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上紙夏花

小学校受験&中学校受験のダブル受験を終えて思うこと【公立出身ママの受験体験期】

  • 上紙夏花

2022.03.27

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やっと終わった!次男の小学校受験と長男の中学校受験

長男の勉強机。LEEwebでアクタスに選びに行ったあの頃がなつかしい! iPadでYouTube先生にも大変お世話になりました。時代ですね。

 

我が家は今年度、息子たちが2人とも「受験」を経験しました。「いつかこんな日が来るのかしら?」と次男の出産予定日がわかったときに自覚した、6学年の差。そのとき、なんとなく頭に思い浮かべたダブル受験が、ダーッと押し寄せてきて私の前を通り過ぎました。一瞬の出来事のようでいて、長い闘いだったような気もする体験です。周りの友人から「受験、どうだった?」と聞かれることが多いので、個人の一例ではありますが、書いてみようと思います。

 

私自身は母子家庭に育ち、保育園から、小・中・高とすべて公立で過ごしました。大学へは進学しておらず、大人になってから中国語を学ぶために台湾と中国の大学へ短期留学しただけです。ですから、小学校はもとより、中学受験とは無縁でまったく知らない世界でした。一方、夫は、公立の小学校から、私立中学を受験し、大学へ進学しました。何十年も前から、「小学校で習うことだけでは、中学受験はできない」ということが常識だということも、私は2年前に知りました。

 

東京23区の私立中学への進学率は23.9%!

 

2021年に発表された、東京都教育委員会の令和3年度公立学校統計調査報告書によると、東京23区の私立中学への進学率は23.9%とのこと。これは4、5人に1人が私立中学に進学しているという計算になります。長男の通っていた塾の先生が言うには、「コロナ禍で受験する人が増えた」とのこと。休校になったときのオンライン授業など、学びを止めない対応が私立の方が早かったなどという意見もあるのだとか。

 

我が家は、どんな経緯で受験をすることになったのかと言いますと……。長男本人の希望からでした。

「やっぱり、受験したい!」

この時点で、5年生の夏。ちょっと遅いスタートではありますが、長男の希望なので、できる限りがんばってみようということになりました。一般的には新4年生のクラスが始まる、3年生の3学期に入塾する子が多いようです。それまでに基礎固めをして、4年生から通って、ひと通りの受験対策をし、5年生で復習をしながら定着させるんですね。6年生では実際の入試問題を解いたり、応用問題に取り組むという流れのようです。

 

長男が通う公立小学校は、比較的受験率が高いといわれる学校でした。のんびりした性格で、競争が苦手な長男。それまでは、詩の朗読暗唱をしたり、頭の体操のような算数を習ったりする、学習塾へ通っていました。その塾は、貴重な古い本がたくさんあって、自由に借りられるし、学ぶことが好きになれるような素敵な場所です。長男の心のよりどころとなっていたので、本当にそこをお休みして進学塾に通えるのかどうか……私が不安でした。

 

それでも、進学塾に行き始めてみれば、意外と楽しそうにがんばっている様子で、クラスも上がったりして、順調だなと思っていました。しかし、6年生に入ってから、どうもエンジンがかかっていない様子で、成績も伸び悩むことに。私は何度も「受験、もうやめない?」と言いかけては飲み込むという日々は続きました。

 

「夏休みでどこまで伸びるかが勝負です!」と、塾の保護者会で先生からいわれていた頃には、次男の塾も総仕上げの段階。長男は自分でがんばってもらうしかない!と信じるしかありません。夏休み前に教科書を取りに行ったら、大人がひとりで持ち帰るのも大変なほどの分厚いものを何冊も渡され、私がやるわけじゃないのに、気が遠くなりそうでした。

 

夏期講習の授業料に目が回る!?

 

ドラマにもなった『二月の勝者』の中にも出てきましたが、受験は「親の課金ゲーム」なんて揶揄されることもありますね。夏期講習代が本当に大変でした。次男の小学校受験の塾の夏期講習が高かった(泣)!長男の塾の2倍の金額でした。ちなみに、ふたりとも個別指導ではなく、集団指導でした。

 

なぜ小学校受験の塾の方が高いのか……これは私なりの解釈ですが、保育園の5歳児よりも0歳児の保育料が高いのと同じで、「子どもの数に対する大人の人数」の関係で小学校受験の塾が高くなってしまうのではないかと思いました。中学受験する子どもの人数の方が多いですし、一度にたくさん教えられるので、少し費用が抑えられるのかなと。

 

あとは、小学校受験の方が試験の内容が学校ごとに傾向がはっきりしているため、夏期講習に「○○小学校コース」というようなオプションクラスがあったりするのも、関係すると感じました。「行動観察」、「絵画」、「体操」など、オプションをつければつけるほど、高くなってきますよね。「我が家はダブル受験だから」とある意味冷静に、次男の夏期講習のメニューを決めることができました。長男の受験と重なっていなければ、もしかしたら周りの雰囲気に流されて、もっと授業を増やしていたかも……とも思います。

 



小学校受験と中学受験って、どっちがいいの?

