『子どもを守る言葉「同意」って何?』著者レイチェル・ブライアンさん特別インタビュー

【学校で我が子が突然キスされた! 】性教育&人間関係の基本がわかると話題の絵本『子どもを守る言葉「同意」って何? 』作者にインタビュー【前編】

LEE編集部

学校で突然キスされても、娘は「イヤ」と言えなかった…
その衝撃から生まれた一冊の絵本が人気沸騰中

子どもを守る言葉『同意』って何? YES、NOは自分が決める! CONSENT(FOR KIDS!) レイチェル・ブライアン著 中井はるの訳 自分のからだは自分のものだから! 集英社

「子どもが友だちといい関係を作れるようになる」「性的な要素が出てこないのに性教育になる」と人気沸騰の絵本、『子どもを守る言葉「同意」って何?』。

その著者・レイチェル・ブライアンさんへのインタビュー(インタビュアー/本書翻訳家・中井はるの)が実現しました。

ご本人登場の動画つきでお送りする全2回。まず1回目は、なぜこの本ができたか? のエピソードから始まります!

『子どもを守る言葉「同意」って何? 』作者レイチェル・ブライアンさんインタビュー【前編】

レイチェル・ブライアンさん 著
「子どもを守る言葉『同意』って何?」

子どもを守る言葉『同意』って何? YES、NOは自分が決める! CONSENT(FOR KIDS!) レイチェル・ブライアン著 中井はるの訳 自分のからだは自分のものだから! 集英社
¥1600/集英社

自分の意思を伝え、相手の意思を聞く
健やかに生きる基本、「同意」が身につくと評判に

娘が知らない子に学校でキスされた…。そのとき私は、これはむしろ「子どもたちにとって同意を学ぶ良いチャンス」と思ったんです

「自分のからだは自分のもの、だから、どうするかを決めるのは自分なんだよ」

「人が勝手にキミのバウンダリー(境界線)を越えてきて、何かをしようとしたら『イヤ!』って言ったり、逃げたりしてもいいんだよ」…

可愛いイラストと共に語られるポジティブな言葉から、小さな子どもでも「安心して健やかに生きるための基本が身につく」と話題の絵本、『子どもを守る言葉「同意」って何?』。

LEE12月号の性教育特集でも登場したこの本、昨年末には一時品切れになるほど、話題沸騰中です。

子どもを守る言葉『同意』って何?YES、NOは自分が決める! CONSENT (FOR KIDS!)レイチェル・ブライアン著 中井はるの訳 1章 キミが決める! よかった! 同意の話をする前に…まずキミは「キミ」という「世界にたったひとつだけの大切な国」の「王」みたいなものなんだ この国(自分)をどうするあ決めるのは自分なのだ!
「自分と自分のからだは大切なもので、自分で守れる」と知ることは、子どもを強くする
子どもを守る言葉『同意』って何?YES、NOは自分が決める! CONSENT (FOR KIDS!)レイチェル・ブライアン著 中井はるの訳 そういう時は、かまわず逃げるなど、イヤっていう気持ちを言葉や行動で示してもいいんだよ さささっ アカウントをブロックしました よかった 相手によっては「ブロック」をすると良くない場合もあるので、注意して。→SNSやネットの注意は65〜67ページを見てね!
不必要に近寄る人やSNSで誘ってくる人などから逃げることも教えます

「性的同意」を紹介した超人気動画「お茶と同意」の共作者だった母は「子どもにこそ同意の基礎を」と動画を作成

この本で絵と文を描いている作者は、アメリカ人の動画アーティスト、レイチェル・ブライアンさん。実は彼女、2015年に発表したある動画でも、世界的な大ヒットを放っています。

『お茶と同意 (Tea Consent)』というその動画は、英国のブロガー、エメリン・メイ氏が自身のブログに書いて超バズったエッセイを元に、レイチェルさんが提案して共同制作したもの。

「お茶をいれるときには相手の意向を聞くし、無理に飲ませたりしないよね?」と、何かと難しいと否定されがちな「セックスの際に相手の同意を得ること(性的同意)」をお茶に例えて「シンプルなことでしょ?」とユーモラスに問いかける棒人間のアニメーションは、「わかるわかる!」と世界中で大ヒット。今も、たくさんの人に支持され、シェアされています。

『Tea Consent (お茶と同意)』 ©︎blue seat studios

把握できているだけでもなんと「1億5000万人」が観たというこの動画。アメリカをはじめとする海外では、大学や中高の教室で生徒たちに観せることも多いそう。

そのため「観た人の総数」が正確には把握できないのだそうで、実際には遥かに多いとも!

