がんと暮らす

橋本奈美子さんインタビュー【前編】2人の子どもの育児をしながらの闘病生活

LEE編集部

日本人の2人に1人ががんになる時代。闘病の様子や治療法などは大きく変わっていると言います。

自分ががんになったとき、子育ては?仕事は?

LEEでは、「読者の皆さんに闘病のありのままを伝えたい」という橋本奈美子さんの言葉から、がんとともに暮らしていくこと、また、がんの後も続いていく人生について、あらためて考えてみました。

この記事は2020年7月7日発売LEE8月号の再掲載です。


モデル橋本奈美子さんインタビュー
がんとともに暮らしていくこと【前編】

橋本奈美子さん

モデル 橋本奈美子さん

1975年生まれ。10歳、2歳の2人の男の子の母。LEEなどのモデルとして活躍していたものの、33歳のときに第1子の妊娠、その後の出産を機に休業へ。育児に専念する。42歳で第2子を出産後すぐに、左胸にしこりを見つけて、乳がんが発覚。

橋本奈美子さんHistory

2006 [ 30歳 ]
LEEをはじめ、雑誌や広告でモデルとして活躍。子宮内膜症の手術を受けて、子宮を半分摘出。

2010 [ 34歳 ]
第1子出産

2017 [ 41歳 ]
5月|第2子出産

2018 [ 42歳 ]
3月|胸のしこりが取れず母乳外来で相談。組織検査を受ける。検査から約1週間後に乳がんと診断。
5月|診断から2カ月後、抗がん剤治療を開始。
11月|2週間ほど入院。左乳房の全摘手術を受ける。

2019 [ 43歳 ]
1月|術後1カ月ほどで痛みが取れて、手が挙がるように。半年間は1カ月に1回通院。その後は、ホルモン治療になり3カ月に1回通院。

授乳中にしこりを発見。乳腺の詰まりだと疑わなかった

第2子の出産後まもなく、授乳中に乳がんが発覚した橋本さん。子どもが左胸を吸わなくなり、しこりに気づいたと言います。

「最初は母乳がたまって、乳腺が詰まったのだと信じて疑いませんでした。このしこりも、母乳外来で見てもらえばすぐになくなると。
でも、見てくれた助産師さんの表情がおかしく『先生に診てもらいましょう』と言われました。

すぐに組織検査を行い、しこりに気づいてから約1週間後には乳がんと診断。私は妊娠中に切迫早産で5カ月入院していたし、病院で毎日血液検査をして、体に異常はないと思い込んでいた。

とにかく状況についていけず、診断から2年ほどたった今でもどこか他人事のような、受け止められない気持ちが続いています」(橋本奈美子さん)

左胸のしこりは5cmほどと大きく、ステージⅢに近いⅡ(のちに手術でステージⅢbと確定)との診断が。
リンパへの転移があり、進行が早い浸潤がんということで、すぐに抗がん剤治療を始めることと手術をすすめられます。

「すぐと言われても、子どもの世話は? 副作用って何?と混乱して、1カ月半ほど答えを出せませんでした」(橋本奈美子さん)

整理がつかないまま治療開始。脱毛後にはターバンを愛用

「整理がつかないまま、私の母や、切迫早産中にもお世話になった地域の支援センターの方に家のことをお願いし、治療を開始。

抗がん剤は……つらかったですね。私は副作用が出やすいタイプのようで、とてつもない吐き気やめまいに襲われて。副作用がほぼない人もいるのになぜ、とまた落ち込んだりもして。

半年の抗がん剤治療後に、左胸の全摘手術を受けました」(橋本奈美子さん)

「左は抗がん剤治療中で顔がむくんだ写真。スキンヘッドは受け入れられなかったのですが、夏で暑かったのもありそのまま過ごしました。宅配が来て慌ててターバンをしたことも」(橋本奈美子さん)

「ウィッグはせっかくだからとコスプレ気分でコンサバなものを購入しましたが、あまり周りの評判はよくなく……。結局はターバンを愛用。スキンヘッドは子どもにいつのタイミングで見せるか戸惑いましたね」(橋本奈美子さん)

子どもにどこまで話すか今でも迷い続けています

小学4年生の反抗期と、2歳のイヤイヤ期の息子たち。乳がん発覚時からずっと頭にあるのは子どもたちのことばかりだと、橋本さんは言います。

「今の自分の状況をどこまで詳しく話すべきなのか、すごく悩みます。再発したら命の危険もある、ということまで伝えたほうがいいのか……。

自分に万が一のことがあると思うと、今のうちに世の中は甘くないことを伝えておかなければと、必要以上に厳しくしてしまうことも。本当は中高生で言えばいいことかもしれないのに、それが母親の都合で前倒しになっている気がして、申し訳ないなと思うこともあります。

日々の生活では、薬の副作用で味覚障害があるので、ごはん作りが大変になりました。

味見ができず、目分量で作ると『味が薄い』などと言われるので、テーブルに調味料を並べて好きに足してもらうことに。長男のときは離乳食もすべて手作りしていたのに、おいしいごはんが作れないことがつらい。

時間はあるのに冷凍餃子ばかりだと必要以上に罪悪感も……。もともとそんなに料理が得意なわけでもないのに。がんになったからこそ、完璧なお母さんを目指したいとより強く思ってしまいます」(橋本奈美子さん)

薬の副作用で味覚障害が。

「おばあちゃんのごはんがおいしいと言われて傷ついたことも。今は、自分たちで味を調整してもらったり、市販品にも頼っています」(橋本奈美子さん)

長男が作った朝ごはん。子どもの成長に驚き!

そんな中、息子さんの成長に驚きを隠せないことも。

「朝、体がつらくて私が起き上がれないでいると、長男がごはんを作ってくれたんです! フライパンで卵を焼いて、野菜を添えて盛りつけて。一緒に料理をしたことも、教えたこともなかったのに……。本当にびっくりしました」(橋本奈美子さん)

「オムライスには、私がしているようにケチャップでハートを描いてくれて、中はちゃんとケチャップライスでした。後でベビーリーフは洗っていなかったことが判明(笑)」(橋本奈美子さん)

「弟の面倒をみたり、私が眠いと言うと『寝てきていいよ』と言ってくれることもあって、もう息子と結婚したいぐらい(笑)。

私はまだ病気を受け止められていないし、落ち込んだり、しんどい瞬間もたくさんある。

でもやっぱり子どもたちはかわいくて育児は励みで、2人の寝顔を見るとホッとします。これは、乳がんでも乳がんでなくても、変わらないことなのかもしれませんね」(橋本奈美子さん)


イラストレーション/二階堂ちはる 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
この記事は2020年7月7日発売LEE8月号『がんと暮らす』の再掲載です。

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