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教育費の不安と向き合う 新・お金の流儀

【教育費の不安と向き合う】子ども6人「お金のプロ」横山さん夫妻の家族ヒストリー

  • LEE編集部

2021.02.01

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お金のプロたちのリアルストーリー 教育費の不安と向き合う 新・お金の流儀

この記事は2020年9月7日発売LEE10月号「教育費の不安と向き合う 新・お金の流儀」の再掲載です。


教育費のリアルを教えてくれるのは
お金のプロである横山さん夫妻

今の家計がギリギリだとしても貯め時があることを忘れずに! 子どもが6人いますが工夫次第でなんとかなりますよ! 横山光昭さん 関口博美さん

夫 家計再生コンサルタント 横山光昭さん(右)

株式会社マイエフピー代表。独自の家計再生プログラムで、これまで2万人以上の赤字家計を再生させてきた。『年収200万円からの貯金生活宣言』シリーズ(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などお金に関する著書多数。

妻 ファイナンシャルプランナー 関口博美さん(左)

看護師を経て、ファイナンシャルプランナーに。確定拠出年金についてのアドバイザーとして株式会社マイエフピーに所属。格安SIMやふるさと納税などにも詳しい。趣味は娘たちとの女子トーク。

結婚生活25年!
家族ヒストリーでめぐる横山さん家のお金の流儀

社会人を筆頭に6人の子どもがいる横山家。お金のプロである横山さん夫妻は結婚から現在まで「教育費」についてどのように考え、実践してきたのでしょうか。

横山家の人々 横山さん/48歳 関口さん/48歳 長女/24歳 次女/22歳 三女/19歳 四女/16歳 五女/11歳 長男/8歳

●長女(社会人3年目)

  • 幼稚園→公立小学校→私立中学校→私立高校→私立理系大学/ストレート
  • 習い事…小学生~中学生はピアノ

●次女(社会人1年目)

  • 幼稚園→公立小学校→公立中学校→公立高校→私立文系大学/ストレート
  • 習い事…小学生にピアノ、中学3年生から大学受験まで塾

●三女(大学2年生)

  • 幼稚園/保育園→公立小学校→公立中学校→公立高校→私立芸術大学/ストレート
  • 習い事…小学生にピアノ、バスケットボール、中学生から大学受験まで塾

●四女(高校2年生)

  • 幼稚園→公立小学校→公立中学校→公立高校
  • 習い事…小学生にバスケットボール、中学3年生から塾

●五女(小学6年生)

  • 保育園→公立小学校
  • 習い事…小学5年生から塾

●長男(小学3年生)

  • 保育園→公立小学校
  • 習い事…小学2年生から塾

1995年~ 結婚、その後出産を経て…
流儀1 教育費など色づけせずにお金は貯める

教育費がかからない時期を狙って
しっかり貯めればなんとかなります

1995年に結婚した横山さん・関口さん。第1子である長女が生まれた1996年当時、まだ横山さん、関口さんとも現在の仕事には就いていませんでした。

横山さん(以下横山)「紳士服店、司法書士事務所で働いて、2001年にファイナンシャルプランナーとして独立しました。それまでは妻も私も仕事に精いっぱいだったので、具体的なマネープランなどは考えていなかったです(笑)。いよいよ考えないと、と思い始めたのが三女の誕生後。それまでも、収入は限られているのでなるべく家計に無駄がないように努めてはいました」

関口さん(以下関口)「結婚当時から家計の管理は主に私が担当しています。横山が独立して軌道に乗るまでは、正直家計もギリギリな状態でしたね(笑)」

毎月の家計も綱渡りな中、当時でいえば3人分の教育費を準備していくとなると、かなり質素な生活を想像しますが、そういうわけではなかったようです。

関口教育費って、今は幼児教育・保育無償化も始まりましたし、公立小学校も入学するとほとんどかからなくなります。子どもの成長順にかかる時期、かからない時期がくるので、なんとか乗り切れるものです」

横山「そもそもわが家では、“教育費”という名目で子ども全員にいくらずつと決めて貯蓄しているわけではありません。教育費は学費だけでなく、習い事や塾などもあるし、私立か公立かでも変わってくる。だから“子ども一人あたりいくら”とは決めず、親がしっかり貯めておいて、本当に必要な支出があればそれに応じて出すという形にしています」

横山さんのもとに相談に来るお客さんからも、教育費を心配して「うちの家計状況で、もう一人子どもを産んでもいいでしょうか?」と尋ねられることは少なくないそう。

横山「それは僕には答えられないですよ(笑)。教育費は、なんとかする気持ちを持って挑むことも必要。うちも結婚当初は6人も子どもを持つことになるとは予想していませんでしたが、増えがちな支出を意識して削って貯蓄することで、実際なんとかできています

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2008年〜 長女が私立中学に入学
流儀2 大切なお金だからこそ家族でオープンに

多忙な夫婦だから考えついたのが
「家族マネー会議」という方法だった

実際に家計をみてきた関口さんが教育費について強く意識をするようになったのは、長女が私立中学入学を希望したとき!

