LIFE

田辺 幸恵

【NYで子育て】遠隔授業の成績はどうなる!? 子どもとの楽しみ方 #stayhome

  • 田辺幸恵

2020.05.04

この記事をクリップする

 

公園には6フィート(約1.8m)離れる「ソーシャル・ディスタンシング」が一目でわかるようなサインができました。

公立校が休校になって7週目、リモート・ラーニング(遠隔授業)は6週目に突入。最初は娘の課題を把握して一緒に取り組んでいたのに、気づけば、「今日の終わったー」(娘)「オッケー」(私)と任せっきりに・・・。全てが初めてのリモート・ラーニングのその後と成績はどうなるのか、親子で密に過ごすからこそ見つけた「楽しみ」をお伝えしますね。

NYでは4月半ばに公共の場でのマスク着用が義務化されたため、スーパーやドラッグストアもマスクなしでは入店できなくなりました。バンダナやスカーフで鼻から下を覆う人も含めれば、今はほぼ100パーセントのマスク率。私が好きな洋服ブランド「J.Crew」もマスクを販売するようになり(即品切れでした)、日本特有だった「マスク文化」が「ニューノーマル」になりつつあります。

娘はリモート・ラーニングのおかげで、どんどんパソコンの操作を覚え、課題をやるために見るサイトのパスワードがわからなくても、先生の過去投稿から探し出し、「コピペ」(!)してログインするまでになり、タイピングも随分速くなりました。

わからないところは先生にメッセージを送るように伝えたので、平日の午前中は家族3人それぞれがパソコンに向かっています(夫のお古PCが娘用に)。

遠隔授業で落第ナシ、成績はどうつける?

NY市の公立校の成績は、1から4で評価されます(4が最も良い評価です)。9月から始まり6月で1年が終わるまで4回成績をつけられたのち、ファイナルグレード(最終成績)が決まります。今年は3学期まで成績をもらったところで休校に。4学期がフルでオンラインになっているのです。

このためNY市の教育委員会は4月28日付で「リモート・ラーニングの成績のつけ方」を発表。 1〜5年生の小学生は「Meets Standards (MT) or Needs Improvement(N)」、学年相応に求められるスタンダード(基準)に達しているか、補修が必要なのか、のどちらかがつけられることに。ファイナルグレードはこれも加味されます。

近所の道端に書かれていたもの。こう言うのを見ると元気が出ます!

ローカルTV局「NY1」によると、教育委員会はすでに24万7000台のiPadを無償で貸し出したようですが、まだ端末が行き届かない家庭や、家族を亡くしたり、精神的なショックを受けるなかで勉強を続けなければならない状況を最大限考慮し、「柔軟性を持って対応する」ようです。さらに、今年の欠席日数は成績に含まれないことと、NY市では小学生でも落第しますが(嘘みたいなホントの話)、落第してもう1回同じ学年を繰り返すことはなくなりました。

遠隔授業を完璧にこなすことより大事なこと

リモート・ラーニングに慣れると、娘は締め切りがあるならやる。ないなら、やらないと言うように。これで本当に「意味」があるのかと思っていた時、心に刺さったのが友人の投稿です。

Covid-19(新型コロナウィルス)で友達にも会えない、大好きなプレーグラウンドも習い事にも行けない子供たちの社会的、情緒的なトラウマを和らげてあげること。

学校のリモート授業を完璧にこなすことより、トラウマにより影響する学習脳の欠陥の方がよっぽど取り返しがつかないものになる。

今は、どの子供も進んでいる、遅れている、なんてことはない。どこの家庭も落ち着いて、希望を持ちながら力強く生き、みんなで笑うことが大切」

友人とは、イタリア発祥の幼児教育メソッド、レッジョ・エミリアの「アテリエリスタ」(芸術専門講師)としてマンハッタンにある私立ナーサリー(幼稚園)で15年働く、矢部バリー真由さんです。

#StayHome 子どもとの楽しみ方

真由さんはアート専門の先生として働く傍ら、「探究心を育てる問いかけをベースにした学習方法」としてyoutubeに工作動画をアップしています。これがどれも家にあるものでできるので超オススメ。早速、暇そうな娘と作ってみました。

【カタパルト】

材料、作り方、遊び方は動画を参考に。

娘も動画を見ながら1人で作ることができました。だけど、動画のようにうまく球が飛ばない!どうして!? 

