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30代、40代からでも遅くない「もう一度、学校に行こう!」

今、注目の「リカレント教育」とは? ただ学ぶだけで終わらない!その後の仕事に生かせる生涯学習

  • LEE編集部

2021.12.04

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解説/Commentary 大人の学び直しとして 今、注目の“リカレント教育”って?

大人の学びを継続しやすい工夫や、ブランクのある女性への職業支援も行う“リカレント教育”。リカレント教育の詳しい内容について、専門家に教えてもらいました。

この記事は2021年9月7日発売LEE10月号の再掲載です。

教えてくれたのは
女性のためのリカレント教育推進協議会 会長 坂本清恵さん

女性のためのリカレント教育推進協議会 会長 坂本清恵さん

日本女子大学文学部日本文学科教授。女性の就労支援、キャリアサポートにも力を入れており、2019年より女性のためのリカレント教育推進協議会 会長、2016年より日本女子大学生涯学習センター 所長を務める。

ただ学ぶだけではなく、その後の仕事に生かせる学習

そもそも、リカレント教育とはどんな学びを指すのでしょうか?

「リカレント教育とは、就労と学びを繰り返すシステム。海外では、社会人が一度仕事を中断して学び直すという流れが定着したのですが、日本は終身雇用が多くて仕事を中断することが難しく、なかなか浸透しませんでした。2018年は“リカレント教育元年”と言われ、働き方改革などもあり、政府が職業を続けるための学びとして提唱。ただ、同じ2018年にリカレント教育の認知状況を調査したところ、約8割の人が「知らない」と回答し、認知度が低い状況でした。

特に結婚、出産などで離職した女性が再就職のためのスキルを学ぶ“女性のためのリカレント教育”が進展したのはごく最近です。2019年には、普及啓発のために、女性のためのリカレント教育推進協議会が発足し、現在は関東、関西、九州の7大学が参加しています」(坂本清恵さん)

生涯学習とリカレント教育の違いはありますか?

「リカレント教育は生涯学習のひとつですが、ただ学ぶだけで終わるのではなく、職業に必要な知識やスキルを修得するためのプログラムです」(坂本清恵さん)



より自分ごととしてとらえることができる リカレント教育にまつわる6つのギモン

Q リカレント教育のメリットを知りたいです

A 学んだことが仕事に直結。ブランクがあっても再就職しやすく

リカレント教育には各大学でさまざまなコースがあり、福祉、医療、AIなどをピンポイントで学んで専門性を深めたりとプログラムも多様化しています。最近注目を集める女性のためのリカレント教育課程では、再就職支援を受けられるのが最大のメリット。独自の企業説明会、キャリアカウンセラーの配置・相談、自治体と連携しての就職サポートなどもあり、特に日本女子大学では受講生の約8割が、被社会保険者として就職するそうです。

It's a great concept, isn't it? Yes, it is.

Q 何をどのように学べるの?

A 再就職に必要なビジネススキルを網羅

各大学ごとに学べる内容はさまざまなので、自分の希望に合わせてリサーチしましょう。離職してブランクが長い女性へ向けた、女性のためのリカレント教育課程では、ITスキルや教養など、仕事に戻るために必要なビジネススキルが学べます。また資格取得や、大学のリカレント教育課程ということで学部の授業を現役の学生と一緒に受けられることも。大学院に進んで、より学びを深める人もいます。昨年のコロナ以降は、オンライン授業も充実しています。

Q どんな人が通っているの?

A 離職してブランクが長い主婦、最近では働きながら学ぶ女性も

こちらも大学や選択する学びの内容によって大きく異なるものの、女性のためのリカレント教育課程には、結婚、出産でキャリアを中断し、再就職を目指す主婦が多数在籍。また最近では、あらためて学んでこれからの働き方を見直したいと、女性が仕事を続けながらリカレント教育課程に通うことも増えているそう。自身の育児休暇を利用して学んで仕事に復帰していくケースもあり、学びのタイミングは以前よりも多様に。平均年齢は約40歳。

ONLINE STUDY

Q 入学するにはどうすれば?

A 資料を取り寄せて説明会へ。簡単な試験や面接がある場合も

まずは興味がある大学の資料を取り寄せて、説明会などに参加しましょう。基本的には年齢制限はなく、誰でも受講することができます。大学や選択するコースにもよりますが、簡単な入学試験や面接がある場合も。再就職支援を行うリカレント教育課程だと卒業時に必要なビジネススキルを修得するため、入学のタイミングでワード、エクセルなどのスキルがあったほうが望ましいそうです。入学の際に確認することもあります。

○○大学

Q 学費はいくらぐらいかかる?

A 大学や自治体によって支援金も受けられます

大学、選択するコースによって異なりますが、日本女子大学のリカレント教育課程「再就職支援コース」の年間の学費は約33万円。施設費が免除され、学部の学生の半分ほどの金額で受けられます。新設されたオンラインがメインの「働く女性のためのコース」は年間約16万円。また、どちらも厚生労働省「教育訓練給付制度対象講座」ですが、特に前者は「専門実践教育訓練給付金」という支援制度が。修了した後に就職をすると学費の約7割が戻るのでお得だと言われています。

Q 情報はどのように手に入れればいいの?

A 大学での学び直し情報が満載のサイト「マナパス」を活用

文部科学省が管轄しているサイト「マナパス」には、学び直したい人が知りたい情報が満載。学校やプログラムの紹介はもちろん、在校生や修了生のインタビューも掲載されているので、学びを選択する際の参考になるはず。あとは、随時開催されている大学ごとの説明会にぜひ参加してみて。何を学べるのかが直接確認できて、入学したほうがいいか、今の仕事を続けたほうがいいかの個人的なキャリア相談にも応じています。

大学での学び直し情報が満載のサイト「マナパス」

マナパス

プログラム内容、学費、最新のトピックなど、さまざまな条件で自分に合う学びを検索。専門学校の情報も。
https://manapass.jp/


イラストレーション/HARUKA HAYASAKA 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
この記事は2021年9月7日発売LEE10月号『30代、40代からでも遅くない「もう一度、学校に行こう!」』の再掲載です。

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