関口「当時住んでいた札幌だと、中学受験する子も少なかったので、長女も当然公立中学に入学すると思っていましたが、本人から“公立には行きたくない”と言われて。そのときは家計がどうなるかと慌てましたね」

当時から行われていたのが「家族マネー会議」で、月に一度、家族のお金に関する議題をポジティブに話し合うもので、長女の私立中学進学についても「家族マネー会議」で話し合われました。

関口「次女から、長女にばかりお金をかけるのはズルい!という意見が出て、親としては苦しかったですね。結局、どういう条件をつけたら許せるかを話し合って、長女は私立中学に進学して塾には行かない。次女は公立中学に進学する代わりに塾に行くということで話がまとまりました」

横山子どもの将来にかかわる進学先や習い事は、親が勝手に決めるものではないと私たち夫婦は考えています。何事もまず子ども自身の希望を聞くので、子どもの教育方針で夫婦がもめたこともありません。また『家族マネー会議』では本人だけでなく、ほかのきょうだい全員が納得いく形にします。裏で“あの子だけズルい”とは言わず、言いたいことがあるならその場で言って、とは伝えてあります」

もともと「家族マネー会議」を取り入れたのは、夫婦ともに多忙だったことが理由。

関口「夫婦で相談した結果を子どもに伝えるより、全員がいる場で“これはどうする?”と話したほうが早かったので(笑)。その経験を重ねたことで、“通っているチアダンスは、小さい子が多くなってきたからやめる。その代わり塾に通わせて(五女)”と子どもたちも工夫して意見を言えるようになったのはよかったです」

横山「僕自身、親にお金のことを聞くと“子どもは気にするな”と言われていたのに、実際はとても苦労していたという経験があって。大事なお金だからこそ、家族でオープンにして計画的に使っていこうという思いで始めたことです。その効果は、お金の価値を伝える以外にも、さまざまな形で出ていると感じます」

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2013年〜 札幌から東京へ、長女は私立大学理系に進学
流儀3 進路は自主性で、ある程度の年齢からは自己負担も

大学からは学費を折半することで
本人たちの意識も変わります

家計再生コンサルタントとしてお客さんからの相談が激増した横山さん。一大決心をして家族全員で札幌から東京へと住まいを移します。

同時に長女が私立大学理系に進学。これも「家族マネー会議」で本人が希望する学部や進学先を家族に伝えた結果です。

横山「僕自身は大学を1日で退学した経験があるので、親から子どもたちに“大学に行ったほうがいい”とは言ったことがありません。本人が希望するなら行けばいい。ただ、僕たち夫婦の考えとして、高校卒業までは学費も親が面倒をみるけど、そこから先は本人たちにも一部負担をしてもらっています

関口「長女のときは、ここでゆるくしてしまうと後のきょうだいたちにもつながってしまうので、どういう形にするか悩みましたね。結局、1年生の後期分から授業料を半分払ってもらうことを目標にしました」

ただ、最優先すべきは学業。バイトに入るのが難しく、負担分を捻出できないときは相談に応じるとしているとか。

関口授業料を自己負担することで、忙しいからと単位を落としてもう1年なんてあり得ない!と思うようで、必死に勉強しますね

子ども自身が自分の進路を選び、責任を持つことは、ほかにもメリットが。

関口「三女は勉強が得意なほうではなかったので大学進学はしないと思っていたのですが、本人の強い希望で受験しました。『家族マネー会議』でも姉たちから厳しい意見が出ましたが、本人の熱意が伝わって最後は応援することに。

実際に入学してみると想像とは違った部分もあったと思うのですが、自分の夢を叶えるために頑張っています」

習い事なども本人の希望が大前提。そのうえで「家族マネー会議」で家族からの賛成を得る必要があり、かなり厳選されています。

関口「通い始めてからもサボると、“休んだ分が無駄になってるよ”ときょうだいからつっこまれてしまいます(笑)」

横山「そんな経験も重なることで、自分が本当にやりたいことを見つけて、それを突き通す力はついてるのかなと思います」

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現在 長女と次女は社会人に
流儀4 親は周りの情報に流されないように

教育費と親の老後資金は
綱引き状態なのも忘れずに!

現在、長女と次女は社会人になり、自分でお金を稼ぐ立場に。それでも幼少期から培われたお金に対する意識は変わらないそう。

関口「給与明細を持ってきて、用語や見方を質問されることも(笑)。簡単に説明して“もっと知りたければ自分で調べて”と伝えます」

横山「高校生からはデビットカードを持たせますが、ほとんど使っていません(笑)。ただ、東日本大震災の後、家族で寄付をしたときはそれなりの金額を提案してくれたので、単にケチなのではなく使い方を考えているんだなと

まだ四女の大学進学が控えており、小学生の五女と長男は中学受験の可能性も。夫婦とも仕事柄、教育費についての情報収集は欠かしません。

横山「わからないことが多いと不安になりますよね。まずは教育費について具体的なデータを集めることが安心につながります」

関口「中学や高校で進学に伴う費用の説明がある場合は出席したほうがいいですし、行きたい学校があるなら資料を取り寄せて学費をチェックすると、ある程度の目安がわかると思います」

周りのママたちの口コミ情報は参考にもなりますが、流されるのは危険と関口さん。

関口“あの子がやってるからうちも!”と、子どもの習い事や進路は周りに合わせるものではありません。自分の家庭の状況と子ども本人のやる気で決めるのがベストでは」

横山「あとは、教育費が親の老後資金と綱引きになっているのも忘れないでほしいです。子ども全員を奨学金なしで大学に行かせた結果、貯金がゼロという方も。子どもが大学進学を希望するなら奨学金をもらう、一部は子ども自身に負担してもらうなど、さじ加減を考えるといいでしょう。

教育費の不安もあると思いますが、子どもがいることで得られる幸せも大きいですよね。僕も妻も子育てにかかるお金以上のものを子どもたちから受け取っています

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撮影/細谷悠美 イラストレーション/竹永絵里 取材・原文/古川はる香

この記事は2020年9月7日発売LEE10月号「教育費の不安と向き合う 新・お金の流儀」の再掲載です。

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LEE編集部 LEE Editors

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