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松崎のり子

今年から専業主婦も加入できるiDeCo(イデコ)って?

  • 松崎のり子

2017.01.09

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2017年のお金のトピックスとして最も注目度が高いのは、iDeCo(イデコ)=個人型確定拠出年金。専業主婦を含めたほぼすべての人が、この制度に加入できることになりました。

iDeCoは、自分で掛け金を出して将来の老後資金を作る制度。さらに、銀行などに積み立てるのとは異なり、いろいろな「おトク」が利用できます。裏を返せば、「公的な年金だけでは皆さんの老後資金が足りそうにないので、自分で準備してください。その分、便宜を図りますからね」という国の事情があるのです。自分でも老後に備えてほしい、というメッセージだと思えば、iDeCoの事をしっかり知っておかないといけない気持ちになりますよね。

まずは制度の輪郭から。専業主婦やパート主婦は、5000円以上1000円単位で月2万3000円まで(年間27万6000円まで)の掛け金を出すことができます。会社員の人は、勤め先に企業年金がない場合は月2万3000円、企業年金(確定給付型など)がある場合は月1万2000円、企業型確定拠出年金のみがある場合は月2万円までとなります。そのお金を毎月運用し、60歳になったら引き出すことが可能です(途中での引き出しはできません)。普通の積み立てより有利な点は、税制上の優遇があること。ますは、掛け金が所得控除の対象となり、その分、税金が安くなります(所得控除って?については「税金が戻る」という制度を使う前にやっておくべきこと)。

次に、掛け金を運用して出た利益には税金がかかりません。通常、預金の利子などには税金がかかりますが、iDeCoを使うと非課税になるのです。将来受け取る時にも、税制上の優遇が使えます。積み立て中も受け取る時も税金が安くなったりゼロになったりするため、「老後資金を作るための最強の方法」と言われるのです。

 

とはいえ、慌てなくても大丈夫

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iDeCoについて書かれた国民年金基金連合会のサイト。

 

ただし、注意点もいろいろ。まず、iDeCoを利用するには、自分で金融機関を選んで、そこに専用の口座を開く必要があります。さらに、掛け金を運用する金融商品選びも自分で行います。運用成績次第で受けとれる金額が増減することになり、投資信託などもラインナップに入っているため、これまで投資の経験がないと戸惑ってしまうかもしれませんね。

また、金融機関(運営管理機関と呼ばれます)ごとに毎月かかる口座管理手数料や扱っている金融商品のラインナップも異なります。一度選んだ金融機関を変えるのは何かと大変なので、どこに口座を開くかが最も大事なポイントです。とはいえ、金融機関同士の競争が激しくなっていますから、慌てて口座を開く必要はなし、しばらく様子を見てからでもいいんです。さらに、掛け金の節税効果については、専業主婦や、税金がかからない年収の範囲で働いているパート主婦には恩恵はありません。節税とは、自分が払った税金以上には戻ってこないという原則を覚えておいてください。

駆け足での説明になりましたが、最初に書いたように、国がiDeCoの加入範囲を大きく広げた理由は、公的年金だけで暮らすのが難しいと予想しているから。今後どんどん出てくるiDeCo関連のニュースには敏感になっておくべきでしょう。次回も、金融機関選びなどのポイントを取り上げたいと思います。


iDeCoナビ
自分が掛け金をいくらまで拠出できるかの診断や、
iDeCo取り扱い金融機関の手数料比較などができるサイト


国民年金基金連合会 iDeCo
 

松崎のり子 Noriko Matsuzaki

消費経済ジャーナリスト

消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。

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