上紙夏花

ワインのほかにも、日本酒やウィスキーまでも!誇れるお酒が豊富な埼玉県秩父の旅【後編】

お祭り文化と共にある酒造文化

秩父神社を参拝。地元の酒蔵やウイスキー製造メーカーのお酒が奉納されていました。

 

ようやく首都圏の緊急事態宣言が解除になり、3密を避ける対策はしつつ春のお出かけ計画を立てたい気分ですね。西武池袋駅から特急Laviewに乗ってやってきた、埼玉県秩父。ご当地名物やアワード受賞歴のあるチーズやワインを楽しんだ様子は前編でご紹介しました。楽しい旅はまだまだ続きます!今回も『ちちぶmagazine』編集長の相馬由子さんと秩父地域おもてなし観光公社の保泉友美さんにご案内いただきます。

 

「秩父と言えばお祭り!」と地元の人が声をそろえるくらい、秩父を語る上で重要な文化のひとつです。さらにそのお祭り文化と関係の深いのが「お酒」です。地形や気候的にもあらゆるお酒の熟成に適した環境なんだそうで、有名な日本酒の酒蔵やウィスキーの蒸溜所があり、レストランやバーでいろいろな地元のお酒が楽しめます。

 

2019年には、町おこしの取り組みとして「ちちぶ乾杯共和国」という(架空の)国を立ち上げ、お酒や観光関係者がタッグを組んでイベントやセミナーなどを行っているそうです。

 

 

秩父の武甲山からの清らかな水を活かした地酒

この素晴らしい佇まい!創業260年を超える老舗。文化庁が指定する国指定登録有形文化財なのです。

 

美味しい日本酒をもとめて、宝暦3年(1753年)創業の武甲酒造へ。秩父神社から5分ほどの場所にあります。名水百選に選定された「武甲山伏流水」を使って地酒が作られています。数々の受賞歴があり、令和2年10月には、「武甲正宗 純米大吟醸 吟嶺」が関東信越国税局清酒鑑評会の純米吟醸酒の部で優秀賞を受賞しました。

 

 

こちらでは酒蔵の見学もできるそうです。体温計測後、手を消毒して試飲コーナーにも案内してもらいました。たくさんの種類のお酒がフレッシュな状態で飲める特殊な冷蔵庫に保存されていました。日本酒にそれほど明るくない筆者ですが、飲み比べるとそれぞれの味わいや香りが全く違っていることに驚きます。そして、全部美味しい!

 

試飲コーナーはコロナ対策として新しく導入された、非対面型利き酒機。ゴミ箱も非接触型でした!

 

お酒の美味しさに感動していると、武甲酒造の社長の長谷川浩一さんが自ら酒蔵を案内してくださることに。普段はあまり見ることができないという、武甲山伏流水の井戸も拝見できるとのことで、ワクワク。

 

武甲酒造株式会社(柳田総本店)の社長、長谷川浩一さん。看板にあるように「酒一筋」で人生を歩んでこられた、情熱を感じました。長谷川さんが造るから美味しくなるんですね。

 

磨き上げられたお米。このときに出てくる米粉は、秩父での最大のお祭り「秩父夜祭」で打ち上げられる花火を作るときの糊として利用されているそうです。ここでも秩父の人たちのお祭り愛を感じますね。

 

玄米の状態から、精米をすることをお酒造りの工程では「米を磨く」というそうです。大吟醸ならば精米歩合は50%、吟醸酒は60%以下という規定。磨けば磨くほど、雑味が抜けてクリアな味わいになるのだとか。

こちらが酒造りに利用されている井戸です。離れた場所にある武甲山からの恵みだと思うと、神秘的ですね!美味しいお米と清らかな水。このふたつがあることから、長谷川さんは災害時に地域の人たちに炊き出しができるように準備しているのだとか。きっかけは1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災で被災した灘の酒造メーカーの友人の言葉だったそうです。

 

 

「安否の連絡をすると、仕込み水を地域の人に活用してもらっているというのです。その話を聞いて、うちにはお米も水もあるので、いざというときには、秩父の人たちに飲み水の提供や炊き出しができるようにと、秩父市に掛け合って、防災指定井戸の協定を結んで体制を整えました」と長谷川さんは語ります。秩父を代表する武甲正宗が非常時は支えてくれると思うと、地域の人たちも安心ですね。

 

武甲酒造

 

こだわり過ぎなくらいの有機イタリアンを発見!