娘なりに試行錯誤を繰り返して作った「カタパルト」。

つい手も口も出しそうになりますが、そこは我慢。すると、「ダンボールを短く切る」、「シャーペンのバネをつける」の2つを思いつき、試すことに。さらに、曲がってきたダンボールの部分を補強。私も口出ししない分、自分のカタパルトを作り、積み上げたプラスチックカップの山をどっちが多く倒せるかやってみました。

次は娘に「ルールづくり」をお願い。飛んだボールがどこに入るかで点数が獲得できるゲームを作りました。得点が50点から1000点と幅広ぎですが(笑)、この親子対決が燃える! 得点を計算するのも結構大変で、遊びながら学べるってこういうことなんだと実感。

右にあるカタパルトからビー玉を飛ばし、どこに入るかで点数が変わる娘作のゲーム。ビー玉がフローリングに落ちると響くので、昔IKEAで買った折りたたみ式マットが今でも活躍しています。

 

【紙コップロボット】

別の日には紙コップロボットにも挑戦しました。

用意するもの、作り方、遊び方は動画を参考に。

家に紙コップがなかったのでプラスチックコップで代用。そして、電池もない!娘は「形が同じ」とワインコルクをチョイス。でも、思うようには進みません。今度はコルクじゃなく、マジックのキャップでトライ。もっと進みません。コルクとキャップをずーっと眺めています。そこで新品の電池と比べることに。じーっと見比べ、手に取った時、「重い!」と驚いたように言っていました。

真由さんは、「最初から完璧に作るより、思考のプロセスが大事」と言い、紙ロボットを作る時に「探究心」をくすぐるポイントを5つ教えてくれました。

1)中のものを回す回数で、ロボットの進む距離が違うこと。

2)電池を回す方向によって(自分に向けて回すのか、反対に回すのかで)進む方向が変わってくること。

3)テーブルやタオルなど、ロボットを置く場所によって、速度や距離がどう変わるのか。

4)子供がどう遊んでるかを親が観察して、必要な時に必要なマテリアルを用意してあげることが大事。例えば「電池がなかったら、何が使えるかな?」と質問した時に「丸い石」って答えたらそれを用意してあげる、など。

真由さんの動画の中では、「ロボットの物語を書いてみよう!」というお題もあります。ロボットに名前をつけたり、友達がいるのか考えたり。作って終わりではない「狙い」もありました。

レッジョ・エミリアの特徴として、授業中に子供が話したことを記録し、先生が書き起こす「ドキュメンテーション」(音声記録)というものがあります。おうち工作でも、作るだけじゃなく、その物語を作ったり、問いかけて子供の答えを書き起こすことで、さらに「学習力を高めることができる」そうです。

「レッジョでは常に、物事を違う方向から見ることを奨励しています。物語を作ることで、まだ文字を書けない子供たちにも大人にもメリットがあります。

まず大人にとっては、子供の考えていることが理解できること。子どもにとっては、大人が書き起こすことで、発音した音を文字にあわらすことができると知りますし、自分が話す言葉が文章として形成されることを見る機会になります。また、句読点や、文字と文字の間にスペースがあること、文字を書くことは人に伝わる手段だと思うようになります」

本当に学ぶとはどういうことか、子どもが自分から工夫しようと思うのはどんな時か。いつも通り学校に通っていたら考えなかったことを、改めて考える機会になっています。ちょっとした声がけと工夫で、おうち時間が「考える力」を育むチャンスになりそうです。

真由さんはこの他にも、重曹とお酢でできる実験や、コーンスターチ(トウモロコシのデンプン)と水のたった2つで作るスライムの動画などがあるので、ぜひ参考にしてみてください。(https://www.youtube.com/channel/UCgoCwpaurzIZ19ymb0NndDQ)

英語バージョンもあるので、親子で英語の勉強にもなりますよ。

ただ、毎日ずーっと子供につきっきりで勉強を見たり、工作を用意して声がけしたりは、なかなか難しいですよね。仕事も家事も中途半端になって、寝かしつけてからやろうと思っても一緒に寝落ちしたり。私たち親に疲れが溜まっていたり、心に余裕がないと、子どもとの時間が「苦痛」になってしまいます。そうならないために、少しでも自分が自分らしくいられるための「#stayhome  大人の楽しみ編」もお届けします!

田辺幸恵 Sachie Tanabe

ライター/ライフコーチ

1979年、北海道生まれ。スポーツ紙記者を経て2006年にアメリカへ。2011年にニューヨークで長女を出産。イヤイヤ期と仕事の両立に悩みコーチングを学び、NPO法人マザーズコーチジャパン認定講師に。趣味は地ビール探しとスポーツ観戦。夫と娘(8歳)の3人家族。

LEE公式SNSをフォローする

閉じる

閉じる