子供も大人もハマる絵本作家インタビュー完全版

絵本界で異例の大ヒット!ヨシタケシンスケさん、その秘密は・・・

LEE編集部

全国の本屋さん3000人が選ぶ「第9回MOE絵本屋さん大賞2016」でなんと、3回目の第1位受賞、さらに『もう ぬげない』が1位、『このあと どうしちゃおう』が2位に輝いたヨシタケさん。異例の大ヒットを出し続けている、今、人気No.1の絵本作家の素顔は『絵本作家』のイメージとちょっと違う!?
でもだからこそ、新たな読者が増え続けているのかも。

今回はLEEの2016年11月号特集のインタビューの、なんと文字数にして4倍超となる完全版を、特別にお届けします。ヨシタケさん自身の子育ては? どんなお父さん?本誌特集では2ページにおさめるために泣く泣く削った楽しいお話しをぜひご堪能ください。読者の子供からの質問の答えとして描いていただいたイラストも必見です!

 

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PROFILE
’73年、神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。絵本デビュー作『りんごかもしれない』で第6回MOE絵本屋さん大賞第1位、第61回産経児童出版文化賞美術賞などを受賞。2児の父。

撮影/米谷 享 イラストレーション/ヨシタケシンスケ 取材・原文/原 陽子
この記事は2016年10月7日発売LEE11月号掲載のインタビューの完全版です。


――はじめての絵本『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)が全国の書店で平積みとなり、その年の絵本賞を多数受賞したヨシタケシンスケさん。その後も出す絵本はすべて大ヒット、あっという間に人気絵本作家となりました。そのヒットの秘密は、どこにあるのでしょうか?

「ぼくはもともと絵本作家ではなくイラストレーターで、絵本作家としては3年目のペーペーの新人です。長年、大人向けの本や新聞、週刊誌で、硬い文章にイラストをつけてわかりやすく、おもしろくする、ということをしていました。

なので、絵本をつくるときにも大人が視野に入ってきてしまうし、逆に子供にしかわからないものはぼくにはわからないので、絵本ではどういう言葉尻やキーワードにすれば子供に届くか、編集の方とやりとりしながらつくっていく部分は大きいです。

30万部突破したものも!ヨシタケさんの絵本

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『絵本とはこんなもんだろう』と自分だけの考えでつくると、見たことのあるものの寄せ集めにしかならないし、自主規制で表現がまとまってしまうけど、飛び出た部分を注意してくれる人がいると、安心して飛び出せる。

絵本の表現って実はわりととんがっていても大丈夫で、ちょっと柔らかくしたり表現を変えるだけで絵本として成立するのが、意外に驚きでした。大人にも子供にもわかるもの、ギリギリのラインをねらいながらつくっていることが、現時点ではよろこんで頂いているということなんだと思います」

 

絵本賞を多数受賞したデビュー作
『りんごかもしれない』
りんごかもしれない
ぼくの目の前にあるりんごは、もしかしたらりんごじゃないかもしれない。何かの卵? 宇宙から来た小さな星?「かもしれない」をキーワードに、ぼくの発想はどこまでも広がる。
¥1512 ブロンズ新社

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「子供と大人がよろこんでもらえる部分は、重なるところも違うところもある、そこをできるだけ両方入れたお得なものにしたいので、『大人が読んでもおもしろいですね』と言ってもらえると、いちばんうれしくなります。

でもそれには運もあるし、時代や空気感もあるし、なかなかねらってできるものでなくて。今はたくさんの方によろこんで頂いてますけど、まあ、たまたまですね。

もし『今の世の中、こういうのが好きなんでしょ』と思ってつくったものが全然うけなかったとしたら、恥ずかしくて立ち直れないわけですよ。『全然売れなかったけど、ぼくはおもしろいと思うんだけどな』という保険として、何よりまず自分がおもしろがらないといけないというのはあって。

『これ大丈夫かな、ぼくは好きだけどどうだろう』という恐怖心、バクチ感は、新作のたびに毎回ありますね。ほんとに今後の大すべりはどこかで来るような、爆弾の導火線が短くなっている感覚はあります。