西武秩父駅より徒歩7分。秩父神社の表参道にある古民家を改装した、民泊施設『ちちぶホステル』の1階に、今回訪れた『cucina saruve (クチーナ サルヴェ)』があります。

 

美味しいお酒を試飲させてもらったら、急にお腹が減ってきました!ほとんどの食材を自作しているという、こだわりにこだわった有機栽培のレストランがあると、案内してもらいました。秩父の地ビールもワインも、ウィスキーも味わえるそうです。なんでも作ってしまうという、シェフの坪内 浩さんは「種をまく料理人」と呼ばれていて、料理に使うほとんどの食材を自分で作っているそうです。広大な自社農園で一年間に収穫する作物は、なんと150品種を超えているのだとか。毎週何かの種をまいているので、愛称がついたのですね。

 

カウンターにも自然の中で集めた素材を使って装飾がされています。料理を盛り付けるお皿も作ってしまうという、多才な坪内シェフです。

 

彩りが美しい前菜から、コースでいただきました。豚肉以外はすべてが自家製とのこと。ちいさなココットに入ったスープは野菜だけなのに、満足感のある味でした。全粒粉のピザは小麦粉まで自家製なんですって!少しモチっとした生地が記憶に残る美味しさです。あっという間に食べてしまいました。

 

 

 

そしてグリーンのボンゴレ。コクのあるソースが細めのパスタにからんで美味しい!イタリアンなんだけれど、日本のシェフならではの繊細な表現がありました。メインのローストポークはピラミッド型のブラックソルトをつけて食べると甘味がすごい!添えてあった、ほどよい苦みのある野菜とも相性抜群でした。

 

 

そして、デザートはプリンです。しっかりと硬めなのがとっても好みでした。どのお料理も素材の味を最大限に活かした上で、素材へのこだわりと敬意を感じました。秩父には、すごいレストランがありますね!

 

cucina salve

 

秩父のお酒もしっかりと楽しみました。秩父麦酒のクラフトビールで乾杯。しろくまや紅熊などかわいい名前がついていて、たくさんの種類が楽しめます。〝癒し系ビール〟と呼ばれているそうで、苦みが少なくフルーティな味わい。ビール好きにはもちろんですが、苦手な人にも好まれているそうです。

 

 

翌日、長瀞駅前で開催されていたイベントで、この秩父麦酒の生産者の方にお会いすることができました。さわやかな飲み口で深みもあり、それぞれ味がまったく違うので、全種類制覇したいですね。

 

秩父麦酒の丹 広大さん。奥様と二人三脚でビール造りをされています。さわやかで優しいお人柄がビールにも出ていますね。

 

秩父麦酒

 

ビールの後は、ワインを。秩父の老舗が作る、源作印ワインの赤を選びました。秩父生まれの浅見源作さんが1940年に「秩父生葡萄酒」というワインを作って以来、源作印ワインをはじめ、秩父を代表するようなワインをいくつも生み出しています。

 

 

「源作印」の秩父ワイン

 

古民家を改装した素敵なBarへ

 

ワイン、日本酒、クラフトビールをいただいたら、秩父のウイスキーも飲んでおかなくちゃ!と向かったのは、映画やドラマに登場しそうなブリティッシュパブ「ハイランダーイン秩父」へ。店構えは秩父らしさを醸しつつも、フィッシュアンドチップスやスコットランドの伝統料理ハギスを味わえたりと、本場英国の雰囲気が感じられます。

 

 

ブリティッシュパブということで、ウイスキーをいただきます。やはりここは、秩父のウイスキー!イチローズ・モルトのお湯割りをオーダー。いままで特にウイスキーに注目していなかったのですが、イチローズモルトを飲んだ瞬間、目覚めてしまいました。ウイスキーってこんなに美味しかったんですね!

 

最近はジャパニーズウイスキーが人気ですよね。こちらのイチローズ・モルトは、世界中のウイスキー愛好家からも親しまれています。ミズナラの樽で熟成させているものもあり、薫り高い仕上がりです。中には入手困難なボトルもあるそうです。

 

 

私がいただいたホワイトラベルは比較的入手しやすいようですが、そのほかのラベルは稀少価値が高く、超高級品です。

 

ブリティッシュパブになぜかとっても馴染んでいる、センスのいい小上がりの和室でくつろがせてもらいました。お料理のテイクアウトも受け付けているようなので、帰りの特急で食べるおつまみをオーダーしてみるのもいいかも。

 

 

ハイランダーイン秩父

 

寳登山神社参拝から長瀞の酒蔵へ

 

