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峰典子

いつもの平日ごはんをワインでアップデート!【家飲みワインをもっと楽しくvol.2 】

  • 峰典子

2022.06.29

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平日の家飲みこそ、ワインが嬉しい楽しい!

『ワイン迷子のための家飲みガイド』著者である、ワイン&フード ジャーナリストの安齋喜美子さんに“家飲みワインのコツ”を教えていただく短期連載。前回のvol.1では、ワイン初心者におすすめ、かつ、入手しやすい4本をご紹介していただきました。今回のテーマは、いつもの家ごはんにワインを合わせること。リッチな食材や煮込み料理なんかが登場するわけではなく、あくまでもドタバタしながらつくって(ときには買って)食べる、そんな平日の食事にワインを合わせてみよう。それがコンセプトです。安齋さんのアドバイスに基づいて、わたしが自宅で実践してみたリアルなペアリングをご紹介したいと思います。

普段の食事+ワイン一杯で、気分の上がる食卓に

今回、安齋さんが選んだ3本は、左から『ルバイヤート甲州シュール・リー 辛口』(2,035円)『ムートン・カデ・ロゼ』(1,815円)『セグラヴューダス ブルート レゼルバ』(1,508円)※全て2022年6月時点の参考価格

──わたしが安齋さんの書籍『ワイン迷子のための家飲みガイド』で、これは! と思ったフレーズがいくつかあるのですが、そのひとつが「元気がない日は泡を開けるに限る」というもの。どうしてもスパーリングは他所行き感が否めなくて、平日に泡をひとりで開けてしまう?  いやいや、現実的じゃないでしょう、って最初は思っていたんです。でも、一度試してみたら高揚感も味わえるし、なんだか楽しくて。

安齋さん「わたしは平日のスパークリングって、元気になる薬のような存在だと思っています。というのも平日って休日以上にいろいろなことがありますよね。仕事で心が折れることもある。そんな時にこそ手にとって欲しいんです。わかりやすいペアリングのコツは、普段ビールに合わせているメニューとペアリングしてみること。口の中の油を切ってくれるので、中華や天ぷらにとっても合いますよ

平日夜のドタバタゆえ焦げてしまっていますが、そんなこともチャラにしてくれるカバの美味しさです!

スパークリング×中華
セグラヴューダス ブルート レゼルバ

──平日の気分を上げるスパークリングとしてセレクトいただいたのが <セグラヴューダス ブルート レゼルバ>。これはスペインのカバですね。

安齋さん「カバは普段使いにおすすめです。というのも、瓶内二次発酵という伝統製法で造られているのに、リーズナブルで高品質な味わいを楽しめるから。この <セグラヴューダス ブルート レゼルバ> はスペイン王室の結婚昼餐会にも選ばれた一本です」

──わたしはシンプルな餃子に合わせてみましたが、程よい辛口で苦味がかっているのでベストマッチ。餃子にはぜったいビール! という人にも気軽に楽しんでもらえるペアリングだと感じました。

安齋さん「魚介や醤油などにもよく合うので、和食と一緒にも楽しめます。<セグラヴューダス ブルート レゼルバ>は、スーパーなどでも見かけますし、千円台とお求めしやすい価格。冷蔵庫に一本いれておくと便利です」

セグラヴューダス ブルート レゼルバ
生産国/スペイン

セグラヴューダスは、伝統的製法によって心を込めたカバ造りを行っています。ブドウはすべて手摘みで収穫され、ブドウが傷むことでフレッシュさを失うことが無いように容量25Kgの小箱に入れて運ばれます。 複雑な味わいは、ワインが長い間酵母と接触する事により生まれ、瓶詰めする前のベースワインの段階で3カ月間、二次醗酵後では最低15カ月以上熟成されています」(公式サイトより)

泡を開けても一気に飲めないから、と心配されている方。きっといらっしゃいますよね。しっかり栓をすれば2,3日はシュワシュワ感も残りましたし、スパークリング専用栓を使えばさらに安心です(大きめスーパーなら、ワインと一緒に並んでいると思います)。泡が弱くなった3日目には、カットフルーツにカバを注ぐだけの「大人のフルーツポンチ」にしてみました。こっそりいただく夜中のデザートとしてハマりそうな予感。



ロゼ×エスニック
ムートン・カデ・ロゼ

──今回 <ムートン・カデ・ロゼ> をいただいて、どうして今までロゼをもっと飲んでこなかったのだろうと思いました。写真に載せたエスニックだけでなく、醤油味やソース味、スイーツ…… 想像以上にいろいろな食事に合うのに驚いて。

安齋さん「ロゼは白ワインのフレッシュさと赤のタンニンのニュアンスがあって、いいとこ取りです。どんな料理にも合う懐の広さがいいなぁと私は思っていますし、ワイン業界としても見直されてきています。あと、単純に可愛らしい色合いに気分が上がりませんか?   <ムートン・カデ・ロゼ> は、シャトー・ムートン・ロスチャイルドを手がけるバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社が造るカジュアルワインです」(安齋さん)

──わたしが合わせてみたのはタイ料理のヤムウンセン。春雨ときゅうり、セロリ、パクチーにナンプラーとレモン、砂糖をざっくりと和えたものです。タイ料理独特の甘酸っぱさとロゼがよく合うので、読者の方にもぜひ試してほしいペアリングでした。安齋さんは書籍の中で、休日ランチに焼きそばとロゼを合わせると書いていらっしゃいましたね。(『ワイン迷子のための家飲みガイド』P164「何にでも合うロゼワイン」参照)

