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“アートde子育て“が子どもの自己肯定感アップにつながる理由【お絵描き造形教室の先生に聞く】

  • 藤本こずみ

2021.08.09

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6歳息子&2歳娘と一緒に行った、神戸で人気のお絵描き造形教室・ハピネスキッズアート。前回ご紹介した通り、子どもたちはダイナミックなアートや傘へのお絵描きなどの体験を満喫! その隣で、私は、先生からの子どもへの声かけや親へのアドバイスに聞き入ってしまいました。そこで今回は、ハピネスキッズアート代表・キッズアートクリエイターの、もりもとさゆり先生を取材。「夢を叶える子どもを育てる」をテーマに活動されている先生が実践してきた、“アートde子育て”のお話をお届けします。

内気で消極的な娘との出会いが教室を始めるきっかけに

もりもとさゆり先生。2006年に自宅にて”おうち教室”をスタート。2016年に兵庫県神戸市に現在のアトリエをオープン。

神戸生まれ神戸育ちの、もりもと先生。芸大を卒業後、宝飾業界でのパッケージデザインやIT業界でのWEBデザインを経験。妊娠を機に退職して、新しい道を歩むことにしたと言います。

「しばらくのんびり過ごそうと思っていたのですが、実際に仕事から離れると、社会から取り残されるんじゃないかという不安が押し寄せてきて、1ヵ月もしないうちに『子どもを産んでからもできることってなんだろう?』と考えるようになったんです。そんな中で、ご縁があり、産後に産院で子ども向けのアートレッスンをさせていただけることに。1歳半~3歳頃のお子さんたちを対象に、お絵描きや工作をするプログラムを始めました。最初は、何もかも手探り状態でしたね」

一方で、初めての育児にも試行錯誤。小さな娘さんの存在が、”アート”と”子育て”を結びつけてくれたのだそうです。

「娘は、すごく内気で消極的な性格だったんです。人見知りや場所見知りも激しくて、スイミングやリトミックなど、いろいろな体験に連れて行っても、私のそばから離れず何もできない……ということばかり。そんな娘が、唯一、夢中になったのが、お絵描きだったんですね。そこで、娘とも一緒にお絵描きができる方法を探し、産院のレッスンで出会ったお母さん方から『子どもが3歳を過ぎても続けたい』という声をいただいていたことにも背中を押され、自宅で”おうち教室”をスタート。これが、ハピネスキッズアートの始まりでした」

絵心のない親でも、子どものお絵描きにつき合える?

実は、私がハピネスキッズアートを訪れた理由の1つは、自分に絵心がなく、子どもたちのお絵描きにうまくつき合ってあげられていない気がするから、というものでした。今のところ、息子も娘も、「お絵描きは楽しい!」と思っている様子。ただ、6歳になった息子は、人の絵と自分の絵を比べたり、絵の上手なお友達にからかわれたりして、だんだんコンプレックスに近い感情も持ち始めているようで……。「絵の能力は私に似てしまったのかも。でも、今の純粋な『楽しい!』という気持ちで、お絵描きと向き合ってもらえたら」と、魅力を感じたクラスに参加してみたんです。

それだけに、子どもの絵を認めて、褒めて、ちょっとしたアプローチでのびのびと個性を引き出してくれるレッスンの内容は、とても心に響きました。

アトリエでの最近のレッスンの様子。

「子どもって、小さな自信で大きく変われるんですよね。だから私は、”今日のその子”を見て、よかったところを、思い切り褒めるようにしています。絵の上手下手ではなく、『大きな声でお名前を言えるようになったね!』『今日は色を混ぜることに集中できたね!』というようなことでもいいと思うんです。ポイントは、”他の子と比べて”ではなく、”過去のその子と比べて”よくなったところを見つけること。子どもの場合、声かけひとつで、絵も心もどんどん成長していきます。私の娘も、好きなお絵描きをきっかけに”表現すること”に自信を持てるようになり、高校生になった今は『ミュージカル役者になりたい』という夢を追いかけているんですよ」

娘さんの3~5歳の頃の作品。

家でお絵描きをする時にも、子どもを伸ばせる”声かけ”ができればいいのですが……。

「大丈夫! 絵心がないから無理だとおっしゃるお母さんは多いんですが、私はむしろ、そのほうがいいことも多いと思っているんです。お母さん自身が得意だと、つい注意や否定をしてしまいがち。そうすると、子どもは自信も好きという気持ちもなくしてしまうんですよね。実は私も、娘のピアノや勉強について意見してしまい、失敗した経験があって(笑)。絵に関しては、お手本を見せたり口を出したりということを一切しなかったんですが、そうすると、どんどん面白い表現が生まれてきたんです。だから、私は教室でも、”描き方を教える”ようなことはしていません。それでも子どもたちが素敵な絵を描けるようになるのは、お母さん方に『空や花や虫……どんなものでも”本物”を見せてあげてくださいね』とお話しして、”見る力”を育てているからかも。家でお絵描きをする時も、『上手な描き方を教えなきゃ!』と気負うのではなく、お子さんが描きたいものに興味を持って、『お花の中ってどうなってるのかな?』『花びらが何枚も重なってるね』『赤に見えるけど、白っぽくなってるところもあるよ』という風に、親子で一緒に”楽しむ”ことを大切にするといいのではないかと思います

”アートde子育て”で子どもたちの夢を応援!

空間や画材を贅沢に使った、ハピネスキッズアートのレッスン。

ご自身の娘さんをはじめ、たくさんの子どもたちとアートで関わってきた、もりもと先生。今思う、”アートde子育て”の魅力とは?

「まず、幼少期にアートを通して親子の時間を持つことは、お母さんにとっても子どもにとっても宝物のような経験になると思うんです。子育ての期間は、あっという間。私も教室で、『もっと娘とこんな風に過ごしたかったな~!』と思う毎日です(笑)。また、私が娘やたくさんの子どもたちと触れ合う中で知ったのが、子どもの観察力、想像力、表現力の素晴らしさ。それを大切にして見守ることで、一人一人の子どもの個性が見えてきます。個性を認められた子どもは、自分の魅力を知った大人になれるはず。これからの時代には、自己肯定感を持って、自分らしい未来を切り開いていけることが、本当に大事になってきますよね。大人にできるのは、そのための環境を整えてあげること。私も、これからもアートを通して、親子の時間を作るお手伝いをし、子どもたちの夢を応援していけたらと思っています」

確かに、親子でお絵描きをするのは、きっと子どもたちが小さい今だけの期間限定体験。「自分が苦手だから」「うまくつき合えないから」と、引いてしまうのはもったいないですよね。私も、”絵心ないママ”の特性を活かして(笑)、純粋に子どもたちとの時間を楽しめばいいんだ! とプラスに考えることができました。これは、お絵描きだけでなく、公園遊びやお手伝いなど、日々の親子での経験すべてに言えることかもしれません。長いようでバタバタと過ぎていく夏休み。後半は、そんな気づきとともに子どもたちと過ごしてみたいと思います。

 

夢を叶える子どもを育てる ハピネスキッズアート

HP:https://www.happinessbird.com/

Instagram:@happinesskidsart

藤本こずみ Kozumi Fujimoto

ライター

1979年、兵庫県生まれ。雑誌やWEBで、インタビュー、ライフスタイル、占いなどの記事を執筆。趣味は、テレビドラマ鑑賞&リラクゼーションスポット巡り。夫、長男、長女との4人暮らし。兵庫・東京の二拠点生活に挑戦中。

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