病気ってわけではないけれど、疲労や不安感など体も心もどこかしら本調子じゃない……。
そんな人は、女性にとって大事な栄養素「鉄」が足りていない可能性大！
鉄不足を予防・解消し、毎日の元気を取り戻すコツを、貧血外来の医師が指南します。

この記事は2021年10月7日発売LEE11月号の再掲載です。

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これってプレ更年期？コロナうつ？
こんな症状の30～40代、増えてます！

慢性的なダルさや不安感、イライラなどを感じたときは、プレ更年期やコロナうつを疑う人も最近多いけれど、実はそれ、鉄不足からきていることも多いんです！
あなたにもこんな症状の覚え、ありませんか？

●ささいなことで不安になったり落ち着かなかったり……

●ちょっとしたきっかけでイライラが止まらない

●もの忘れがひどい

●肌荒れ、髪のパサつき、口内炎も……！

●やることはいっぱいあるのにダルくて体が動かない

すべて「鉄不足」が原因の可能性が！
私って鉄不足？ 簡単セルフチェック法

以下の2つに思い当たる人は、体に鉄が足りていない可能性あり。正確なことは血液検査をしないとわからないけれど、ひとまずの目安に、まずはチェック！

鉄不足だと爪の中心がへこみ、先が反る「スプーンネイル」になることも。

経血とともに鉄が体の外へ流出。経血量が多い人は、鉄の流出量も多い。

数字でわかる！血液検査はこの項目をCheck！

ヘモグロビン値以外の検査項目は、受診する医療機関ごとにバラつきが。ヘモグロビン値を含め、どれか1つでも基準値を下回っていたら、「鉄不足予備軍」と心得て。

＜ヘモグロビン＞
赤血球の成分で酸素を全身に運ぶ。12.0g/dL未満だと鉄欠乏。

＜MCV＞
赤血球の大きさを示す。80～100flが正常で、それ以下は鉄欠乏。

＜フェリチン＞
体に貯蔵されている鉄を表す。12ng/mL以下だと、鉄欠乏の傾向。

＜血清鉄＞
体の中で運搬中の鉄量を知る指標。基準値は40～180㎍/dL。

貧血外来の医師に聞きました
30代、40代が鉄不足になりがちなワケ

鉄不足を解消するだけで 慢性的な調子の悪さや疲れやすさから解放されることも。まずは自分の生活や体調を振り返ってみましょう。

教えてくれたのは…
ナビタスクリニック新宿 院長 濱木珠恵さん

専門は内科、血液内科。同院で貧血外来を担当。自身も貧血だった経験を診療に生かし、女性の健康をサポート。メディア出演も多数。

出産に育児…30代は鉄不足要注意世代！

「女性は鉄不足になりやすい」というのは、よく聞く話。でもLEE世代は、女性のライフステージの中でも、特に鉄不足に気をつけるべき世代なのだそう。

「鉄とは鉄分のことで、血液や筋肉など体中のあらゆる細胞を作るのに必要な成分であり、鉄がないと体は機能しません。そのため、鉄不足になると体のあちこちに支障が出ます。
また体調がすぐれないことへの不安から、落ち込みやイライラ、うつといった精神的な症状をも引き起こしてしまいます。
成人女性で鉄不足による貧血症状がある人は5人に1人、さらに明らかな鉄不足になる“手前”の人まで含めると、2人に1人ともいわれます。中でも30代は、妊娠・出産・育児など、鉄不足になりやすい要素が揃っている時期なのです。
不調を、ただの年齢による衰えや、忙しさによる疲れ、コロナ禍で日常が変化したことによるストレスだと思っていたものが、鉄不足を解消することで思いのほか元気になるケースも多いもの。
『こんなものだろう』とスルーせず、鉄不足解消のケアで、快適で充実した日々を取り戻しましょう」（ナビタスクリニック新宿 院長 濱木珠恵さん）

30代、40代の鉄不足を招く【3つの要因】

１．毎月の生理による出血

経血とともに体内の鉄は外へ流出。出ていく鉄の量に見合った分を補充できないと、慢性的な鉄不足に。

２．妊娠・出産で体内の鉄は空に

妊娠中は鉄剤を処方されていた人も、産後はケアできていない場合も。産後うつの原因のひとつは鉄不足とも。

３．忙しさで食事が適当になりがち

子どもの世話が中心の生活で、自分の食事に気が回らないことも。食事で十分な鉄を補充するのが難しく。

体内の鉄が不足すると心身に症状が！

鉄不足で起こる【体の症状】

□ 何をするにもダルい、疲れる
□ 階段や坂道で息切れする
□ めまいでグルグルすることがある
□ 顔色が悪く、爪の形がおかしい
□ 髪が抜けたりやせたりしている
□ 肌が荒れている

鉄不足で起こる【心の症状】

□ 疲労感があってやる気が起きない
□ いつも気持ちがソワソワ落ち着かない
□ 小さなことが気になったり不安になる
□ 気持ちが落ち込みやすい
□ すぐにイライラしてしまう

「鉄不足以外」が原因の場合も
PMSや冷え、「鉄不足」と症状が似ている他の原因もチェック！

「鉄不足」と症状が似ていても、他が原因の場合もあるので注意！あわせて確認してみて。

【起立性低血圧】
脳に十分な酸素が行かない「脳貧血」

立ちっぱなしのときや急に立った際、脳に十分な酸素が行かず、めまいなどを引き起こす。筋力不足で、血液ポンプがうまく働かないのが原因。

【PMS】
生理の前に表れる症状のひとつ

イライラや倦怠感などの症状が、毎回生理前の一時期であるなら、PMS（月経前症候群）の可能性大。症状が重ければ、婦人科等に相談を。

【冷え】
自律神経が乱れて血行不良に

自律神経のバランスが乱れ、血管が収縮しっぱなしになることで血流が悪化。肌荒れや顔色の悪さなどに表れる。白湯を飲むなどの冷え対策を。

【甲状腺機能低下症】
甲状腺ホルモンの分泌異常による病気

疲れやすさや皮膚の乾燥のほか、やる気の低下などの症状も。甲状腺機能低下の場合は、甲状腺ホルモンを補充する薬の服用などで治療する。

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イラストレーション／meppelstatt　取材・原文／遊佐信子
この記事は2021年10月7日発売LEE11月号『あなたがすぐ疲れるのは「鉄不足」のせいかも』の再掲載です。
※商品価格は消費税込みの総額表示（2021年10/7発売LEE11月号現在）です。