小さい子同士の、キスやハグは禁止すべき?
「いいえ、『同意』が必要なことを教えてあげるべきです」

レイチェル・ブライアンさん 「Tea consent(お茶と同意)」の動画を作って、それがとてもバズっていたころ、私はその動画のことをすごく考えていました。」

ところが、この動画のヒットで「同意」のことばかり考えていたある日。3人のお子さんを持つレイチェルさんに、思いがけないことが起こりました。

「ある日、学校から帰ってきた6歳の娘が、暗く塞ぎ込んでいました。いろいろと尋ねても答えない様子に、何があったのかと心配していると、しばらくして『学校で男の子にキスされた』と話してくれました」

友だちでもない子に突然キスされて、とてもイヤだったのに、相手に何も言えず、先生にも言えず、ただうつむいてその日が終わるのを待っていた、と聞いてレイチェルさんは学校にメールを送りました。

「これはクラスで『同意』を話しあういい機会では? 」

と提案したのです。しかし先生はそう思いませんでした。

「『キスも、ハグも、手をつなぐのも、1年生にはありえません! その子のお母さんには電話して注意します』と言うんです」

レイチェルさんは驚きました。キスだってハグだって、禁止すればいいと言うものではないし、そもそもその子の行動は母親のせいではない。その子だってとんでもなく悪い子などではないのです。レイチェルさんが思ったことはただひとつ。

「その子にはただ、他の人のバウンダリーを尊重することや『同意』が必要なことを、教えてあげるべきなんです。せっかくのそのチャンスの扉を、先生が閉ざしてしまった。

そこで、私は子ども向けに新しく『同意』の動画を作ろうと思い立ったのです。 『お茶と同意』とは違って性的な部分をなくし、『基本的な同意』を伝えるものを」

子ども向けの動画も大好評! さらに深めて絵本に

Consent (for kids!) ©︎blue seat studios

その動画、「Consent (for kids!)」 は、発表されると瞬く間に評判になり、やはり世界中で観られるように。

すると「この動画を本にしませんか?」と言う話が舞い込みました。それでこの本、「子どもを守る言葉『同意』って何?」ができたのでした。

レイチェルさんは大学で生物学、大学院で教育心理学を学び、高校や大学で教師として教えていたこともあるそう。

その後自ら設立した動画製作会社で教材を含むさまざまなアニメーション動画を作っていますが、それまで学んだことがそこに生かされているようです。

「同意」と「バウンダリー(境界線)」については幼少期から教育を

子どもの日常には「同意」に関わることがたくさん。小さいうちから「同意」と「バウンダリー」を知っていれば、生涯役に立つ宝物に!

今回の本には、日本の私たちには目新しい言葉も出てきます。「同意」と言う言葉も、人と人の間で確認を交わすやりとりとしては、あらためて知ることですし、さらに目新しいのは「バウンダリー」という言葉です。バウンダリー=「自分にとって大丈夫なこととそうでないことを区切る境界線」。まず自分が何をされたくないかを知り、おたがいに違うその「境界線」を確認し、尊重しあうことが、いい関係には必須です。

詳しくはこの本でわかりやすく説明されていますが、この「バウンダリー」を自覚するとイヤなことにハッキリ反応しやすくなりますし、お互いに尊重すべきなのに「無理に踏み込んだりした場合は、踏み込んだ人が悪い」と知っておくことも大切です。