安齋さん「はい。焼きそば×ロゼは自宅で簡単に楽しめる組み合わせです外食でしたら点心やエビチリ、オイスターソースを使った料理のときにロゼを選んでみてください。<ムートン・カデ・ロゼは、スパイシーな香りを含むのでエスニック料理にぴったりですし、鯖寿司や青魚のお造りなどくせのある食材にも合う家飲みの定番として、知っておくと便利なワインです

ムートン・カデ・ロゼ
生産国/フランス

「メドック格付け第一級シャトーを所有するバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドが、よりカジュアルにワインを楽しんでもらうために造る、ムートン・カデ・シリーズ。こちらは、漫画『マリアージュ~神の雫 最終章~』でも紹介された辛口ロゼワイン。食事との相性が良く、前菜からエスニックまで幅広いお料理と愉しめます」(公式サイトより)

こちらはムートン・カデ・ロゼ×ヤムウンセンをいただいた翌日。安齋さんから「ロゼはベリーの香りがあるので、ベリーをつかったケーキとの相性良し」と聞いて。口いっぱいに苺の香りが広がって、セロトニンが分泌されるよう〜!幸せになれるペアリングです。

白ワイン×和食
ルバイヤート 甲州 シュール・リー

──一番出番が多くなりそう、と感じたのが <ルバイヤート 甲州 シュール・リー>です。国産ワインだからなのか、やはり和食にとても合いますね。

安齋さん「甲州種がもつミネラル感が、どことなく日本酒のようですよね。<ルバイヤート 甲州 シュール・リー> の造り手は日本ワインの重鎮・大村春夫さん。甲州種の質を向上させるべく、日本ワインを牽引してこられた方です。うまみを抽出する製法でつくられているので、それもまた和食や魚介に合うのだと思います」

──刺身の繊細な味わいを邪魔しないワインだな、と感じました。次はお出汁をつかったお料理やお寿司に合わせていただいてみたいです。安齋さんは「イカとタコのお刺身+塩レモン」に <ルバイヤート 甲州 シュール・リー> を組み合わせたら感動だったとか。

安齋さん「はい。清潔感のある味が本当によく合います。そのほかにも焼き鳥(塩)との相性は抜群だと思います。“甲州種=和食”と覚えれば簡単です。また、ワインラベルを読む、選ぶのが苦手な方でしたら、日本ワインのラベルは日本語ですから、まずは日本ワインをいろいろ楽しむのもよいと思います」

ルバイヤート 甲州 シュール・リー
生産国/日本

「「Sur Lie・シュール・リー」はフランス語で”澱の上”という意味の製法、瓶詰直前まで澱引きせずにワインを澱と共に熟成させます。勝沼町内の甲州種から造ったこのワインは酵母由来の風味や旨味などシュール・リーの特徴が表現された清々しい味わいの辛口ワインです。和食全般に合わせやすく特に魚介料理との相性は抜群です」(公式サイトより)

この日はもも肉の塩ねぎまとポテトサラダに合わせて。合わないものはないのでは、と思うほど和食との相性がばつぐんです。

──最後におまけとしてご紹介したいのが、前回ご紹介いただいたピノ・ノワールと干瓢巻きのペアリング。安齋さんが有名寿司店のご主人に教えてもらった組み合わせだと、書籍でお話されています。これもまた想像を超えてマッチしたのでびっくりしました。そのままいただくより海苔の香りを強く感じる気がします。

安齋さん「ピノ・ノワール種にはヨード(海藻の成分)の香りがするので、海苔との相性が良いのだと思います。さらには甘辛い干瓢とよく合いますよね。わたし自身、驚かされたペアリングです」

──ありがとうございました。次回のvol.3では「もてなすワイン」をテーマに、いつもより少しだけ奮発したい時、おもてなしやお祝いの席におすすめのワインをご紹介します。お楽しみに! 安齋さんの著書『ワイン迷子のための家飲みガイド』では、ワインの基礎知識にはじまり、季節や品種に応じたペアリング、安齋さんが普段どのように家飲みを楽しんいるのかご紹介しています。ぜひ記事と併せてご覧ください。

ワイン迷子のための家飲みガイド

1760円(税込)/集英社
四六判/208ページ

安齋喜美子(あんざいきみこ)
ワイン&フード ジャーナリスト。一般誌やワイン専門誌で料理やワイン、旅、お取り寄せなどを幅広く執筆。国内外のワイナリーや醸造家、レストランの取材も多数。日経電子版『SPIRE(スパイア)』で「家飲みが楽しくなる! お酒に合う絶品お取り寄せグルメ」を連載中。著書に『葡萄酒物語』(小学館)。シャンパーニュ騎士団シュヴァリエ。

 

お問い合わせ先

・セグラヴューダス ブルート レゼルバ
三菱食品(株)
お客様相談室 0120-561-789
https://seguraviudas.com/ja/
https://item.rakuten.co.jp/j-craft/309588/(m-マルシェ/楽天)

ムートン・カデ・ロゼ
エノテカ株式会社
(フリーダイヤル)0120-81-3634
https://www.enoteca.co.jp/ 

 ルバイヤート 甲州 シュール・リー
丸藤葡萄酒工業(株)

https://www.rubaiyat.jp

●ぜひ、合わせてお読みください!

「家飲みワインをもっと楽しく」vol.1 “ワイン迷子”を卒業するには【安齋喜美子さんに聞く】

『ワイン迷子のための家飲みガイド』をチェック!

峰典子 Noriko Mine

ライター/コピーライター

1984年、神奈川県生まれ。映画や音楽レビュー、企業のブランディングなどを手がける。子どもとの休日は、書店か映画館のインドアコースが定番。フードユニットrakkoとしての活動も。夫、5歳の息子との3人家族。

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