高木綾子

ゴミの分別45種類の町へ! 徳島県『上勝町ゼロ・ウェイストセンター “WHY”』とは?

家で過ごす時間が長い今、気がつくとゴミ箱がすぐにいっぱいになることはありませんか?ゴミを集めて保管し、取集日に出す、を繰り返す日々…

私自身、自治体の回収以外にも、近所のスーパーの回収ボックスを利用するなど努力重ねていますが、その量は増える一方。

そもそも、このゴミの量を減らすことは出来ないものか?頭では考えているものの、なかなかその一歩を踏み出せずにいます。

そんな時、この問題に17年もの間取り組み続けている小さな町、徳島県「上勝町」のことを知りました

世界中が注目する徳島県の小さな町
上勝町に誕生した「WHY」とは?

空から見ると「」の形状になっているこの施設。

四国で一番小さな町「上勝町」。コンビニすらないこの地域に、今年、この町独自の取り組みを知ることができる「上勝町ゼロ・ウェイストセンター WHY」が誕生し、世界から注目を集めています。

設計を手掛けたのは設計を手掛けたのは、中村拓志&NAP 建築設計事務所。元々は林業が盛んな上勝町。建材には上勝産のスギがふんだんに使われています。

 

2003年に『ゼロ・ウェイスト(ごみゼロ)宣言』をし、現在リサイクル率は80%。その分別数は45種類にも及び、毎年国内外からたくさんの視察者が訪れています。

「WHY」は、この取り組みをより多くの人に知ってもらい、「WHY」という疑問符を持って学び合いながら、ゴミのない社会を目指すための場所。

町に唯一のゴミステーションに、町外の人々がこの街の取り組みの中で滞在できる「ラボラトリー」や「ホテル」を併設した施設としてオープンしました。

 

4部屋のみの小さなホテル
シンプルな滞在の中にある豊かな時間

 

「WHY」の先端にある、4部屋だけの小さな宿泊施設「HOTEL WHY」。今回私たちはゼロ・ウエイストを体験するために一泊の宿泊をすることに。

もちろんゼロ・ウェイストアクションの中で過ごすため、宿泊時にレクチャーを受け、滞在中のゴミは全て最終日に自ら分別。

過剰なアメニティーや、サービスはなく、パジャマや歯ブラシは自分たちで持参。できるだけゴミが少なくなるように考えて準備します。

まずはチェックイン時のオリエンテーションに参加

チェックイン後、約30分、上勝の歴史から、現在の分別、施設内についての説明を受けます。

 

アテンドは、上勝町出身の(株)BIG EYE COMPANY 田村さん。昨年愛知からUターンしたそう。昭和時代に「野焼き」をしていた上勝町の歴史から、現在45分別に至るまでを実体験に基づいて丁寧に説明してくださいます。

 

 

 

施設内にあるのは上勝町で唯一ゴミが捨てられる大きなゴミステーション。回収は全て町外の民間業者に委託をしているため、ゴミ収集車は一台も走っていません。

45種類もの分別が正確に出来るか不安でも大丈夫。ここには手厚くサポートしてくれるスタッフが常駐。わからないものは教えてくれるそうです。

 

施設全体が、ゼロ・ウェイストアクションに!
リユースされながらデザインされた施設が素敵

ゴミステーションの見学あとは、施設全体の見学に。

見渡せばこの施設は壁面全体、窓がたくさんあるのが特徴的です。これは上勝町の住民で不要になった窓枠が持ち寄られたもの。こんなにも不要な窓枠が集まることにも驚きますが、合計540枚がデザインされた壁面の見応えがすごい!

ホテルの受付兼、まだ使えるけれど不要になったものを住民が持ち込む『くるくるショップ』。一年間でなんと10トンもの不用品が引き取られているそうです。

ここでも照明には空き瓶の廃材が使われ、床にはくるくるショップで残った食器類を砕いたものが埋め込まれ生かされています。

「ラーニングセンター&交流ホール」。家具は「京都都ホテル」がリニューアルするときに不要になったものを再利用。

 

キッズスペースは花王株式会社の洗剤詰め替えパックをリサイクルして作られた”おかえりブロック”を使用するなど、様々な工夫が。

 

企業のセミナーやワーケーションのための「ラボラトリー」の壁面。柱の間に施されたカゴは上勝町での椎茸栽培で使われていたものをリユースし本棚としても活用。

環境に配慮したシンプルなサービスの中での滞在

オリエンテーションが終わると、滞在のためにコーヒー・お茶と石鹸の配布があります。

ただし量は必要な分のみをを測り分け、切り分けするシステム。石鹸は使いきれなければ持ち帰り、もしくは施設の洗濯に使うなど無駄が出ない工夫がなされています。

部屋には他に固定のエコストアのシャンプー類も常備。部屋のアメニティが無駄にない、良いアイデアです。

宿泊施設は全て2階建のメゾネット。ここでも全て、上勝町の木材が用いられています。

ソファベッドは、上勝の介護施設のベッドをリメイク。その他の家具はラーニングセンターと同じく「京都都ホテル」のものを再利用。

ロフトのラグは古いデニムのパッチワーク。施設の中も、本当にゼロ・ウェイストを徹底しています!

