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知って得するもらえるお金

「税金が戻る」という制度を使う前にやっておくべきこと

  • 松崎のり子

2016.12.22

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払っている税金の額、答えられる?

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12月分の給与明細は絶対なくしてはいけません!

給与明細と一緒に、源泉徴収票が渡されるからです。

あの小さい紙の中に、稼いだお金と納めた税金の情報が詰まっているのです。「どうせもう取られてるんだからいい」と気にしないでいると、後々ソンすることになるかも。その理由を知りたい人は、これから固い言葉が出てきても我慢してくださいね。さて、まず自分がいくら税金(所得税)を納めたかを書いてあるのは、源泉徴収票の右のほうにある「源泉徴収税額」の欄です。この数字、覚えておいてくださいね。

じゃあ、この税金を払うもとになっているお金はなにかというと、もちろん稼いだお金です。年収といわれるものは「支払金額」の欄の数字ですが、これが税金のベースになっているわけではありません。税金は「所得(課税所得)」を元に計算されます。そろそろ、ややこしくなってきましたね。ここで知っておくといいのは、「年収」と「所得」は別物で、所得のほうが少なくなるということです。所得が少ないということは、実はよいこと。税金がかかる元のお金が少なければ税金も減るわけですから。

「控除」が多いと税金も減る!

源泉徴収票には「控除」という言葉が出てきます。ここでの控除は「支払金額」(年収)から引けるものを指しています。どんなお金が引けるかというと、まずは「給与所得控除」で、これは会社員に認められた必要経費のようなもの。源泉徴収票にある「給与所得控除後の金額」が、年収からこれを引いたあとの金額です。さらに、その後もいろいろなお金を引くことができます。

例えば「配偶者控除」「基礎控除」「社会保険料控除」など。保険会社から届いた証明書を会社に提出した人は「生命保険料控除」や「地震保険料控除」も引かれています。それをすべて足したのが「所得控除の額の合計額」です。つまり、年収(=「支払金額」)から給与所得控除を引き(=「給与所得控除後の金額」)、さらに「所得控除の額の合計額」を引くとそれが課税所得になり、さらに税率をかけると「源泉徴収税額」=納める税金が出るというわけ。でも、源泉徴収票にはこの課税所得がいくらかは、実は書いていません。知りたい人は、「給与所得控除後の金額」からすぐ横の「所得控除の額の合計額」を引いてください。それが所得です。ちょっと難しかったでしょうか?

ただ、この仕組みを知ると、節税というキーワードが出てきた時にわかりやすくなります。例えばふるさと納税は、「寄付金控除」という仕組みを使って課税所得を減らしているのです。最初の話に戻ると、「節税できます」と言われた時には、自分の税金額と比べることが大事。なぜなら、払った税金以上にお金が戻ることはないからです。「節税できて、こんなに税金が戻ります」と提示される数字は「最大」で計算されていることが多く、その最大の数字より納めている税金が少ない場合は、その金額までしか戻ってはきません。節税になると言われたのに期待したほどお金が戻らなかった…という事にならないよう、自分の税金の額はきちんと覚えておきましょう。

松崎のり子 Noriko Matsuzaki

消費経済ジャーナリスト

消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。

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