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松崎のり子

マイナンバーカード、作る? 作らない? 国からの給付に使える、マイナポイント還元……?

  • 松崎のり子

2020.06.10

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特別定額給付金の申請でトラブル続出

10万円の特別定額給付金のオンライン申請を中止する自治体が相次いでいるとか。

申請内容確認のための作業にとんでもなく手間がかかり、「速やかな給付」どころか、まさに「マイナンバーカード狂騒曲」とでも呼びたい混乱が生じているからです。今回の定額給付を「だし」にして、いまだ10%ほどしかないマイナンバーカードの保有率を上げようと政府が色気を出したのでしょうが、さすがに強引すぎましたね。

逆に、この先もオンラインでの給付申請がうまくいくのか不安になる結果となってしまいました。しかも、その後「速やかな給付のために銀行の全口座に紐づけを検討」との報道が。すっかり忘れられている休眠口座もすべて洗い出して紐づけするつもりでしょうか。

今度は銀行や金融機関で働く人が不眠不休で作業させられるのではと心配していたところ、さすがに6月9日の高市早苗総務相の会見で、「全口座のひもづけ義務化は見送る。1人1口座を義務化させてほしい」とトーンが変化してきたようです。

マイナポイント還元は間に合うの?

マイナンバーカードを作るには申請が必要です。公的な身分証明書として使える、コンビニで住民票などが取れるなどのメリットはありますが、一般人の生活になくてはならないものとまでは言えず、わざわざ作らなくても困らないと考える人が多かったのでしょう。

しかも今回の騒動で、オンライン申請にはカードだけあればいいのではなく電子証明書が必要で、それにはパスワードが2種類あるとか、その有効期限は5年でパスワードの再設定は役所の窓口に行かないとできないとか……個人情報を守るためとはいえ、なんとも複雑な仕組みになっているとわかりました。「めんどくさそうだな」というのが実感ではないでしょうか。

しかし、政府はカードの普及のために9月から「マイナポイント」事業をスタートさせる予定です。マイナンバーカードを取得し、マイナポイント申込ページでキャッシュレスサービスと連携させることで、25%のプレミアムポイントを還元してくれるというものです。今回の給付金申請騒動はバタバタでしたが、もともとはこの事業をきっかけにカードを作る人が増えることを期待していました。

仕組みとしては、カードを取得し、そのカードを使って「マイキーID」を発行して「マイナポイント」の予約をします。7月からは自分が選んだキャッシュレスサービスとマイナポイントの紐づけをする「申し込み」が始まる予定です。そして、9月から紐づけしたキャッシュレスサービスを使って残高にチャージまたは買い物をすることで、25%のポイントが受け取れるというわけ。

なお、利用可能なキャッシュレスサービスは、6月3日時点でクレジット・デビットカード、電子マネー・プリペイドカード、QRコード決済で、電子マネーはSuicaやPASMO、nanacoに楽天Edyほか。コード決済は楽天ぺイ、ファミペイ、ゆうちょペイなどとなっています。ここまででも、参加までの道のりは相当長そう。

私自身も実証実験のためにマイナンバーカードを作ろうと考えていましたが、給付金騒動のために申し込みが混雑しているとか。通常でも交付申請から市区町村が交付通知書を発送するまで1か月間はかかるそうですが、それより遅れると考えておいたほうがよさそう。市区町村で働く皆さんにこれ以上負担をかけないよう、申請は少し様子を見ようと考えています。本当に9月からマイナポイント事業は開始できるのか、そっと見守りたいです。

松崎のり子 Noriko Matsuzaki

消費経済ジャーナリスト

消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。

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