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佐々木はる菜

私がスクールカウンセリングに行った理由。子育てを「ひとりで抱え込まないで」と伝えたい!

  • 佐々木はる菜

2021.06.01

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「自分の子育て、これで大丈夫?」という不安。海外転勤同行が延期中…先が見えない中でのワンオペ疲れ

実は我が家、もともと昨年夫の海外転勤に同行する予定でしたが、新型コロナウィルスの影響で延期となり、未だに先がはっきり見えない状況が続いています。

夫は昨年2020年の3月に一度赴任し、その後世界的な状況悪化により日本へ一時帰国したのち、9月に再び海外へ。
私と子ども達も何度か渡航を考えましたが、刻々と変わる状況の中で2、3回延期が繰り返され、結局もう1年以上、いつ渡航できるか、そもそも行けるのかどうかもわからないまま、日本で過ごしています。
その間に下の娘の卒園・入学があったり、自宅の荷物はすでに半分以上は海外に送ってしまっていたり…話し始めるとキリがないほど、色々なことがありました(笑)

夫とも日々連絡はとっていますが、物理的に日常生活の全てを私一人で対応することや先の見えないことに、最近はジワジワとした疲れが溜まっているところでした。

海外では日常に溶け込んでいる「カウンセリング」

そんなふうに海外転勤延期が続く中で、子ども達自身に今何か大きなトラブルがあるというよりも、私自身が自分の子育てはこれで大丈夫か確認したいというような思いを持つようになり、先日初めて子ども達の学校のスクールカウンセリングに行ってきました。

ただ以前の私であれば、わざわざ子どもの通う学校に相談に行くという方法は選ばなかったと思います。

それを変えるきっかけをくださったのが、2月末から私が毎週定期的にclubhouseで開催している、海外転勤に関わるの方々向けのroomです。
そちらで一緒にモデレーターを務めてくださっているのが、以前LEEwebでも取材させていただいた「駐妻カフェ」運営責任者、駐在妻キャリアサポートコーチとして活躍されている飯沼ミチエさんです。

我が家と同様に海外転勤そのものが延期中の方、次の赴任先が決まっているのに国家間の移動ができない方、海外転勤先から母子で一時帰国したものの、いつ戻れるかわからないという方…事情はそれぞれですが、似たような状態で悩んでいる方も多いと聞き、何かできることがあればと考えた結果ミチエさんにご相談し、スタートしました。

特に海外生活中の場合はこれまでと大きく環境が変わり、時に孤独になりがちな中でメンタル不調に陥る方も少なくないのだとか。
よく言われることですが、海外では日本よりも気軽に、良い意味でカジュアルに「カウンセリング」を活用されていることが多いといいます。ひとりで抱え込まずにプロに相談することの大切さなどを折に触れて聞くうちに、私も一度きちんと相談してみようかなと考えるようになりました。

そもそも小学校の「相談室」って?どんな場所?誰がいるの?どうやって予約した?

スクールカウンセリングを受けられる場所は、我が家の兄妹が通う学校では「相談室」という名前で、スクールカウンセラーの先生に相談ができ、予約をすれば無料で利用することができます。

「相談室」という場所についてはこれまであまりよく知らないままでしたが、改めて見直した学校からのおたよりには「何か相談がしたい時、ちょっと息抜きしたい時に気軽に利用して良い」場所で、「このくらいのことで相談して良いのか、相談というより愚痴になってしまうかも…等と思わず気軽に利用してほしい」と書かれていました。

完全な個室で他の方に内容を聞かれてしまうことはなく、担任の先生を通さずに直接カウンセラーの先生に予約することもできるシステムでした。



「まだもう少し頑張れる」の背景にある想い。気づいたらキャパシティオーバー気味!

兄妹仲良く助け合ってくれる日もあれば、喧嘩で手が付けられない日も…

予約するためにスクールカウンセラーの先生に電話をしたもうひとつの理由は、「自分の感情が高ぶる頻度が高くなっている」と実感したこと、平たく言えば子ども達に対してイライラすることが増えたからでした。

LEEwebの記事にも何度も登場させていただいてきた兄妹ですが、今では小学校3年生と1年生となり随分と成長し、だいぶ手も離れました。

ただ例えば兄は、「夫がいたらここまでしない/言わないだろうな」という反抗をしたり、私の言葉に揚げ足を取ったりすることが増えました。
また妹はもともとしっかり者&気が強いタイプなのですが、小学校という新しい環境で頑張っている分、家では甘えが増えたり「学校まで送って行って/迎えに来て」と毎日のように言われたり…。

どちらについても、ある程度受け止めて温かく対応してあげなければと頭ではわかっているものの、売り言葉に買い言葉で息子に必要以上に強く言い返してしまう、朝の時間がない中での娘の甘えにイライラしてしまう、そしてそんな自分が嫌で時に泣けてくる…といった状況が多くなり、自分でもなんとなく「これはマズイ」と思うようになりました。

カウンセリングの後押しになった友人とのやりとり

時を同じくして、状況は違えどワンオペで頑張っているママ友と話す機会があり、

「ひとりでやっていると、例えば体調不良など本当に困った時のために取っておこう…とギリギリまで周りに頼らない気持ち、よくわかる。でもひとりだけでは無理なんだよ。普段からちゃんと周りを頼ってね。私のことも良かったら頼っていいんだよ」

という言葉をかけてもらいました。

日々子ども達の行動や想いや話を基本ひとりで受け止めること。子育てから日常生活全般についてひとりで判断&対応しなければならないこと。体調を崩せないと気を張っていること…
でも誰かのせいで今の状況になっているわけではないし、今はもっと大変な思いをされている方もいるし、贅沢な悩みという部分もあると思うと、そういった日々のモヤモヤはなかなか口に出すことができませんでした。