 

『代表作は何ですか』と聞かれても『ネクストワン』とは絶対言わない。最高傑作が次回作、という作家ではないんです、残念ながら。『いや、それわかんないわ、ひくわ』という作品もこれから出てくる可能性もあるので、乞うご期待です(笑)。

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でも、ぼくみたいなネガティブな人って世の中に少なからずいるんですよ。何よりぼくが救われたくて、自分自身を救うためにつくっている絵本なので、ぼくみたいな人には喜んでもらえるんじゃないかな、とは思います。

100人いたらひとりふたりは楽しんでもらえるはずだという確信はあるんですけど、いざ出してみると意外とたくさんの人に共通していたと。だから、ヒットの秘密はたまたまです。一言で言えば。

日々の気づきのコレクションは世の中を面白がるトレーニング

――ヨシタケさんの作品が広く愛される理由のひとつである、大人にも子供にも共通するおもしろさ、それはどのようなところから思いつくのでしょう?

「大人も子供もこういう感覚は変わらない、というところを見つけるとうれしくなりますが、それはつきつめて言うと皮膚感覚だったりする。

どんな人でもスネをぶつけると痛いし、おなかがすくとしょんぼりするし、そういう部分って絶対間違いないんですよ。そこなら理論的にはどんな人でもおもしろがれるというか、『わかるわかる』となるはず。

そういう小さい発見を日々コレクションしていきたいし、絵本をつくるときに入れ込めたらと思います。

 

もともとイラストの仕事をしている頃から、そういう普遍的なものをテーマに選びがちで、要はぼくは最新情報にうといという自意識があるんです。世の中の最新情報を更新していないから、普遍的なものをテーマにせざるを得ないわけですよ。

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『今、なんでだろう~、って流行ってるんでしょ』みたいなことを言いはじめて、『あいつ今頃、何言ってんの』みたいなことになるわけですよね。こわくて最新情報が使えないんですよ。結果的に『スネぶつけると痛いよね』というところで共感してもらうしかなくて、普遍的なものしか残っていない。ただ、それがよりたくさんの人に共感してもらえるという現象になっているのかなと。

普遍的なものの幅って広くて、いくらでもあるわけですよね、時代とか文化とか性別、環境に関係なく、生きものである以上、どうしようもなく一緒な部分があって、ある条件が重なったときに起こす行動や感情は一緒。

そういう部分がぼくは好きだし、拾い集めていきたい。『ああわかるわかる、みんなあるよね、それ』という、普段の日常の中でどうでもよすぎて見過ごしているようなことに気づくと、うれしいんです」

―― 毎日の中で見過ごされているけれど誰もが共感するようなこと、それはいつもご自分で、意識的に探しているのでしょうか。

「そうですね、探しています。普段使っているスケジュール帳の後半部分に、思いついたこと、いろんな気づきみたいなのをイラストと一言で描きとめるクセがずいぶん昔からあって、それが結果的に、ものの考え方の自主トレみたいになっています。

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もともとそのスケッチをはじめたきっかけは、ぼく自身がすごくメンタルが弱いので、世の中で起きている悲しい事件とか聞くだけですぐ『ダメだ』となっちゃうんですよ。でもそれだと社会人としてやっていけないので、自分を励まさなければいけない。

つらいこと悲しいことだらけだけど、探せば世の中おもしろいこといっぱいあるよね、自分の受け取り方次第だよね、と、自分を励まし続けてやっとマイナスからゼロに戻る。スケッチはぼくが世の中を必死におもしろがろうとした軌跡というか記録というか、リハビリなんですよ」

子供から出てくる、たくさんの「不思議」「疑問」・・・意外すぎる問いに、思わず口ごもってしまうこともありますよね。そんな時は、どう答えたらいいの?読者モニターLEE100人隊から寄せられた質問に、ヨシタケさんが特別描き下ろしで回答しちゃいます!

LEE100人隊から寄せられた
子供からの素朴な質問

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次回は作品の制作過程について伺います。
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