FASHION

飯田りえ

UTを着て平和に願いを。ユニクロのチャリティTシャツプロジェクト「PEACE FOR ALL」に参加を!

  • 飯田りえ

2022.08.06

この記事をクリップする

ニュースを見るたびに、国内外でさまざまな事件が起きて心を痛める日が続いています。その中でも長引くロシアとウクライナの戦争は、動向がずっと気になっています。

と言うのも、今回の戦争が大きく起因して、全世界の難民と国内避難民が初めて1億人を突破したそうです(UNHCR/国連難民高等弁務官事務所発表)。日本の総人口とそう変わらないぐらいの人々が故郷を追われて、日々の日常が奪われているなんて。あまりにも大きな数字に無力感にさいなまれながらも、ただ、胸を痛めているだけではなく、なにか自分にできることはないだろうか…、そう思っていた矢先、ユニクロを展開する株式会社ファーストリテイリングより、平和を願うチャリティTシャツプロジェクト「PEACE  FOR ALL」の発表がありました。

このプロジェクトは「世界の平和を願ってアクションする」という趣旨に賛同した著名人が、ボランティアでデザインしたTシャツをユニクロが制作。そしてTシャツの利益全額(販売金額1,500円の20%相当)が、貧困や差別、暴力や紛争などによって影響を受けた方々を支援している団体に寄付されるというもの。

このプロジェクト賛同メンバーの第一弾が発表され、建築家の安藤忠雄さん、クリエイティブディレクターの佐藤可士和さん、デザイナーのイネス・ド・ラ・フレサンジュさん、小説家の村上春樹さん、医学博士の山中伸弥さん…と、錚々たる顔ぶれが名を連ねていました。そこで、記者発表では取締役の柳井康治さんと安藤忠雄さんが登壇されましたので、その時の様子を少しご紹介します。

安藤忠雄が平和に込めたデザイン “The Earth is One” とは

取締役の柳井康治さんと安藤忠雄さんのトークセッションの中で、安藤さんが今回のプロジェクトに賛同した理由をこうお話しされていました。

「地球上で困っている人たちが大勢います。同じ地球上で共に生きている人として、気持ちだけでもサポートしたいと思い参加しました。僕は20代の頃にシベリア鉄道に乗ってヨーロッパを回り、アフリカからアジアまで、10ヶ月以上かけてまわってきました。その時に「地球はひとつなんだ」ということを実感し、それと共に『地球の中で生きていきたい、それには平和が一番だ』ということを深く思ったのです」

今回のTシャツのコピーにある”The Earth is One”というのは、安藤さんの根底にあるひとつの想いだったのです。そして、大きく胸元に描かれているのは、昨年パリで設計された美術館「ブルス・ドゥ・コメルス」のデッサン画です。

パリにある歴史的建造物を、現代アート美術館として安藤忠雄さんの設計で蘇らせた話題の建物です。そのデッサンを今回のTシャツのデザインとして採用した理由は、どこにあったのでしょう。

「世界を旅をしていた時、最初にローマでパンテオンを見に行きました。43mの円形で、その上に8mの穴が空いている。それを見た時に『自然と一体になってぼくらは生きているんだ』と思ったのです。パリの歴史的建造物を再利用して作った今回の作品も、円形の中にもう一つの円を作りました。『ここで人々が元気に生きている』というメッセージを込めたのです。そこで、今回のお話があったとき『平和』という最も重要で、そして抽象的な概念をデザインする時には、原点から物事を考えるようにしています。円形というのはギリシャ時代から続いている大切な原点なので、平和を表現するのに良いと思い採用しました」

最後に、大きなテーマを実現するための具体的なアクションについて語られました。

「1997年に京都議定書ができた時に『地球と共に生きている』といこうとを、改めて強く感じました。全大陸の中で生きている人たちが、温暖化に対してそれぞれができることをみんなが考えて行動していかないと、平和な社会にはなりません。80億の人口がいるのだから。命の大切さを一人ひとりが考えないといけない。そして、誇りをもって、地球の中で生きていきたいと思っています」

世界は広い、でも地球は一つである。世界中にありとあらゆる建築で表現してこられた安藤さんだからこそのデザインなんだ、ということがよく伝わるコメントでした。そのほかの賛同者の方々の想いはUTの特設サイトに掲載されています。

寄付される3団体より、PEACE FOR ALLに期待すること

今回の寄付金はUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)、セーブ・ザ・チルドレン(公益社団法人Save the Children)、プラン・インターナショナルに寄付されるとのこと。今回のPEACE FOR ALLの取り組みについて、期待されていることもそれぞれ、お話されていたので少しご紹介します。

「(難民が1億人を越えたと聞いて)あまりにも大きな数字でピンとこないかもしれないですが、この一人ひとりにストーリーがありニーズがあります。ウクライナのことで難民問題について関心も高まっていますが、これまで接点がなかった人、関心がなかった人にもぜひ考えるきっかけになってほしいです。また、ほかの難民問題にも関心を持っていただけたらと思います。(UNHCR/日本首席副代表 ナッケン鯉都さん)」

「活動を始めた100年前から紛争や貧困、差別や暴力の状況はあまり変わっていません。子どもの権利を守る社会をつくるためには、みなさんの一人ひとりの力をお借りすることが一番大切です。より多くの方に世界中の子どもたちの置かれている状況を知っていただき、改善されることを願っております(セーブ・ザ・チルドレン/事務局長 高井明子さん」

「世界の困難な状況が続いている中で、より一層、平和について考える日常になっています。実際にTシャツを来て、周囲の人に平和について話すきっかけにしていただき、世界中で広げていくことが大切だと思います。民間、国連、NGOの立場を越えて、継続して取り組んでいきたい活動です(プラン・インターナショナル/代表理事 棚田雄一さん)」

ユニクロ チャリティTシャツ画像

自分は直接支援に行くことはできないけれど、最前線で支援している方々をこうした取り組みに参加することで応援し、活動の輪を広げていく。そういう意味でも、UTはとてもエントリーしやすいですよね。第二弾も発表され、ますます広がりを見せています。

ユニクロ 難民救済 チャリティTシャツ

上段/左からジョナサン・アンダーソンさん、レイ・イナモトさん、河村康輔さん、国枝慎吾さん、アダム・スコットさん、下段/左からハナ・タジマさん、錦織圭さん、平野歩夢さん、ゴードン・リードさん、クリストフ・ルメールさん

今後もPEACE FOR ALLの活動は継続的に取り組まれる予定ので、こちらもお楽しみに。

UT「PEACE FOR ALL」特設サイト

飯田りえ Rie Iida

ライター

1978年、兵庫県生まれ。女性誌&MOOK編集者を経て上京後、フリーランスに。雑誌・WEBなどで子育てや教育、食や旅などのテーマを中心に編執筆を手がける。「幼少期はとことん家族で遊ぶ!」を信条に、夫とボーイズ2人とアクティブに過ごす日々。

LEE公式SNSをフォローする

閉じる

閉じる