制定されたボルドー・メドックの公式な格付けで「グランクリュ第3級」として格付けされました。アッサンブラージュ(=ブレンド)後、18~20ヶ月間樽熟。美しい果実味と豊かで溶け込んだタンニンがあり、芳醇で長い余韻が感じられる、長期熟成タイプのワインです」(公式サイトより)

 

──四回にわたって、基礎知識からペアリング、おもてなしからギフトまで、さまざまな角度でワインを紹介いただきました。

安齋さん「一つひとつのワイン、ワイナリーに歴史や素敵な物語がいっぱいありますが、全部知ろうとしなくて大丈夫です。まずは、この記事を読んで身構えずにワインを試してもらえたら。1年後には“ワイン通”に進化しているかもしれません。楽しんでくださいね

──ありがとうございます。著書『ワイン迷子のための家飲みガイド』は、年間に約2000種近く試飲するという安齋さんが、実際に家飲みを楽しむ様子を描いたエッセイや、ワイン選びのヒントがたっぷり紹介されています。ぜひ記事と併せてご覧ください。

ワイン迷子のための家飲みガイド

1760円(税込)/集英社
四六判/208ページ

安齋喜美子(あんざいきみこ)
ワイン&フード ジャーナリスト。一般誌やワイン専門誌で料理やワイン、旅、お取り寄せなどを幅広く執筆。国内外のワイナリーや醸造家、レストランの取材も多数。日経電子版『SPIRE(スパイア)』で「家飲みが楽しくなる! お酒に合う絶品お取り寄せグルメ」を連載中。著書に『葡萄酒物語』(小学館)。シャンパーニュ騎士団シュヴァリエ。

お問い合わせ先

・ヴーヴ・クリコ イエローラベル ブリュット
MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社 
https://www.mhdkk.com/brands/veuve_clicquot/

・涼風シャルドネ
WINE TO STYLE株式会社
03-5413-8831

・シャトー・ラグランジュ
0120-139-380 (サントリーお客様センター)

 

●ぜひ、合わせてお読みください!

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『ワイン迷子のための家飲みガイド』をチェック!

峰典子 Noriko Mine

ライター/コピーライター

1984年、神奈川県生まれ。映画や音楽レビュー、企業のブランディングなどを手がける。子どもとの休日は、書店か映画館のインドアコースが定番。フードユニットrakkoとしての活動も。夫、5歳の息子との3人家族。

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