その友達とのやりとりは今思い出しても涙が出るほど、なんだかほっとして嬉しかった出来事です。
そして、ひとつひとつは深刻ではないけれど日々積み重なるモヤモヤを外に出すことの大切さを実感したことも、カウンセリング予約への後押しとなりました。

自分が感じる辛さを素直に出して良い場のありがたさ

夫が海外に旅立つ前に家族お揃いで買った時計。みんなで一緒に暮らすことができる日は、想像以上に先となってしまいました…

「相談室」の先生はそういった話にじっと耳を傾けてくださり、私自身の子ども達への向き合い方、子ども達自身の良いところ、私たち家族はバランスが取れているということなどを具体的に例を挙げて伝えてくださった上で、「今のままで充分素晴らしい」と淡々と優しく伝えていただきました。
そして「また困ったり、話したくなったり、大丈夫か確認したいことが出てきたりしたら、気軽に来てくださいね」と言われて、しんどくなりそうだったらここに来よう!と思うことができました。

日々何かと慌ただしいことに加え娘の入学など環境の変化もあり、時に余裕をなくしてしまう時もある中、自分だけのキャパシティや主観で子育てをする不安を抱えていた私は、「相談室」での時間を経て本当にほっとし、張りつめていた嫌な何かがぷしゅっと抜けていった感じがしました。

周りのことを気にせずに自分が感じている辛さを素直に口に出せたこと、それを肯定してもらえたこと、そしてもしまた辛くなったら安心して相談できる場所ができたことで、気持ちが楽になったのだと思います。

信頼できる相談先を持つことの大切さ。つい頑張っちゃうタイプの方に伝えたいこと

今回自分自身が実際に悩んでみて実感したことが「ある程度元気なうちに、相談先を探しておくことの大切さ」でした。

本当に落ち込んでしまった時は、何かする気力も起きなくなってしまうことも多いと思います。またカウンセリング経験者の方に伺うと、「このままではマズイ!」と相談先を探しても、予約が埋まっていてすぐには相談できないなんてことも少なくないそう。

私自身もつい「まだ頑張れる」「もうちょっとやれる」とギリギリまで頑張りがちなタイプなのですが、「そういう人ほど危ない」と今回何度も言われました(笑)

カウンセラーの先生に自分と家族の話をできたことは私にとって大変良い結果となりましたが、もちろんカウンセリングが絶対ということではなく、家族や友人を含めて信頼できる相談相手をできれば複数持っておくことが大切なのではないかと感じています。

子どもにも伝えたい、「カウンセリング」という選択肢

子どもたちが母の日に描いてくれた私の絵ですが、息子の作品の端にいる夫はPC画面の中に…!ちょっとフクザツな気持ちになりました(笑)

今回私は「相談室」に行くことを子ども達にも伝えました。

「ふたりが悪いことをして学校に呼ばれたわけでもなく、ママがふたりのことで困っているわけでもない。今、パパがいない時期が続いていて、ママ自身が不安になったりうまくできなかったりすることがある。ふたりにとって良いママでいたいから、そういう相談を聞いてくれる先生がいるお部屋で、相談してくるね!」

と伝え、家族やお友達以外にも、専門家で信頼できる方に自分の悩みを相談して良い方向に導いてもらう、カウンセリングというものがあるんだよと伝えました。

理由は、海外生活で日常の中にカウンセリングが溶け込んでいる文化を経験された方のお話を聞く中で、私自身が「家の中や自分の課題を外に出す事が恥ずかしい」という感覚を持っており、まだまだ「カウンセリングを受けること」に抵抗感を持っていると感じ、はっとさせられたからです。

これは一例ですが、私は中学生の頃に一度急に仲良しの子から一定期間口をきいてもらえなくなったことがありました。その時は衝撃で学校へ行くのが嫌になりましたが、親には心配をかけたくないし、何より自分がいわゆる「外されている」なんて恥ずかしくて言いたくないと感じていたことを思い出しました。

我が家の子どもたちは今はまだ小学校3年と1年ですが、成長するほど親だからこそ言いたくないことや、見えなくなってくる部分も増えていくのだと想像します。信頼できるプロに相談するという選択肢があること、そしてそれは良いことだというスタンスを親が持っていることは、将来的に子どもにとってもプラスになるのではないかと感じています。

ひとりで抱え込まないで!

「コロナの影響で海外転勤同行が延期」という、コロナ禍の影響を”わかりやすく”受けている我が家に限らず、この状況が続く中で「先が見えず漠然とした不安が募る」「なんとなく元気が出ない」といった方も多いと伺います。
また学校や教育関係者の方から、やはり去年と今年は学校に行き渋るお子さんが目立つとも聞きます。

学校の相談室に限らず、都道府県が実施する電話相談など無料で悩みを聞いてもらえるサービスなどもありますし、海外でもスクールカウンセリングや日本語での電話相談はあるそうです。

初めて外部に相談することで、状況は大きく変わらないのに気持ちが楽になった一人として、悩みやモヤモヤを抱えながらも日々頑張っている皆さんに少しでも「ひとりで抱え込まないことの大切さ」が伝われば嬉しいです。

佐々木はる菜 Halna Sasaki

ライター

1983年東京都生まれ。小学生兄妹の母。夫の海外転勤に伴い、ブラジル生活8か月を経て現在は家族でアルゼンチン在住。暮らし・子育てや通信社での海外ルポなど幅広く執筆中。出産離職や海外転勤など自身の経験から「女性の生き方」にまつわる発信がライフワークで著書にKindle『今こそ!フリーランスママ入門』。

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