次男が塾で作った、虫の工作。作品自体も評価の対象ですが、道具の使い方や後始末の方も見られているとのことでした。

 

同時期に小学校受験と中学受験を経験してみて、私から見たそれぞれの特徴を書いてみます。まず、小学校受験は「親の受験」といわれるように、親が無関心ではまったく成立しません。まず、親が試験の内容を理解し、子どもと一緒に毎日少しずつ取り組む必要がありました。

 

でも、私が大きく誤解していたことは、取り組む内容が、いわゆる「勉強」ではなかったということです。ペーパーと呼ばれる筆記試験では、文字の読み書き、計算をするというようなことはほとんどありません。たとえば、自然豊かな場所で、大家族でおじいちゃんおばあちゃんと住んでいたら、知っているような、四季の行事やお花、配膳などの常識、物の浮き沈みなどの理科的な知識などです。数の問題は出てくるのですが、私たち大人がサイコロの目をパッと見て、数がいくつだとわかるように、数を見た目でとらえるような練習です。次男と一緒に毎日取り組んだ時間が、大変ながらもかけがえのない思い出となりました。

 

次男が自宅学習していた問題集。「なかまを線で結びましょう」という問題。古風なまな板がわかりにくかったようです。

 

面接の練習では、名前や年齢、自分の身の回りのことをはっきりと話すという、人としてとても基本的なことでした。この面接では、父である主人が大変苦労することとなりました。普段、ひと前で話す機会が多い仕事だし、緊張はしないはずなのに、次男のことを聞かれるといきなり固まるという不思議現象が起きました(笑)。塾の先生の特訓のおかげで、本番では大丈夫でしたけれど。

 

面接の準備をしていて気がついたのですが、家庭での教育方針や子どもの性格など、普段なんとなくは考えてはいても、他人に説明するということって少ないですよね。改めて家族で話し合ういいきっかけになりました。

 

一方、中学受験は当日のペーパーテストの本人の実力のみでの勝負です。とてもシビアではありますが、逆にフェアだなとも感じます。高校受験の話を聞くと、とくに男の子のママたちは「内申点」の話をします。中学受験でも都立など一部の学校では、内申点が関わってきますが、ほとんどは試験当日の点数のみで評価されます。

 

何を言いたいかというと、高校受験では、中学校時代の成績はもちろんのこと、提出物を期限内に出すこと、忘れ物をしないこと、遅刻や欠席がないこと、学校にどれだけ貢献したか…というような生活態度が評価の対象になるということです。

 

忘れ物が多い長男は、忘れ物をしない工夫を一緒に考えて山ほど試してきたのですが、それでもなかなか減らせない。わざとではないのに、忘れてしまうので、そういったことが内申点として出てきてしまうだろうなと。つまり、高校受験で当日のいくら点数がよくても、内申点が取れていなければ合格できないんですね。それを考えると、中学受験をした選択は、長男にとってよかったように思います。

 

小学校受験と中学受験、どっちがいいかということは何をもって判断するのか……それぞれ子どもの性格によっても違うと思います。「どこの学校に行くのかよりも、そこで何を学ぶか」「偏差値で評価されたくないよね」「最後まで諦めない」これは、受験期間中に長男が言った言葉です。これを聞けただけでも価値があったと思います。小学校や中学校で人生が決まったりはしないけれど、どんな環境に身を置くのかということは、多少なりとも今後進む道に影響するのでしょうね。

 

家族の絆が深まった

 

父からの手紙。読み終えた長男の目は、少しうるんでいました。

 

次男の受験は私が担当し、長男の受験は主人が担当すると大まかに決めていました。主人は自身が中学受験の経験があり、そのときに算数と理科に苦手意識を残したままにしてしまったことを思い出したそうです。今回の長男の受験をきっかけに、わからなかったところを一緒にやり直して「算数と理科と仲直りできた!」と言っていました。

 

なかなかエンジンがかかりませんでしたが、最後の三週間は、主人も仕事を調整しつつ、長男と朝から晩まで勉強していました。こんなにも一緒にいる時間って、今後ないのでは⁉︎ と思うほど。入試がスタートした2月1日の朝、主人が長男に手紙を渡していました。父から長男への「お礼の言葉」が綴られていました。「一緒に勉強できて楽しかった。ありがとう。将来、君に子どもができたら、ぜひ一緒に勉強してあげてほしい。きっと君の方がお父さんよりも上手に教えてあげられると思う」と。

 

長男は、2月1日から6日までの間に5校8回の入試に挑戦しました。志望校を絞り切れなかったのは、コロナの影響で学校説明会がオンラインだったり、文化祭を見学できなかったり……ということが影響しました。あとは、挑戦する気持ちで5校受けることに。これまでスポーツもあまりしてこなかったので、長男にとってこの受験は、はじめての大きな壁だったと思います。メンタルの浮き沈みもある中で、自分をコントロールして、最後まで諦めずに挑戦するということを経験しました。本人も親の私たちも、中学受験をしてよかったと思うのはここです。

 

塾の後輩たちへのメッセージ。「自信をもって」「最後まであきらめないで」と、それぞれみんな言ってもらってうれしかった言葉なのでしょうね。

 

第一志望には合格できませんでしたが、家から比較的近く、念願の映画部のある学校に入学が決まり、とてもワクワクしています。子どもたちが毎日コツコツがんばる姿を見て、勉強っていいものだなと改めて感じました。公立の小・中・高しか出ていない私ですが、大人になってから始めた中国語の試験勉強を、またしっかりやり直そうと気合いが入りました! 勉強は裏切らない! 今回の受験を通して、子どもたちからたくさんのことを学びました。私もがんばります!

 

 

上紙夏花 Natsuka Uegami

ライター/ビューティープランナー

1977年、大阪府生まれ。吉本新喜劇の女優を経て、ライターに。現在は化粧品の商品開発やPRを手掛けるほか、ベビーマッサージ講師としても活動している。夫・息子9歳、3歳

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