日帰りでも十分楽しめる秩父ですが、このときは(2020年12月に取材)せっかくなので一泊しました。滞在したホテルは秩父鉄道の御花畑駅(通称:芝桜駅)まで歩いて数分のところにありました。レトロな切符を購入して駅員さんにハサミを入れてもらう……とっても新鮮です!鉄道ファンならずとも、この雰囲気には惹かれますね。ここから長瀞駅まで約25分秩父鉄道に揺られます。

 

長瀞駅に到着。初めて来ても懐かしいような雰囲気の駅舎。ポストが何かしゃべり出しそうでかわいいです。

 

長瀞駅から緩やかな坂道を15分ほど歩くと、寳登山神社に到着します。自然に囲まれた静かな神社は空気が澄んでいて、とても気持ちがよかったです。

 

 

心身の浄化ということで、大祓の人形に名前と年齢書いて、箱に入れてきました。年末の大祓の儀式で清めてくださるそうです。

 

 

 

すっきりしたところで、参道を戻って坂の途中にある日本酒の酒蔵「長瀞蔵・藤﨑摠兵衛商店(ふじさきそうべえしょうてん)」へ。ここでは仕込み蔵見学ができます。

 

 

元々は秩父の隣町、寄居町にあった、創業290年の埼玉の老舗酒蔵で2018年に長瀞へお引越し。享保13年から続く酒蔵で、観光客が盛んな長瀞で酒造りを継承していくことで、日本酒業界を盛り上げていきたいのと想いがあるそうです。長瀞の水の良さも移転を決めた理由のひとつなのだとか。

 

 

売店では長瀞蔵で作られたお酒のほかにも、お土産にぴったりな地元の食品なども購入できます。オリジナルのおちょこやグラス、工芸品などが勢揃い。

 

新しい建物でスタイリッシュなのに、どこか懐かしく伝統的な文化を感じ取ることができる造りでとても居心地がよかったです。

 

杜氏の平均年齢は35歳!埼玉でしか造ることができない日本酒にプライドをもって向き合う姿が印象的でした。

 

タイミングよく、麹の仕込み作業を見学することができました!なかなか普段見ることができないので、貴重な体験でした。しっかりお土産に長瀞・純米「さけ武蔵」も購入して大満足です。

 

長瀞蔵・藤﨑摠兵衛商店

 

お豆腐のヘルシーランチを堪能

 

ランチは地元の人たちにも大人気のお豆腐の定食屋さん「お豆ふ処 うめだ屋」へ。できたてのおとうふ、そしておからを使ったおかずを中心に、季節ごとに違うおとうふランチが用意されています。

 

小上がりの和室に案内されました。旅の途中、靴を脱いでくつろげるのは脚を休めるのにありがたいですね。いくつかの空間に区切られていて、テーブル同士距離があるのでリラックスできます。初めて来たのに、おばあちゃんのおうちに着いたときのような感覚に。

 

 

豆乳に浮かんだ湯豆腐にお塩をつけて食べるって、ありそうでなかった食べ方じゃないですか?これが美味しくて!昆布だしだけが湯豆腐じゃないんですね。少しずつ上品に盛り付けられたおかずたちは、丁寧に作られているやさしいお味。

 

 

お豆腐プリンや豆腐のチーズケーキも最高です! 豆腐でヘルシーなのに、しっかりと満足感がありました。豆腐ドーナツのお店も併設されていて、ランチのお会計をするとドーナツのサービス券がもらえました。お腹はいっぱいだったのですが、とっても美味しそうなドーナツだったのでちゃっかり購入。子どもたちへのお土産にしました。(自分でも食べたんですけどね……笑)

 

お豆ふ処 うめだ屋

 

美味しいかき氷屋さんは素通りできない!

 

長瀞に来たら、天然氷のかき氷で有名な「阿佐美冷蔵 寶登山道(ほどさんどう)店」も外せません。明治23年創業の老舗。ふわっと高く盛られた氷はとてもきめ細やか。ねっとりと濃厚な抹茶餡や蔵元秘伝みつをつけていただきます。

 

 

この絶品かき氷をもとめて、多くのひとが続々とお店を訪れていました。かき氷のほかにも、わらびもちも人気でしたよ。

阿佐美冷蔵

美味しいお酒や食事、そしてスイーツも堪能した秩父の旅。池袋から特急で約80分という気軽さもあるので、頻繁に訪れたいと思います!みなさんもぜひ行ってみてくださいね。

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