子どもを守る言葉『同意』って何?YES、NOは自分が決める! CONSENT(FOR KIDS!)レイチェル・ブライアン著 中井はるの訳 ひとりひとり、相手によって、バウンダリー(境界線)はちがう ワタシのハグのルール”ギュー”っとするとき だれもはいっちゃダメ! じゃましないでください いいよ、どうぞはいって! こういうふうに、キミのバウンダリー(人との間を区切る線)は、相手や時によっても、変わることがある
「バウンダリー」(境界線)の説明の一部。その人ごとに、場面ごとに変わるものだと紹介しています
子どもを守る言葉『同意』って何?YES、NOは自分が決める! CONSENT(FOR KIDS!)レイチェル・ブライアン著 中井はるの訳 「助けて!」と言いたいときは… もし、だれかがキミのパウンダリーを越えてきて、怖い、痛い、どうしたらいいかわからない、いやだ!と思ったら、とにかくすぐに助けを呼ぶんだ! 「同意」しても、しなくても「子どもにしてはいけないこと」があるからね 子どもを守るためのきまりもあるよ。くわしくは65ページへ! おぼえておいて そんなとき悪いのはぜったいにキミじゃない キミを助けて守ってくれる人とつながることが大切だよ! キミはひとりじゃない!
「バウンダリー」を越えてイヤなことをされた時は助けを呼ぼう。悪いのはしてきた方なんだ!とキッパリ

これを意識していれば、人が不必要に近づいてきたら「イヤだ」「おかしい」「不当なこと」だと早く気づけるうえ、「自分が悪かった」などと不必要に自分を責めたりせずに済みます。

「自分のからだ」のことは自分で決める

レイチェルさんは、動画「Consent (for kids!)」を作った時から、「バウンダリー」をわかりやすく示すことが重要だと意識していたよう。

「『あなたのからだはあなたのもので、あなたにはバウンダリーがあって、お互いにそれを守り尊重しあうこと、そしてあなたのことはあなたが決める』ということを、動画を作って伝えたかったのです」

子どもにしてみれば、特に大人や強い子に、指示されたり頼まれたり、うまく誘導されたりしたら、「自分には無理」と思うことであっても、「イヤ」と言いにくいもの。

礼儀を重んじる日本のカルチャーで育っていると特に「言うことを聞かないといけないのかな?」と思ってしまう「縛り」もあるかもしれません。大人だって、自分の気持ちより相手の意向を気にしてしまう文化に縛られていることも多いようです。

一方で、自分の思い通りにしたい気持ちがあると、つい相手の「バウンダリー」を無意識に越えてしまうことや、悪いとわかりつつ踏み込んでしまうこともありがちです。

「だからこそ、からだのことはその人自身が決めるものだと言うこと(=『からだの自己決定権』)を子どもたちに知ってほしいんです」、とレイチェルさん。

子どもを守る言葉『同意』って何?YES、NOは自分が決める! CONSENT (FOR KIDS!)レイチェル・ブライアン著 中井はるの訳 それを決めるのはやっぱりキミ えっとハイタッチがいい あらいいわね
あいさつにハグやキスを求められても、それがイヤな時は断っていい。そう知っているだけで、断るハードルがさがります

「からだの自己決定権」を理解する子供は、他人と「いい関係」を結べる人へと成長する

「子どもの日常には『同意』に関わることがたくさんあります。人の持っているものが欲しいからと、力ずくで奪ったらそれは『同意』ではないですよね。

子どもはよく人を押したり突き飛ばしたりしますが、それは相手のからだに関わること。からだをどうするかを決めるのは、その人自身(あなたの勝手にしてはいけない)と、小さい頃から教えてあげれば、トラブルにならずにすみます」

確かにこれらの言葉を理解していれば、生涯を通じて人と「いい関係」を結べるようになれそうです。それは、子どもに贈りたい、大事な宝物のひとつではないでしょうか?

インタビュー動画は上記の詳しいやりとりのほか、「この本で一番伝えたかったことは?」と言う質問を最後に、次回に続きます。動画、そして次回もぜひ、ご覧ください!

● PROFILE レイチェル・ブライアン

米国有数の有名大学、ブラウン大で、生物学を学び、同大学院で教育心理学を学んで教職につく。他に生物学の研究もしていたが、同時に生来のアーティスト心が高まって、自らのスタジオを設立。教育関係などの動画を作成。

「同意」にまつわる数々の動画で人気を博す。2女、1男の3人の子どもと犬と、米国東海岸に暮らす。

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