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松崎のり子

住宅購入や子育て支援。家計にまつわる制度の多くが延長・変更に

  • 松崎のり子

2020.12.31

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住宅ローン控除

 

「住宅ローン控除13年の特例」が延長に

新型コロナ・ショックが大きすぎてすっかり忘れ去られていますが、昨年(2019年)の10月から消費増税が10%に上がりましたよね。そのさい増税で消費が落ち込むことを防ぐために、様々な緩和策が始まりました。緩和しながら東京オリンピックの勢いで景気を底上げするつもりだったため、期限が2020年年末まで、もしくは2021年3月までという施策が多かったのです。

しかし、ご存じの通りコロナによってそのシナリオは崩れてしまいました。そこで、政府は「令和3年度 税制改正大綱」に、そうした対策の期限延長を盛り込んでいます。

マイホーム購入を考えている人にとって気になっていた「住宅ローン控除13年の特例」もその一つ。従来の住宅ローン控除の適用期間は10年だったところ、10%増税の緩和として10年以降は計算方法を変えて、さらに3年間控除を延長できることになっていました。本来なら今年末までに入居することが条件でした(コロナの影響により建築等が遅れた場合は除く)が、この期限を伸ばし、注文住宅なら2021年9月まで、購入なら11月までに契約し、どちらも2022年末までに入居すればOKということになりそうです。

さらに、これまでは適用される物件の広さにも条件があり、住宅の床面積が50㎡以上となっていましたが、これも緩和されて40㎡以上となる方向(ただし40~50㎡未満の物件には、この制度を利用できる人に所得制限がつくもよう)。さらに、祖父母などから住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税枠も見直しが。これも、もともとは増税対策で、10%に上がった後に契約した場合は2021年3月末までが1500万円、4月以降は1200万円に下がるはずだったところ、1500万円のまま据え置きになりそうです(※省エネ住宅などの場合。それ以外の住宅は1000万円まで)。

 

ベビーシッター支援助成

 

東京都のベビーシッター支援助成は非課税へ

さらに、子育て支援先についても見直しが。

東京都では平成30年度から待機児童対策としてベビーシッター利用支援事業(ベビーシッター事業者連携型)を実施していましたが、こうした自治体からの助成金は所得税法上の「雑所得」となるという点が問題視されていました。都の制度では、シッター認定事業者が定めた利用料(1時間当たり上限2400円)と、利用者負担額(1時間当たり150円)との差額を、東京都及び区市町村が公費で負担することになっています。

1時間あたりの助成上限額2250円を1日8時間利用すれば1万8000円。それを月に10日使うと18万円になります。もし1年の助成合計額が20万円以上になると税務署に確定申告をする必要が、20万円以下でも住民税の申告をする必要がありました。せっかくの子育て世帯への支援が、税金が上がってしまうのを恐れて利用をためらうのは問題だとして、今回の税制改正大綱ではこれを非課税とする旨が盛り込まれました。

また、祖父母からの教育資金贈与・結婚資金贈与を受けた時の非課税制度も2年延長へ。ただし、使い残した金額は相続税の課税対象となり、さらに2割の税額加算がつくなど、富裕層の節税を防ぐ措置が取られることになります。税金のことは難しくてという声も聞かれますが、節税や家計の助けになる制度も多いのです。これらの内容は国会での審議を経て正式に決まるので、引き続き注目していきましょう。

 

松崎のり子 Noriko Matsuzaki

消費経済ジャーナリスト

消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。

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