お楽しみの朝食は、この土地ならではのアイデアが

一日、自然の中で過ごして気持ちが満たされた朝、お楽しみの朝食が近くのブリュワリー「RISE & WIN Brewing Co BBQ & General Store」からデリバリーされます。

メニューは徳島名物のフィッシュカツを使ったバーガー。グラノーラにはブルワリーから醸造後に出たココナッツを再利用するなどの他、梱包も布製のバッグや小さなタッパー、曲げわっぱを使用。

スタンレーのマグにスープの素などなど、ゴミを少しでも減らすアイデアが。早速取り入れたい!

せっかくなので朝食は山を眺めながらピクニックスタイルでゆったりと。最高に贅沢な時間でした。

滞在のあとはゴミを自分たちで分別

滞在の最後は、自分たちで出したゴミをゴミステーションで分別。

滞在中はできるだけゴミを少なく…と思っていたのに. 他にもペットボトルや瓶など結構な量が出てびっくり!

たった一日の滞在でも細かい分別は必須

自炊をしていない我々は、出るゴミの多くが紙かプラスチック。部屋に備え付けの籠に大まかに分別し、ここでさらに分別していきます。(紙類だけでも10分別!)

プラスチックも「プラマーク(事前に企業が処分料を負担している)」があるか否かによっても処分料が違うため細かく分別。

紙や鉄は再利用しやすいけれど、感熱紙などは再利用不可。”その他の紙”ゴミに…などなど、一つ一つのゴミにこれほどの責任を感じながら捨てたのは初めてです。

看板の右上に記載されているのは、1キロあたりの処分料。この場合は1kg=53.8円のコストに。逆に「入」は自治体の収入となります。また、どこで何にリサイクルされているのかも一目瞭然。このわかりやすさ、分別のモチベーションになります!

 

生ゴミはコンポストへ。この「キエーロ」というコンポストの仕組み、虫も匂いも出にくいため、お勧めだそう!4棟の宿泊者分のゴミがここに埋められ、バクテリアによって分解されます。

 

ここまで分別を終えて、ようやく終了!

目の前の山はすっかり朝の霧が晴れて、徳島ならではの山と川の美しさがとても眩しい…

 

苦肉の策から生まれた分別・リサイクル

ゼロウェイスト宣言は、2003年、「2020年までにゴミをゼロにする」という目標の元宣言されました。

しかし元々は『いいことをしよう』というよりも、上勝町のゴミ収集の経費を抑えるために始まったものだったと田村さんは語ります。

「平成9年まで、野焼きをしていた上勝町。10年に小型の焼却炉を購入して燃えるゴミを燃やし始めたものの、12年にはダイオキシン問題で小型焼却炉も使用不可に。

新たに焼却炉を建てるのもコストがかかる。であれば少しでも資源を分別し、リサイクル収入によってゴミ処分の経費を削減しようと取り組み始めたものでした。」

 

美しい景色を子供・孫の世代まで残すために

「分別を進めていく上で、徐々に住民に理解得られるようになったのは、当時の町長に「このままのやり方では、上勝の豊かな自然は残せない」という強い危機感があったからこそ。

『この景色を孫の世代まで残すため、まずはゴミの問題から解決する。』という想いも重なって、上勝町は少しづつ、世界から視察が訪れるエコタウンへと変わっていきました。」(田村さん)

訪れた時はちょうど紅葉のシーズン。WHYからは美しい上勝の景色が一望できます。

ちなみに、事前に予約をすれば視察ツアー(STUDY WHY)のみも参加も可能です。(私は後日ツアーだけにも参加しました。)

 

リサイクル率80%達成!
でも残りの20%は焼却・埋め立てしかないという課題も

今年は目標の2020年。リサイクル率は80%を維持していますが、今の仕組みのままでは20%は焼却・埋め立てするしかなく、ここをいかにリサイクルに回すかも今後の課題に。

「例えば洋服のファスナーは、金属と生地が密着していて、どうしても分別が難しい。今後、リサイクル率をあげるとしたら、「リサイクルしやすい素材」「分別しやすい構造」で作られたものがお店に並ぶ必要があります。生産者に向けて、そういった情報発信もこの施設からできればと考えています。

通販の簡易包装などが進んできたのは嬉しいこと。実際に私たち自身も、やっぱり捨てるのに一手間かかるため、「捨てやすさ」「分別しやすさ」が新たな買い物のポイントになってきました。」(田村さん)

 

ニューノーマル時代、自然の中で得た新たな価値観

この美しい自然の中で一日過ごし、ゴミ問題と向き合った一日。

ツアー中も、参加者が積極的に次々と質問をしていたのが印象的でした。

そして、帰り道、ドライブ用にマイボトルを常備することと、毎週通う近くのデリには家からお皿を持参することを家族に約束。早速実践しています。

自分自身の生活と向き合う時間が増え、「何かを始めたい」と思っている人は多いはず。

そんな時はまず、この地を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。きっとヒントが見つかると思います。

 

上勝町 ゼロ・ウェイストセンター WHY

https://why-kamikatsu.jp/

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